Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

シスコがカリフォルニア大学に研究施設を開設

high190です。
通信機器メーカーのシスコシステムズは、カリフォルニア大学サンタクルーズ校に研究施設を開設したそうです。

米国Cisco Systemsは4月17日、米国カリフォルニア大学サンタクルーズ校(UCSC)のキャンパス内に、ネットワーク技術の研究施設Network Management and Operations Lab(NMO Lab)をオープンした。
Ciscoは最近、顧客サービス・リクエスト・データの大規模リポジトリを検索する技術の開発などで、UCSCとの協力関係を深めている。
UCSCの学生たちは、データの検索時間をおよそ3分の1に短縮できるアルゴリズムの開発に数カ月前から取り組んでおり、Ciscoはこの技術を利用することで、問題解決を求める顧客へのサービス改善ができると期待している。

(中略)

同氏はまた、「Ciscoとの協力関係を築く中で、当校のネットワーキング関係のカリキュラムが改訂され、これまで学生たちには実際に触れる機会がなく、身振り手振りで説明するしかなかったような大型ネットワーキング機器も利用できるようになった。このため、ネットワーク分野の一部クラスでは学生数が倍増した」と語っている。
Ciscoのテクニカル・サービス担当ディレクター、ベド・シャルマ(Ved Sharma)氏によると、同社は、4〜5年前からUCSCと協力関係にあるという。同氏は、「NMO Labは、こうした協力活動のごく一部にすぎない」と強調する一方で、これまでに同社がUCSCに投資した金額については「かなりの額」と述べるにとどまった。
一方、UCSCの幹部は、Ciscoが教員1人に加え、複数のインターンと研究助手の人件費を負担していることを明らかにしている。
Ciscoは、ルータの拡張性に関するプロジェクトでコーネル大学に資金を提供したり、サンノゼ州立大学やウィチタ州立大学にも研究施設を設置したりするなど、UCSC以外の大学でもさまざまな研究活動を支援している。また、オンライン授業や研究支援活動を提供するCisco Networking Academyを通じて、各種の教育機関にも協力している。

いつも思うのですが、米国ではネットワーク関連企業と大学の連携が非常に迅速かつ強力です。大学と企業の境目がないぐらいに、学生が色々なプロジェクトに参画しているような印象を受けるのですが、こういった米国の影響を受けてか最近は日本でもPBL(Project Based Learning)を導入する大学が増えています。中には補助金申請にPBLの活用を謳っている大学もあるようですね。「PBLに限定して」ですが、ここで私が思うことは、日本と米国の大きな違いのひとつに企業と大学の連携の中で最終成果物の出し方なのではないかと思います。

これは補助金に頼る部分の大きい日本の大学の特徴なのかも知れませんが、補助金が交付された場合は公募要領で定められた期間に成果を出すことを要求され、成果報告を所管法人宛に提出します。つまり、プロジェクトの期間はあくまでも補助金の成果報告のためにあるものなので、報告書が成果になる訳です。(たぶん)

また、情報関連企業との連携は大学に情報ネットワークが不可欠であることを考えても、大学・学生にとって最新の情報に触れることで高い教育効果が期待できます。ちなみに、はてなって大学と提携してましたっけ?はてなのツールをオフィシャルにしてしまうというのも面白いかも知れません。学生と教員が皆はてなダイアリーを書いて、TopHatenarの順位を競うとか面白そうなことがたくさんあるんですけどね。

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