Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

関西大学が教授の定年延長制度を5年から2年に短縮

high190です。
大学の意思決定機関といえば教授会です。いわゆる設置者である学校法人は理事会なんですが、いずれにせよ大学にとって意思決定機関である教授会は大学のマネジメントにおける最も重要な組織です。ちなみに教授会の構成員は教員であることがほとんど。京都産業大学が事務職員に発言権を与える取り組みをしていますが、大学の意思決定は教員が行っているのです。

つまり大学の意思決定は教員が行っているため、教員の人事や処遇については非常に会議が紛糾することになります。大学の外から招聘された学長・副学長がよく「人件費だけには手を付けられなかった」というコメントをすることがありますが、これは教員組織の力が大学において非常に強いことを示しています。

そんな大学のマネジメントから考えると「よく実行できたな〜」という取り組みが関西大学でありました。

関西大は、65歳の定年に達した教授に最長5年間認めていた定年延長を来年度から2年間で打ち切る。68歳以降も1年更新で70歳まで再雇用するが、給与は20〜50%カット。減額分の3億数千万円は新たに採用する若手教員らの人件費にあてる。大学全入時代を迎え、教員増による教育・研究力の向上を目指す。
関大ではこれまで、定年になった教授の8〜9割が、学部教授会の1年ごとの審査を経て定年を延長され、65歳時の給与のまま70歳まで残れた。現在、定年延長者は53人で、教員の約8・2%にあたる。
新制度では延長は67歳まで。その後は授業などの負担が少ない「特別契約教授」として雇用し、給与は68歳で65歳時の80%、69〜70歳は50%に削減する。試算では2011年度以降、毎年約3億数千万円の財源ができる。大学側は約4億円の予算を加え、計約60人の教員を増やす方針。
主な私立大の教授の定年は、同志社大が65歳で大学院担当者は5年間延長可能。立命館大と慶応大は65歳、関西学院大は68歳で延長はない。

関西大学では65歳から5年間は定年を延ばせたんですね。普通?大学教員は65歳ぐらいで定年ですので、それからすると厚遇されていると言えるかも知れませんが、前述したとおり大学マネジメントにおける教員組織の力は非常に強大です。
よくぞまあ教授会で承認を取れたものだと個人的には感心してしまいます。何か特別なロジックでもあったんでしょうか?→関西大学の皆様。

一大学職員として、とても気になる事例ですね。

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