Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

文部科学省が大学設置・学部新設時の情報公開対象を拡大へ

high190です。
先日の文部科学省セミナーに行ったときに聞いたことでしたが、新聞報道があったので記事にします。
文部科学省では、来年度からの大学新設・学部等設置について、文部科学省に提出された書類の一部を公表する方針を固めました。この措置が取られた理由として、大学設置に関する事務手続きが簡略化された結果、大学設置基準に違背または極めて準備不足の申請をするよう大学が増加したためとしています。

文部科学省は来年度から、大学や学部の新設の際、教員名簿やカリキュラムなどの資料を公表することを決めた。
2004年の設置基準の緩和で大学の質の低下が指摘される中、認可後に大学側が安易に計画変更することを抑止する狙いがある。週内にも全国の大学などに通知する。
文科省は現在、大学の名称や住所などを公表しているが、それ以外の情報の公開は大学の自主的な取り組みに任せている。
しかし、設置基準の緩和を受けて、大学や学部などの新設が相次いだ結果、経営が安定しない大学の中には人件費を抑制するため、実績のある教授を若手に代えたり、カリキュラムを変更したりするケースも増えている。
このため、同省は2月下旬に省令を改正した。来年度からは、〈1〉カリキュラムや職員数、図書数などを記した基本計画書〈2〉学則〈3〉設立趣旨〈4〉教員名簿――などを同省のホームページ上で閲覧できるようになる。同省は当初の計画を公表することで、大学側の都合による変更を抑制したいとしている。

設置計画履行状況調査、というものがありますが、各大学には設置から完成年度まで当初計画を着実に遂行することが求められています。文部科学省の説明によると、当初の計画に甘さがあったためか、履行状況調査において不適切な事例が大学設置基準の大綱化以後増加しているといいます。これは昨今の大学設置基準の厳格化について、様々な議論がなされたことを元にしています。

先の説明会でも説明がありましたが、文部科学省側からすると「大学の自主性に任せて運用してきたが、一部の大学によって運用面での問題点が浮き彫りになってきた」ということでしょう。確かにそういった側面はあるでしょうけれど、膨大な事務手続を無くして各大学が円滑に教育を行える体制を構築するという規制緩和の利点を排除していいものでしょうか。規制緩和したことの背景には、それぞれの大学が主体的に大学設置を検討し、かつ迅速・円滑な申請が行えるようにするためですよね。

ただ、問題のある申請が増加した背景をしっかり分析しないと、今後の大学教育に規制緩和の利点が何も活かされなくなってしまいます。厳格化する部分とこれまで通り簡略化した部分をうまく融合させることが必要ではないでしょうか。

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