Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

京都産業大学の学部長補佐制は教授会に経営感覚をもたらすか

high190です。
企業の意思決定機関は株主総会ですが、大学の意思決定機関は教授会です。教授会の名のとおり、教員のみに発言権がありますので、職員は書記などを務めることはあっても自ら進んで発言するということはありませんでした。意思決定のプロセスに関係できるかどうか、これは大学職員にとって非常に大きな課題であると同時に、これからの大学運営における重要な問題であると私は認識しています。
京都産業大学では、新たに学部長補佐という役職を新設し、職員を発言権者として教授会に出席させるようにしています。恐らく、こういった取り組みをしている大学はあまりないのではないでしょうか。

大学の学部の最高議決機関である教授会に、「学部長補佐」として登用した発言権のある職員を出席させる制度を、京都産業大京都市北区)が導入した。教授を中心とした大学運営に経営感覚を取り入れ、「事務方」としてのイメージが強かった職員の意識を高めるのが狙い。教授会に、教員以外の職員が発言権を持って同席するのは、「全国的にも例がないのではないか」といい、新たな試みが他大学の注目を集めている。
京産大は昨年10月、7つの全学部と、全学生の共通科目を運営する「全学共通センター」、大学院の「法務研究科」に、職員を対象にした役職である学部長補佐を設けた。これまでも、各学部の事務長が教授会に出席していたが発言権はなく、書記としての役割しか任されていなかった。
学部長補佐は各学部に所属していた事務長と異なり、学長を補佐する「学長室」に所属し、学長と学部長のパイプ役も担う。学部長補佐を設けたのを機に、事務長は廃止した。
経営学部の西浩司学部長補佐は就任後、月1回の教授会に出席しているが、43人の教員を前に「緊張する。求められて発言したことはあるが、自ら発言したことはまだない」という。ただ「事務的な役割だけでなく、自らが学部改革などの大学運営に携わっているという意識は高まった」と効果を強調する。
一部の教授から「大学の経営面での効率が優先され、学部の自治が保たれない恐れがあるのではないか」との声も聞かれるが、大学によると、教員からの大きな反発はないという。京産大学長室は「学部長補佐には、教員と互して発言することを期待している。教職員が一体となって大学改革を進める起爆剤にしたい」としている。

職員の意識を高めるのが狙い、とあります。言われるだけの仕事から自ら主張していく機会が与えられるのであれば、職員にとっても大きな目標になるでしょうし、教授会で発言する以上はそれ相応の知識が必要になりますので自己研鑽しなければなりません。

能力開発を行い、意見表明ができる人材を大学は求めてきているのですね。先生方の補助的業務だけではなく、あくまでも大学職員として専門性を活かした意見を大学に伝えていく機会が今までは与えられていませんでした。今回の京都産業大学の取り組みは大学職員にとって、大きな出来事だと私は思います。

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