Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

日本社会事業大学と厚生労働省の関係

high190です。
社会福祉を専門とする日本社会事業大学厚生労働省の関係についての指摘が、参院厚生労働委員会にてありました。
この大学は私立大学ですが、元々の設立は国が行っていることもあり、厚生労働省とは深い関係にあるようですが・・・


厚生労働省が福祉の人材養成などの事業を委託する学校法人「日本社会事業大学」(東京都清瀬市、大橋謙策学長)との間で、教職員人事について事前協議するとした覚書を交わしていたことがわかった。大学には多額の補助金が支出される一方、教職員として計4人の同省OBが在籍している。自治が重んじられる大学が、委託元の官庁に人事の事前承認を求められ、天下りの受け皿にもなっている形だ。長妻昭厚労相は覚書を廃棄する方針を示した。
17日の参院厚生労働委員会小池晃議員(共産)が指摘した。
提出資料や厚労省によると、覚書は91年1月7日付。当時の同省社会局長と大学の理事長、学長が締結していた。大学側は教職員の候補者を選定後、「直ちに社会局長に文書で協議する」とし、「社会局長は……審査のうえ結果を回答する」などと書かれている。
大学は1946年に前身が設立され、同省の委託で福祉の人材養成と研究を行っている。私立大学だが土地・建物は国有で、運営費は学費のほか、今年度は4億6000万円の委託費を国から得ている。一方で、大学の事務局長は前障害保健福祉部自立支援振興室長、社会事業研究所長は元国立身体障害者リハビリテーションセンター専門官と、いずれも厚労省OBが務めている。他の教授2人も同省OBという。法人としても、理事長が長尾立子・元同省社会局長(元法相)、専務理事が元社会保険庁社会保険大学校長など、役員16人中、非常勤を含め7人が同省OBだ。
長妻厚労相は「他の団体もこうした覚書を結んでいないか調査する」と述べた。
新藤宗幸・千葉大教授(行政学)は「隠れた天下りの問題もあるが、私立大学とこうした覚書を交わすのは、大学の自治の根幹にかかわる」と指摘している。

こうした覚書があるのは、日本社会事業大学の独特な位置づけにも関係があるのでしょう。ただ、社会的に見れば官僚の天下り先になっているとの認識に他ならないでしょう。長妻大臣は覚書を破棄する方針を示していますので、今後は人的交流を別の形で行えるような方策を探ることになるでしょうか。

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