Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

増え続ける学士号に文部科学省が歯止め

high190です。
大学を卒業した人は「学士」を名乗ることができます。
今日はそんな学士号に関して、数が増えすぎてよく分からないというお話です。

「カルチュラル・マネジメント学」「情報アーキテクチャ学」「人間環境マネジメント」――。いずれも大学の学部を卒業すると得られる学士号の専攻名だ。その数は少なくとも580で、6割は全国で一つしかない。文部科学相の諮問機関、中央教育審議会などは「名前から何を学んだのか分かりにくく問題だ」などと指摘。文科省は専攻名がこれ以上むやみに増えないよう一定のルールを設ける検討を始めた。
専攻名が急増したきっかけは、91年の大学設置基準の大綱化だ。文学士や法学士など29に限られていた専攻名の縛りがなくなった。折しも少子化が進み、各大学は受験生を集めようと新しい学部や学科を次々と設置。カタカナを使った長い名前も多く出現し、それを専攻名に使うケースが増えた。
00年開学の公立はこだて未来大(北海道函館市)のシステム情報科学部には情報アーキテクチャ学科がある。卒業すると、学科の名前そのままの専攻名が付いた学士号が与えられる。担当者は「コンピューター技術を用いて新しいメディアを提供する情報手段の構築者を『情報アーキテクト』と名付けた」と話す。
しかし、最近、こうした専攻名を問題視する意見が目立ってきた。大学評価・学位授与機構の濱中義隆准教授は「各大学が特色を出そうと工夫するのはいいが、社会や受験生がそこで何を学べるのか分からない専攻名は問題だ」と話す。
中教審は現在、全国唯一の専攻名を使う場合は、設置申請の際に既存の専攻名との違いを大学に説明させることなどを、文科省の役割に位置づけるよう提言することを目指して議論している。ただ、自主性を重んじる大学の学問領域にかかわる問題だけに、国によるルール作りに慎重な意見もある。同じ理由で、現状から数を減らす議論には至っていない。文科省は、日本学術会議や各学会とも連携してルール作りに取り組む方向で検討を始めた。

特色と分かりにくさというものは表裏一体で、学部・学科名の特色を出すことに一生懸命だった大学によって、何を大学で学んできたのか良く分からないという結果を生んでしまったのですね。学部・学科名についてはいままで通り自由に設置して良いが、学位については一定の基準を求めるということが日本国としての対応ということになります。
となるとある程度、国際的な基準に則ったような学位規則が定められるのでしょうか?英語表記にすると訳が分からない学位記では、対外的にも証明としてあまり適切ではないような気もしますしね。何らかの基準は必要でしょう。