Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

大学では学生の本人確認をどの程度実施しているのか

high190です。
教務課で証明書の発行を担当されている大学職員の方は、恐らく卒業生からの証明書発行申し込みで悩んだことがあるはずです。それは本人確認書類の提出。平成17年4月1日に施行された、個人情報保護法により、証明書発行に際して身分証明書の写しの提出を義務付けている大学はたくさんあると思います。(というか、確か5,000件以上の個人情報を保有する事業者は守らなければならないはず)
コンプライアンスが重視されている時代ですから、事務手続きが増えても卒業生・在学生の情報はしっかり管理しなければなりません。しかし、コンプライアンスが日本よりも進んでいるはずのアメリカで信じられないような事件が起こりました。

行方不明のサウスカロライナ州在住の女性になりすまし、アイビーリーグの2大学から入学を認められたハイスクール中退の女が逮捕された。警察当局が3日明らかにした。
モンタナ州タウンセンド出身のエスター・リード容疑者(20)は2日にシカゴ郊外で逮捕されるまで、1年以上逃亡生活を送っていた。今週イリノイ州で保釈の是非が検討される。サウスカロライナ州当局は同容疑者を、身元詐称や不正通信の罪で起訴する方針。
捜査官らによると、リード容疑者はサウスカロライナ州トラベラーズレストで8年以上前から行方不明になっているブルック・ヘンソンさん(当時20)の個人情報を何らかの手段で入手し、ヘンソンさんになりすまして大学進学適性試験(SAT)や一般教育修了検定(GED)を受験、名門ハーバード大学コロンビア大学に出願した。
両大学の職員は、「ブルック・ヘンソン」を名乗る学生が在籍していることを認めたものの、プライバシー保護関連法に沿って詳細を明らかにしなかった。
リード容疑者逮捕を受けて、ヘンソンさんのおばは「ブルックは依然行方不明。容疑者の目を直接見て『ひどい人だ』と言いたい」と怒りをあらわにした。ヘンソンさんの家族は2006年夏、ヘンソンさんがニューヨーク市内マンハッタンで無事発見されたとの通知を受けたものの、後日それがリード容疑者のなりすましだったことが判明し、喜びは束の間に終わった。
リード容疑者はヘンソンさんの失踪に関与していないもよう。ヘンソンさんは知り合いに殺された可能性が指摘されているが、遺体は発見されておらず、逮捕者も出ていない。
リード容疑者はハイスクール在学中、成績が悪く目立たない生徒だった。ヘンソンさんが1999年に行方不明になった同じ頃、家族から捜索願が出されていた。

行方不明者になりすまして大学に出願するとは…ちょっと常識では考えられない事件です。
ただ、私にはとても気になる点があります。

  • 大学側が出願情報をどのようにして処理したのか。

行方不明者は8年前から消息が分からなくなっているのですが、存命ならば28歳ということになります。今回逮捕された女性は20歳ですので年齢差は8歳です。入学手続き書類などで気づくことはなかったのでしょうか?確かに、他人の個人情報を入手して何らかの加工を行ってしまえば大学側では確認のしようがないですけれども。
同じようなことが日本の大学でも起こる、と短絡的には考えにくいのですが、本人確認の重要性を知らせているような気がしてなりません。

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