Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

京都産業大学が全大学院生向けの奨学金制度を来年度から運用

high190です。

京都産業大学が所属する全大学院生(法科大学院は除く)を対象とした奨学金制度を来年の4月から運用することにしたそうです。制度導入のきっかけは、定員充足率の問題。やはりどこの大学院でも学生確保に苦心している実情が浮かび上がってきます。


京都産業大京都市北区)は18日、博士後期課程の全大学院生に授業料相当額を全額給付するなど、法科大学院を除く全大学院生を対象とした奨学金制度を来年4月から導入すると発表した。全員を給付対象とする奨学金制度は全国でも珍しいという。
私学大学院としての生き残り策の一つ。博士後期課程の給付額は文系で平均年51万1千円、理系で同67万7千円。
京産大大学院事務室によると、大学院の定員充足率は、博士前期課程と修士課程が約70%(定員164人)。博士後期課程は約25%(同81人)で学生不足に悩んでいる。制度の実施で年間約6千万円の減収が見込まれるが「活性化を図るためには、院生の充足が必要」(大学院事務室)と導入を決めた。
今回の制度では、ほかに前期課程と修士課程でも、全員に授業料の20%を給付。入学時の成績が優秀な学生には、さらに40〜50%を給付する。
大学は「経済的理由で国公立大の大学院へ行くことも多く、優れた学生に来てほしい」としている。

奨学金は、法務研究科を除いたすべての研究科の学生を対象に、申請により博士後期課程では全員に一律、授業料100%相当額を給付します。また、博士前期課程・修士課程では全員に一律、授業料20%相当額を給付し、さらに入学時の成績に応じて優秀者には、入試種別により授業料50%相当額(合計70% 対象:学内推薦入試)、40%相当額(合計60% 対象:一般入試)の給付を行います。

奨学金の重点的な給付対象は博士後期課程のようです。博士前期課程、修士課程であれば学生もそれなりの数が集まるのでしょうが、博士後期課程だとなかなか学生が集まらないという実情があります。47NEWSによると定員充足率は25%ということですから、開店休業とまではいかないにせよ、かなり定員を割っていることが分かります。
最近では、政府としても博士後期課程の在籍者に対して資金的な援助を行うかどうかの検討を行ったり、博士後期課程へのテコ入れを進めていますが、根本的な問題は博士号取得者の就職難なわけで、そこのところを実業界などと協議していかないとなかなか解決は難しいのではないかと思います。

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