Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

SNSを活用した学生支援がGPに選定

high190です。
最近、企業や大学なんかで「SNSの導入を決定!」とかいうニュース・プレスリリースを多く目にするようになりました。mixiの成功でSNSが一般的に認知されてきたことの裏返しでもあります。(と同時にやはり大学はフォロワーなんだということも思い知らされます)
つい最近ではこんなニュースもありました。

さて、今年度から文部科学省の大学支援事業として新規に策定されたのが「新たな社会的ニーズに対応した学生支援プログラム(通称学生支援GP)」です。この事業が発表されたときに「恐らく、SNSを活用した学生支援で申請する大学があるに違いない!」と思っていたところ、表題に「SNS」の文字が入っているものだけで5件ありました。うーん、SNS効果恐るべしです。

そんな中から実際に採択されたプログラムがあります。

佛教大(京都市北区)は4日、仲間内で楽しむネット上の日記SNSソーシャル・ネットワーキング・サービス)などを活用して、中途退学者をなくすことを目指す学生支援プログラム「『縁(えにし)』コミュニティによる離脱者ゼロ計画」を来春始める、と発表した。
全国の大学では、経済的に困ったり意欲がなくなったなどの理由で大学を中退する学生が増えている。佛教大は学生の悩みをいち早くキャッチして、大学が積極的にかかわることで中退者を減らす仕組みを考案した。
プログラムは、学部ごとに新入生40−50人と教員、職員各1人、上級生3人によるグループ「『縁』コミュニティ」を設置。大学が独自に構築するSNSを使って、入学前からコミュニティ内で情報交換や相談ができるようにする。
さらに、生活指導などを行う1年時の授業もコミュニティ単位で受講し、教職員や4年生らが助言する。責任者の田中典彦副学長は「SNSを使えば、普段分からないような学生の悩みを知ることができ、教職員も支援しやすくなるはずだ。学生同士が助け合える仕組みにしたい」と話している。
同プログラムは、文部科学省の「新たな社会的ニーズに対応した学生支援プログラム」に選定された。全国では、大学、短大、高等専門学校で70件が選ばれている。
(文中強調はhigh190による)

教職員サポートとピアサポートを織り交ぜ、「縁」コミュニティで情報交換をするんですね。入学後はコミュニティがそのままクラスになるというあたり、徹底してますね。有効に活用できれば、高い教育効果が期待できます。
ただ、便利な反面、学生に対して現実とSNSの区別がしっかり付けられるような教育が必要です。特に最近ではmixi内で、大学生による犯罪告白などが増えています。そのためには、教職員がしっかりとコミュニティを見守る姿勢が必要ですね。

Web上で上手に人を導く、ということは実は非常に難しいことです。そのためには教職員自身がSNSの特性やメディアリテラシーを身に付ける必要がありますので、大変だとは思いますが頑張って下さい! ← 佛教大学教職員の皆さま

いまの高校生・大学生はSNSに対しても積極的に活用できますから、今後SNSで学生支援を実施する大学は増えていくものと思われます。今日紹介させていただいた以外にも「うちではこんな形でやってます!」とか「こういうのをやっている大学はないんですか?」といったご教示・ご質問をお待ちしています。

【追記】
今日お知らせした取り組み以外にも、色々な大学の案件が採択されています。

同志社大学は5日、木造の伝統建築、京町家を拠点にした新たな地域教育を11月に始めると発表した。高齢者や大人、子どもらと季節のイベントを開くなど、異世代との交流を通じて、学生の社会性を高める狙い。大学教育の正課とせず、学生に自主的な参加を呼び掛ける。
文部科学省の「新たな社会的ニーズに対応した学生支援プログラム」に採択された。4年間で計1億円の補助金が付く。同大の本部がある上京区で京町家と交渉中で、2軒を借り上げる予定。スタッフと学生30―40人がコアメンバーとなり、学部・学年の枠を超えて参加できるメニュー作りや運営に当たる。
具体的には邦楽・伝統芸能や演劇、アニメなどのサークル活動をはじめ、路面電車導入や地球温暖化などの時事問題について語り合う井戸端会議のほか、節分や節句などにまつわる年中行事を地域と営むことなどを想定している。
「町家は暮らしの知恵や地域の伝統が凝縮した空間。ワンルームマンションと携帯電話では、若者に社会性や組織適応力が育ちにくいといわれる。畳部屋と幅広い世代の地域力で、コミュニケーション力を育てたい」(学生支援センター)としている。

こちらはリアルな人と人の繋がりを重視した取り組みですね。