Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

大学でCIOを養成する

high190です。
大学にはいわゆる「情報課」や「電算機センター」なる部署があります。大学の情報を管理・運用する部署ですね。しかし、そういった部署の人が本当の意味で「情報の専門家」であるかというと、実際にはそんなことなかったりします。(自分のところのシステムには詳しくても、いわゆる骨太な情報処理能力や最近のトレンドなんかについて詳しい人が実は少ない?のかなと)

そういった意味では、大学にはCIO(Chief Information Officer)がいないということです。企業では最近、CIO職を置くところが増えてきているようですが、ほとんどが兼務だったりするので、専業でやっている人はまだ少ないと思われます。

産業技術大学院大学では、来年度からCIO候補を養成するためのコースを設置するそうです。

首都大学東京が設置する産業技術大学院大学(東京・品川区)は、2008年度から情報システム設計の専門家を育成する「情報アーキテクチャ専攻」のカリキュラムを改定する。情報システムの提供側(ベンダー)の人材だけではなく、ユーザー企業側で情報システム設計を主導したり、CIO(最高情報責任者)を務められる人材を育成するための教育内容を強化する。
具体的には、「企業会計」「組織論」などの経営系の科目を増やし、「概念データモデル」「IT投資管理」など経営とIT(情報技術)を結びつけるのに不可欠な知識の教育も強化する。日本IBM出身の戸沢義夫教授は、「企業内にいると若いうちはなかなか『上流工程』の仕事にかかわれないが、将来的にはやりたいという人が多い。そういう人を対象に上流工程について学べる場を提供したい」と説明する。
ソニー情報システム部門を経てマネックス証券でCIOを務めた経験を持つ南波幸雄教授は、「CIOの育成も念頭にあるが、企業の現役役員が大学院に2年間通学するのは時間的に不可能。大学院が果たす役割としては、CIO候補の育成しかない。特に、情報システム全体を設計・管理できる『情報アーキテクト』の資質をベースにしたCIO候補育成を目指したい」と話す。
同専攻は2006年4月開設。現在1年生と2年生の計約100人が在学している。現行のカリキュラムは、経済産業省などが策定した「ITスキル標準ITSS)」をベースにしている。2008年度以降は、国際学会であるACMなどが策定した情報システム教育カリキュラム「MSIS2006」に準拠したものに変更する。
同専攻の特徴である「プロジェクト・ベースド・ラーニング(PBL)」については、2008年度以降も教育の核として活用していく。PBLは現実の課題を解決するためのプロジェクトに実際にかかわりながら学ぶ手法で、現在の2年生は、「インターネット上の新しいビジネスモデルを企画・展開する」「大学内でISMS情報セキュリティマネジメントシステム)の認証を取得する」など9つのプロジェクトのいずれかに参加している。戸沢教授は、「当大学院は論文の代わりにプロジェクト活動をすることで修士号を与える日本では数少ない大学院であり、積極的にアピールしていきたい」と語る。

なるほど、論文を課さない代わりにプロジェクト活動を実施するのですね。
より実践に特化したプロジェクト・ベースド・ラーニングを採用しているあたり、実務経験者向けであると感じます。

ちなみにマイクロソフトでは、大学CIOフォーラムというイベントを実施しています。