Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

Googleブック検索に対抗するベンチャープロジェクト

high190です。
慶應義塾大学Googleブック検索に参加したのは記憶に新しいですね。それに対抗するかのように、国際間大学プロジェクトが始動するようです。

米国、中国、インド、エジプトからなる国際的なベンチャープロジェクトが、約150万冊の書籍をデジタル化し、インターネットで公開したことを27日に発表した。
このプロジェクトは「The Million Book Project」と呼ばれ、米国からはカーネギーメロン大学、中国からは浙江大学、インドからはインド科学大学、エジプトからはアレクサンドリア図書館が参加している。
書籍をデジタル化してインターネットで公開する同様のプロジェクトとしては、米Google、米Microsoft、米Internet Archiveによるプロジェクトがよく知られている。しかし、今回のThe Million Book Projectは、大学が主導するデジタル図書館プロジェクトとしては世界最大規模であると主張している。
今回、プロジェクトのサイトで公開された約150万冊の書籍は、少なくとも半数が著作権保護期間を過ぎており、残りは著作権者の許可を得てデジタル化されたものだ。したがってこの150万冊に関しては、最終的に全文が無料で公開される見込みだ。書籍のデジタル化にはOCRが使用され、コンピュータ可読なテキストへと変換された。それによって書籍は全文検索が可能で、必要に応じてPDAや他のデバイスで読めるようにすることもできる。
デジタル化された書籍の中には、西暦1世紀頃やそれ以前の書籍から、2007年までの最近の書籍も含まれている。また、書籍の分野も歴史、法律、宗教、音楽、天文学、生物学、化学、数学、工学、経済学など多岐にわたっている。デジタル化された書籍の言語も中国語、英語、アラビア語、ヒンズー語、サンスクリット語ウルドゥー語など20以上の言語が含まれている。
デジタル化作業のほとんどは中国とインドで行なわれた。中国では約110万冊が、インドでは36万冊がデジタル化された。最近になってエジプトのアレクサンドリア図書館がこのプロジェクトに参加し、現在では毎日、世界各地で1,000人以上が7,000冊の書籍をデジタル化している。
このプロジェクトには、米国科学財団が350万ドルのシード資金を提供したほか、ハードウェア/ソフトウェアメーカーからの寄附もあった。その多くがデジタル化作業に必要とされるスキャン機器の購入と、スキャン作業、デジタル化作業、分類作業の手法を開発するために使用された。そのほかに米国、中国、インドがそれぞれ1,000万ドルの資金提供を行なっている。
このプロジェクトについて、カーネギーメロン大学コンピュータサイエンス/ロボット学教授のRaj Reddy氏は「このプロジェクトは、万能図書館の理想に我々を近づけてくれる。それはつまり、これまでに出版されたすべての労作をすべての人に、いつでも、どの言語でも提供するということだ。知識を配布するための経済的なバリアはなくなろうとしている」とコメントしている。
また、カーネギーメロン大学コンピューターサイエンス教授で著作権弁護士のMichael Shamos氏は、「全学者は、歴史上のいくつかの時点で、アレクサンドリア図書館が破壊されたことを後悔している。我々は、そのような破壊が将来二度と起こることがないよう多大な努力を払う決意をしている。一度書籍がインターネットに載れば、それらは永久不滅のものとなるのだ」とコメントしている。

こうした取り組みは大学にとってメリットが大きいですよね。ただ、何故「Googleブック検索に参加する」のではなく、独自にプロジェクトを起こすのか?というところが疑問です。あえてGoogleとのアライアンスを組まないことには、恐らくこのプロジェクトが意図する電子図書館Googleブック検索が適合しないからだと思われますが、どうでしょうか?ご存知の方がいらっしゃいましたら、教えて下さい。
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