Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

大学は学生のメディアリテラシーをどう管理するのか

high190です。
ここ数日、大学関連のニュースでWebを騒がせているものがあります。

埼玉大学が、ネットでの書き込みに関する注意を学生に呼びかけたことが話題となっている。「最近、インターネットブログや掲示板等において、大学生が虚偽を含む不正行為等の体験談を不用意に書き込んだことで、当該大学に厳しい批判の声が寄せられるケースが目立っています」との書き出しで始まるこの文章、学生に軽率な書き込みをしないよう注意を払うよう伝えている。
そして、「一人ひとりが社会のルール、インターネット上のルールを守り、埼玉大学の学生としての社会的責任を自覚し、一層モラルを高めていくことを希望します」と締めている。
この注意に対し、ネットでは「『アウトローがかっこいい!』なんて子ども発想の大学生が失敗するんだろうね」「こんなこと大学で注意呼びかけるようなことかね?それも国立じゃねーのココ??」「『軽率な書き込み』に対する注意の前に、『不正行為等』をしないよう指導すべきでは?」といった意見が多く、「ここまでしなくてはいけないのか…」と呆れた論調の意見が多い。
さらに、この注意を引用し、同大学に通っているとされる学生の名前(一部伏せ字)を挙げ、その人物がやったとされる悪行の数々を晒すブログも登場した。

ことの顛末は、埼玉大学に在籍する学生が問題行為を起こし、その内容をmixiに掲載したことで「炎上」したみたいです。こうした、学生によるメディアリテラシーの欠如と思われるような出来事が最近増えています。
今回の対応について、埼玉大学では次のようなリリースを出しています。

最近、インターネットブログや掲示板等において、大学生が虚偽を含む不正行為等の体験談を不用意に書き込んだことで、当該大学に厳しい批判の声が寄せられるケースが目立っています。
インターネットは、不特定多数が閲覧可能であり、書き込み内容によっては予想外の誤解を与え、さらには違法行為と判断されて、他人や団体に多大な被害を及ぼす可能性があります。このため、学生の皆さんには軽率な書き込みをしないよう十分に注意を払ってください。
学生の皆さんには、一人ひとりが社会のルール、インターネット上のルールを守り、埼玉大学の学生としての社会的責任を自覚し、一層モラルを高めていくことを希望します。

上記のリリースは至極もっともな内容ですが、果たしてこのような内容を掲載することで学生の行動に歯止めをかけられるのでしょうか。ただ、何らかの手立てを講ずる必要はありますが、実際問題としては事後の解決でしか対応できないと思われます。

企業でこのような問題が起こった場合、従業員は解雇処分になることが一般的ですが、大学の場合はどうでしょうか。恐らく、退学・除籍処分にまでする大学はまだ少数だと思われます。大学生にモラトリアムが必要か?という問いにも繋がりますが、大学としてどのように対応し、学生をどう教育するのかについて、大学は責任を問われています。
USR(University Social Responsibility)という言葉がありますが、この言葉を浸透させるには、まだまだ時間がかかりそうです。