Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

OBの人脈を使って大学ベンチャーを支援、慶應義塾大学・東京工業大学

high190です。
大学のOB会がベンチャーを支援することが増えてきているという記事があったのでご紹介したいと思います。


大学OB会が大学発ベンチャーを支援する動きが広がっている。経営面の指導から製造技術、営業開拓など幅広い分野の相談に応じるもので、投資組合を通じた資金支援も実施している。「愛校心」を活用したベンチャー支援の取り組みで、OB人脈など大学の力を総結集した支援態勢の広がりが期待されている。
慶応義塾大学OB約80人による「メンター三田会」。2004年に設立され、メンバーは商社、メーカー、金融出身者や、弁護士、税理士らで、多くはビジネスの第一線で活躍してきた。
同会の最大の特徴は慶応大学発ベンチャーを支援するための投資組合を設立している点だ。メンバー自身が大学発ベンチャーを対象にした個人投資家(エンジェル)として資金援助を行っている。ファンド規模は数百万円で、すでに2社への出資を実施した。
金融環境が厳しさを増し、ベンチャーキャピタル(VC)からの資金が途絶えつつあるなか、最後の頼みがエンジェルの存在となっており、大学発ベンチャー育成の切り札としても注目される。
メンター三田会は「メンバーの手弁当で活動している」(森靖孝会長代行)としながらも、起業家教育の一環で授業や合宿に参加し、育成支援を行う「教育メンター」や、事業計画のブラッシュアップやアドバイスを手がける「プロジェクトメンター」、人脈紹介を行う「ネットワーキングメンター」といった役割を担っている。
大学教員が出資し設立したビジネスマッチングなどベンチャー支援企業の運営を同会に移管し、さらに「MMインキュベーションパートナーズ」に社名変更し、湘南藤沢キャンパスを拠点に運営。同会を通じて、資金援助から事業化支援といった「ワンストップサービス」を受けることが可能だ。
また、毎年開催されている慶応ビジネスコンテストに参画、受賞者が海外ビジネスコンペに参加する渡航費を補助するなど、「金の卵」を育てる事業なども展開している。
東京工業大学でもOB会によるベンチャー支援が進められている。OB会の蔵前工業会は03年に東京・田町キャンパスイノベーションセンター内に蔵前ベンチャー相談室を開設。起業計画から技術、人的支援の窓口機能を果たしている。
ITや環境などベンチャー企業が特に関心の高い分野で支援組織を立ち上げるなど、専門性に特化したサポート態勢を築いているのが特徴だ。ITベンチャー育成のサポーター交流の場「蔵前ITコミュニティ」を設置。環境分野ではバイオマスエネルギー部会を立ち上げ、研究会の開催も行っている。
大学発ベンチャーは大学教員や学生など経営知識に乏しい者が経営者に就く場合が多い。大学OB会などが支援することで、人材不足の解消につながる可能性もある。「後輩に自らの経験を生かしてもらいたい」(メンター三田会)というOBも多く、力強い援軍として活用する動きが広まりそうだ。

やっぱりベンチャーを支援する人がいるってことは、それだけベンチャー志向のある卒業生がいないと難しいような気がするんですよね。そういう人を育てる環境というか、素地というか。そういう無形の資産が積み重なって慶應東工大の成果に繋がっているような気がするんです。

産学連携にしても、どの分野と提携するかもどういう卒業生がいるかによって決まると言っても過言ではないほど卒業生と大学の関係構築・維持は重要です。先輩・後輩の間でビジネスになったりする、ということも起業家的人材を育成する大学ではよくあることでしょうし、そういった環境作りこそが何よりも競争力の源泉なのではないかと思います。

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