Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

留年防止の対応に追われる大学

high190です。
今年の読売新聞の特集記事で発表になった「大学の実力」。
退学率についても各大学が回答を提出したことでも話題になりました。ちなみに学生の退学とは直接関係ないですが、留年しそうな学生へのフォローって色んな大学でやっているんでしょうか。本学は小規模な大学であることの特性を活かして、きめの細かい学生サービスを目指していますが、そうなってくると問題になるのが留年しそうだったり退学しそうな、いわゆる「問題学生」への対応です。


学生の成績表を父母らに送る大学が増えている。一部の私大では慣例化していたが、近年、早稲田大などの有名私大や国立大にも広がり、北海道大は今春入学の学生から通知を始めることにした。「成績を知ってもらうことで留年が防げる」「学資を出す人への説明責任がある」などが主な理由だが、大学内部には「学生を子ども扱いしていいのか」との懐疑的な意見もある。【山本紀子】
「12学部でアンケートを取ったが、表立った反対はなかった。『もう大人なのに』との異論はごく一部だった」。今春、全学部生の成績表を送付することを決めた北海道大の脇田稔副学長はそう話す。
北大の場合、狙いは「学生のメンタルヘルス対策」という。欠席や留年を経て心身に不調をきたす学生もいることから、履修状況や成績を父母らに伝え、危機意識の共有を図るのだという。
国立大では、東北大が06年度から工学部など3学部で通知を始め、04年度から一部で導入した横浜国立大は現在、3学部で実施している。埼玉大と滋賀大も昨年度から全学部で始めた。
一部学部で通知する神戸大は「国立大学法人になり、保護者へのサービス向上に努める必要がある」と説明している。
一方、私立では、慶応大が50年以上前から通知しているが、明治大(97年)や法政大(99年)のように近年、通知を決めた大学も少なくない。
「わが子の成績を教えてほしい、という保護者の要望が増えてきた。大学と保護者が連絡を密にすることで、きめ細かい学生指導ができる」。4年前から成績送付を始めた早稲田大文学部の担当者は必要性を強調する。
ただ「自学自習」をモットーに学生の自立を重んじる学風だけに、一部の教授からは「早稲田らしくない」と反対の声も上がったという。早稲田大では政治経済学部理工学部も全学生の成績を通知し、人間科学部や法学部は成績不振の学生の親に送っている。
ある私立大職員は「親に言われないと勉強しない学生もいる。履修科目の相談など学生がすべき問い合わせを親がしてくるケースもある。学生も保護者も以前とは変わった」と漏らした。

各大学の学風もありますが、退学率を減らすことは大学の経営にも関わってくることですので、大学関係者の重大な関心事のひとつではないでしょうか。ちなみに退学率を減らすための処方箋?になるかどうか、本学の教員が提案しているのが「休学期間中に納める学費を低く抑え、モラトリアムの期間を設けてはどうか」というもの。
確かにいまの学生には、大学4年間で人生の重大な方向性を決定することは難しいのかも知れません。休学を簡易に行えるようにして、いつでも大学に戻ってこられるようにする。これはマーティン・トロウの言うところの「ユニバーサル・アクセス」段階に入った大学にとって必要な学生支援のあり方なのではないかと思います。

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