Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

国民年金の学生納付特例、大学での窓口開設はあまり進んでいない模様

high190です。
国民年金の納付猶予特例ですが、大学窓口での手続きもできるようになるということでしたが、大学窓口での事務手続きは思ったよりも進んでいないようです。

所得の少ない20歳以上の学生が、在学中の国民年金保険料を後払いできる学生納付特例の申請が本年度、大学でも可能になった。東北では東北大(仙台市)など4校が窓口を開設したものの、事務作業の負担や書類紛失のリスクなどを懸念し、ほとんどは及び腰だ。
社会保険庁は4月、特例事務法人の指定を受けた大学、短大が市区町村の代わりに学生納付特例申請を取り次げるよう改めた。東北で指定を受けた大学は東北大のほか、東北芸工大山形市)、富士大(岩手県花巻市)、東北公益文科大(山形県酒田市)。
宮城社会保険事務局の中村厚・国民年金第二係長は「住民票のある自治体まで行かずに済み、学生にとっては選択肢が増える」と説明する。
各県の事務局は4年制大学を中心に指定を働き掛けたが、大学からは「対応できる人手がない」「万が一、申請書を紛失したら学生の一生にかかわる。責任が重すぎる」と不満の声が上がる。
特に運営費交付金の削減が続く国立大は、負担増に二の足を踏む。申請を取り次ぐ4校のうち、国立は東北大だけだ。
岩手大の佐々木勝則学生支援課副課長は「定員が毎年減らされる中で人員的にきつい。専門性の高い年金問題に答えられるスタッフの養成も難しい」と漏らす。
学生が大学に提出した申請書は、社会保険事務所に届いた段階で正式受理となる。このため、受理までに生じる空白期間を不安視する大学も少なくない。「学生サービスの観点から不安がある。安心して申請できる環境を整備してほしい」と宮城教育大の中嶋靖雄学生・就職主幹は注文を付ける。
岩手大では7月、社会保険事務所の職員が直接出向いて申請を受け付けた。年度内に計4回予定しており、場所の提供やポスター掲示で協力する方針だ。
8月に代行を始めた東北大ではこれまでに1件、申請があった。坂本秀敬学生支援課長は「大規模校として先鞭(せんべん)をつける役割がある。窓口を設けたからには、きちんと手続きしてもらえるよう周知徹底を図りたい」と話す。
[学生納付特例] 前年度所得が118万円以下の大学や短大、専門学校の学生に国民年金の保険料納付を猶予する制度。障害基礎年金、遺族基礎年金、老齢基礎年金の受給資格に算入され、10年以内に追納すれば年金額にも反映される。2006年度の利用者は170万人。指定法人となった大学には申請書1件当たり30円の手数料が支払われる。

確かに大学窓口で新規の仕事が増えるのは抵抗があるでしょう。しかし、国民年金加入に関する学生への啓蒙は必要なことではないでしょうか。20歳を過ぎたら国民全員が加入しなければならないものです。確かに社会保険庁の問題はありましたが、年金という社会システムを支える上で必要なことです。
ただ、記事中にもあるように学生が申請した書類が社会保険庁に届いた時点で正式に受理されることから、最もいいのは年間に何回か社会保険庁の臨時窓口を設置するなどの対応なのかも知れません。大学側に必要なことは学生向けの周知を徹底することと、年金に関する知識を深めてもらえるコンテンツを準備することではないでしょうか。
全てを自前で持つのではなく、より効果的な運用のためにも社会保険庁及び社会保険事務所との連携が重要だと私はこの記事を読んで感じました。

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