Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

公立高校と大学の高大連携

high190です。
これまでもお伝えしてきたとおり、関西では高大連携や学校法人間の合併・提携が盛んに実施されています。

[過去記事]
関大、北陽高校を合併へ──08年4月、併設校に(2007/03/18)

進む高大連携(2007/10/19)

神戸市の東灘区に位置する甲南大学は、神戸市立六甲アイランド高校と毎年20名の特別推薦枠を作るという協定を結びました。

甲南大学(神戸市東灘区)は、二〇〇九年度入試から約二十人の特別推薦枠を同市立六甲アイランド高校(同区)に設ける推薦入学協定を二日、同高校と結んだ。少子化による“大学全入時代”を前に各大学は学生の確保に力を入れており、私立大学と私立高校が協定を結ぶケースは増えているが、「公立高校との組み合わせは、全国的にほとんど例がない」(大手予備校)という。(霍見真一郎)
推薦入学協定を結ぶのは、同大学、同高校にとって初めて。両校は〇三年度から、高・大連携の一環として講師の派遣や高校生の大学講義の受講を進めてきた。大学側は「本校をよく知る、意欲が高い地元の生徒をとりたい」とし、高校側も「毎年受け入れ枠が変わる可能性のある指定校推薦と違い、目標校を明確に設定でき、大学まで見通した学習計画が立てられる」と、双方の狙いが合致し、協定が実現した。
協定の有効期間は三年で、その後も更新する方針。運用法は今後協議し、同高校は「甲南コース」といった専門クラスの設置も「検討の余地がある」としている。
甲南大の現時点での受け入れ学部は、文、理工、経済、法、知能情報(来年度開設予定)の五学部。今後、私立高も含めて協定校を増やすことを検討するという。
協定を締結後、同大学の杉村芳美学長は「協定の趣旨を生かすため、高大連携講座の受講などを条件としたい」と述べた。同高校の岡田万里校長は、公立校が私立大と協定を結ぶことについて「進学率が上がる中、さまざまな高・大の接続が必要だ」と話した。

いままで私立学校間の協定については、他の事例もありましたが、公立高校と私立大学の協定というのは恐らく前例がないのではないかと思います。ちなみに六甲アイランド高校も神戸市東灘区にありますので、元々一定数の進学希望者がいたようです。同校のWebサイトに進学実績が掲載されていました。

過去3年間の平均進学者数は47人程ですので、元々一定数の進学者数を確保していた訳です。今回の提携は入学者の安定供給を狙う大学側の思惑と「甲南コース」の設置も見据えて協力を要請したい高校側の希望が一致したことによる協定です。
地域の公立高校は大学にとって魅力を直接的にアピールしやすい点から、今回の協定がロールモデルとなり、他大学に広まる可能性がありますね。