Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

北陸の大学で理系研究者の支援制度がスタート

high190です。
今日から6月。気づいたら今年度も2ヶ月が過ぎ去りました。何だか今までは想像できないほどのスピードで時が一気に過ぎ去っていったような気がするんですよね。部署が変われば仕事もがらっと変わる訳で、色んな意味でタフさを身に付けた2ヶ月間だったと思います。

さて、今日は研究者支援に関する記事をひとつ。

科学技術の振興に優れた取り組みを文部科学省が補助する2008年度の「科学技術振興調整費」事業に、県内から金沢大(金沢市)と北陸先端科学技術大学院大(能美市)のプロジェクトが選ばれた。女性や若手研究者を支援する仕組みを作り、能力を引き出そうとする試みだ。
金沢大のテーマは「やる気に応えます 金沢大学女性研究者支援」。新たに学内に「男女共同参画キャリアデザインラボ」という組織を作り、専任のスタッフを置く。3年間かけて教授や講師などの女性研究者の支援体制を整える。
同大の女性研究者数は07年度は154人で、全体の14・5%。特に理工系分野は6・7%にとどまる。女性研究者は子育てと研究の両立にハードルを抱える傾向にあるという。プロジェクトの実施期間は3年間で終了後には女性研究者を10人程度増やし、将来的には全体の25%まで引き上げるのが目標だ。
主な事業は、▽育児、介護休業を取得した女性研究者をサポートする人材を登録する「人材バンク」の設置▽育児、介護休業制度を取りやすくするプランの導入▽同大の保育施設を活用した学童保育の支援体制作り▽高度な専門技術を持った理工系女性研究者のポストの設置――など。同大は「女性が生き生きと活躍できる環境を作りたい」としている。
北陸先端大は、技術革新を担う若手研究者を支援する「キャリア目標に応じた人材養成の戦略的展開」が選ばれた。
08年度から5年間のプロジェクト。博士後期課程の学生や、博士号を取得したが不安定な身分で研究を続けるポストドクター(ポスドク)を中心に、技術革新を担う人材を養成する。
学生やポスドクが先端的な企業で1年〜3か月のインターンシップを行い、研究開発の最前線に入るプログラムを用意したり、連携企業と協力したセミナーを開いたりする。同大は「高い専門性を生かし、企業で活躍できる人材を養成したい」としている。

理工系分野って、研究するにしても泊りが多かったり体力的にも精神的にも相当ハードだという話を聞いたことがあります。(high190は文系だったので、理系の勉強をしていた友人から聞きました)そうなると必然的に男性社会になりがちな訳で、体制的に女性を迎え入れる形にしていくことが大切なことなんですよね。金沢大学の女性研究者の支援はそういった意味で、研究したくてもできない優秀な女性を迎え入れるという意義があります。

女性ならではの視点があれば、研究も一味違ったものになるでしょうし、多様性という意味でとてもいいことだと思います。

北陸先端科学技術大学院大学の取り組みは、ポスドクのキャリア支援。博士号を取得した優秀な人が就職先に困るということでは、社会的にも大きな損失になります。有能な人がしかるべき場所で仕事ができるよう、キャリア目標に適合できるような支援体制がこれから重要になってくると思います。一生懸命勉強した人が報われないのでは、大学での学びに意味がなくなります。上手にマッチングできるような制度が必要です。

金沢大、北陸先端大のいずれも理系研究における現状の問題点への対策を打ち出しています。それだけ、理系研究への危機感が強まっていることの証でもある訳です。研究をする人が安心して打ち込めるような環境作り、これもこれからの大学が見失ってはならないことではないでしょうか。

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