Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

「学歴」のための大学

high190です。
日本経済新聞で気になるニュースが報道されました。

大学生の2人に1人は「大学に進むのは学歴のため」と考えている――。日本私立大学連盟(東京)がこのほどまとめた「私立大学学生生活白書」で、こんな結果が出た。進学先を選んだ理由も「自宅から通学できるから」が最も多く「無理のない現実的な選択をする学生」(同連盟)の姿が浮かび上がっている。
私大生を対象に4年に1回実施している生活実態調査で、今回は昨年9月から10月にかけて、全国の122校の学生約6600人から回答を得た。回答率は68%。

確かに、大学卒であることがその後の人生において有用であることは、経済的な面からも明らかです。(生涯獲得賃金)
しかし、このような学生の意識に対して大学は何をできるのでしょうか。就職の斡旋は、大学の目的ではありません。大学は社会における「個」を確立した人間を教育するための存在であると私は理解しています。
この記事から読み取れることは、学術・真理探究としての役割を大学が果たせていないという、問題点を指摘されているのではないかと考えます。もはや、大学は就職するための通過点でしかないと。

この記事を根本に考えると様々なことが見えてくるはずです。例えば、論文作成の代行業者が存在する理由についてはどうでしょうか。学生からすると、就職するために大学を出るのであれば、卒業研究など全く意味のないものでしかありません。恐らく学生にとっては、時間の浪費であるとしか取られないでしょう。今日の大学において、論文の剽窃が問題となっているのは、こうした意識の反映と私は考えます。

それでは、いかにしてこのような問題に対応するのか。
私見ですが、もっと大学の卒業基準を引き上げてはどうでしょうか。それは大学設置基準の改正ということも視野に入れたものです。「学生が勉強しない」と泣き言をいうのではなく、強制的に勉強させる。それができないのなら、放校処分も辞さないという「経営から独立した教育のあり方」がもっと議論されてもいい時期に来ているのではないでしょうか。