Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

岩手大学のオリジナル牛乳の販売を中止、理由は経営的事情

high190です。
岩手大学が販売していたジャージー種の牛乳が販売中止になるそうです。理由は独立行政法人化による、予算と人員削減のためだそうですが、この商品には固定客が付いていたそうで大学の社会貢献という観点から考えると、ちょっと残念な感じがします。

岩手大学は、付属施設の滝沢農場(滝沢村)で行っているジャージー種の乳牛飼育を今月で取りやめることを決めた。大学の独立行政法人化により、予算と人員の削減が進んだことが原因。放し飼いされた牛から搾る濃厚な牛乳は、固定客が付く人気商品になっていただけに、惜しむ声も上がっている。
滝沢農場では現在、茶色のジャージー種の乳牛29頭を飼育している。1年を通して屋外で育てており、夏は牧場で草をはみ、冬は国産の大豆やデントコーンなどが与えられる。「搾乳のため、建物の扉を開けると、外にいた牛たちは勝手に集まってきて、決まった場所に入っていく。人なつっこくて、賢い」と飼育担当の赤坂茂・技術専門職員は牛をなでた。
農場では以前、ホルスタイン種の乳牛を飼っていたが、品種改良で体が牛舎からはみ出すようになったことなどから、2003年からは比較的小柄なジャージー種に切り替えた。
乳脂肪分が多く、濃厚な味わいの牛乳が特徴。「珍しいジャージー種を放牧し、牛乳に付加価値を付けて販売するモデルケースにしたかった」。岡田啓司准教授は、ジャージー種の導入を決めた理由を説明する。
しかし、04年に岩手大が国立大学法人となったことで、事情が変わってきた。大学職員に労働基準法が適用されるようになり、週末には搾乳のヘルパーを雇わなければならなくなった。人件費を除く大学の予算が毎年1%ずつ減少する上に、人件費の削減も決まり、農学部では07年度から5年間で、5人の職員削減を行う計画になっている。
一方、牛乳の販売額は年間約800万円(06年度)。これに対し、ヘルパー代は350万円で、餌代を加えるとほぼ消えてしまう。乳牛飼育にあたる常勤職員3人の人件費はとても賄えない。さらに、牛舎の老朽化も進んでいたこともあり、飼育を取りやめることにした。乳牛は県内の農場に引き取られる。
岩手大学生協では、ジャージー種の牛乳を、「岩手大学の自然放牧牛乳」として、720ミリ・リットル入りの瓶で500円で販売していた。週1回の入荷で、12日が最後の入荷日になる。宍戸研常務理事は「教員や学生の固定客が付いていただけに残念」と話す。

この牛乳、結構人気商品だったようですね。Webでも商品情報がすぐに見つかりますし、レビューなんかも掲載されています。

ハイクオリティな商品だけにコストが掛かるのは仕方のないことですが、固定客がたくさんいたということを考えると発売中止は非常に残念です。実はこうした商品が大学のイメージアップに大きく貢献している可能性だってある訳です。もちろん、コスト削減の要求は年々厳しくなっていますので、岩手大学が選んだ選択肢を批判するつもりはありません。
ただ、目に見えないブランド価値がこの商品にはあったのではないかと、私なんかは考える訳です。岩手県には小岩井農場がありますし、牧畜のブランド力が高い県であるからこそ、岩手大学の取り組みにも付加価値が加わります。広告としての価値を考えても、岩手県の広報をも担える(商品名に“岩手”と付きますよね)んだよなぁ・・・としみじみ考えてしまいました。
今回は発売を中止するそうですが、機会を見て限定復活!というのも良いかも知れませんね。

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