Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

東京大学工学研究科の助教が研究業績を捏造?大学側も調査へ

high190です。
東京大学工学研究科の助教が研究業績を捏造した可能性があるとして、大学側が調査に乗り出したそうです。
研究業績の捏造という点では、今年度に申請予定だった共同大学院の研究科長就任予定者が、過去の経歴を詐称したとして認可を取り下げたという問題がありました。来年度に向けて、各大学で在籍教員の業績チェックが行われそうな予感がします。


東京大学工学系研究科の30代の男性助教が、自らの業績として発表している学術論文の中に、他の研究者の論文の著者名がこの助教の名前に換わっているものや、存在が確認できない論文が複数あることが9日、関係者らへの取材で分かった。文部科学省も不正の疑いを把握し、東大に通報。東大も採用時の業績に捏造(ねつぞう)があったかどうかを含め、事実関係の調査に乗り出した。
この助教は2003年に東大で博士号(建築学)を取得。05年まで、任期付き研究員として独立行政法人宇宙航空研究開発機構JAXA)」に所属していた。JAXAは9日までに、JAXAの03年度年次要覧に記載された助教の研究発表11本を調べ、4本について「存在が証明できない」などの理由で削除した。
JAXAによると、4本のうち1本は、米国土木学会に所属する論文の著者名が、助教の名前に換わっていた。

ちなみに「博士(建築学) 東京大学工学研究科 JAXA」でGoogle検索すると、当該研究者と思われる人物の業績詐称を検証するWikiが出てきます。これだけで断定することはできませんが、学位の取得年やJAXA勤務であることなど、一致する点がいくつかあるのは事実です。
個人レベルで考えると業績を詐称するのは言語道断と言えますが、大学側も審査の過程で杜撰な点はなかったのでしょうか。ちなみに私の勤務する大学では、採用時及び昇格審査時には業績リストに加えて現物(書籍・学位論文・学会誌等)も提出してもらっています。このレベルでも問題がないとは言えないのかも知れませんが、一応、エビデンスとして押さえている部分です。
大学という社会的に高等教育を担う機関で嘘があってはいけないのはもちろんのことですが、大学側のチェック体制にも問題がないかどうか、もう一度精査すべきでしょう。

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