Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

「大学職員」から「ステューデント・コンシェルジュ」へ

high190です。
私の仕事は学生と接することが多いので、日々学生支援のあり方について模索しています。
そこで感じることは、個々の学生に合った対応が必要になってきているということです。

「大学職員」という括りではなく、新たな学生支援体制を作るためにも「ステューデント・コンシェルジュ」なんていう専門職を設置するのはどうなんだろう?と考えたりしています。

さて、そんなことに関連してか、大学職員に求められる役割もだいぶ変容してきているようです。

教師力向上という点で、教員と職員の垣根が低くなってきた。

「起立、礼。よろしくお願いします」

今春開学した東京未来大学で10日に行われた「キャリアサポート」の授業は、こんなあいさつで始まった。場所は旧東京都足立区立第二中学校。テレビドラマ「3年B組金八先生」のロケが行われた場所だ。
教壇に立つのは職員の三浦正江さん(29)。同大ではキャンパスアドバイザー(CA)と呼ばれている。全3クラスに1人ずついて、広報などの対外的な事務も担いながら、学生の相談役として学習面や大学生活、就職活動まで支援する。
また、社会人として必要な力を身につける「キャリアサポート」と、発表方法を身につける「プレゼンテーション」の週2コマ、授業も受け持つ。学生の相談に乗ることも多いため、授業自体がホームルーム的側面を持っている。三浦さんは同大開学まで6年間勤めた専門学校でも、同様のスタイルで教壇に立ってきた。
「キャリアサポート」で三浦さんが最初に学生に配ったのは、小学生レベルの日本語ドリルのプリントだった。「氷山の一角」「手塩にかけた娘」「オブラートに包んで話す」「鼻で笑った」といった言葉の意味を2択で選ぶ問題が並ぶ。
授業の後半は、6日に行われた運動会を来年どうしたいか、というテーマでグループごとに討論。学生が意見を述べ、全員参加の授業を展開した。「高校みたいだと思うこともあるが、CAは面倒見が良く距離が近い」と学生の一人。


東京未来大は、全国で26の専門学校を運営する学校法人三幸学園が開学した。保育士や幼稚園教諭、カウンセラーなどをめざすこども心理学部だけの単科大。初年度の学生は114人で、定員の6割を切った。
この日の三浦さんの授業は、クラスの35人中10人が欠席。無断欠席者にはすぐに電話をかけた。欠席が続けば保護者にも連絡する。これも、各専門学校で続けてきたスタイルだ。
FD(教師力向上の取り組み)を担当する大橋功教授(49)は、三浦さんらCAの授業を高く評価する。元中学校教員で、前任の佛教大准教授時代から約10年、FDに携わってきた大橋さんが「学生に私語や居眠りをさせない授業の技術が、教員にとっても参考になる」という。学生を引きつける技術には、教員も職員もないということだろう。
同大では9日から20日までの間、この授業だけでなく、心理学や法学など指定した授業について、教職員が互いに参観できるようにした。従来の大学の常識から当初は「教員と職員の線引きははっきりすべきだ」という声もあったが、今では教員の間で、CAの価値が認識されている。
11日に開かれたFD委員会の会合では、三浦さんが学生との面談結果を報告。個々の学生の名前も挙げ、授業に寄せられる不満の声などについて、教員と情報交換した。日常的に学生と接している綿密な情報が生かされているという。
教員と職員の連携。それはFD強化の第一歩と言えるだろう。

ちなみにこの取り組みをしている東京未来大学は今年の4月に開学したばかりの新しい大学です。

キャンパスアドバイザー(CA)という制度を活用して、より職員と学生の距離が近くすることで学生生活全般の問題をワンストップで解決できるようにするためのものですね。
一般的に?よく言われることは、大学での教員と職員の棲み分けです。通常は教員の立場が上で、職員はそれを補佐するためのものですが、例えばそういった職階に定めのない委員会等でも、各員の暗黙知として定着しています。東京未来大学では、CAという制度を活用することで教員・職員間にあるような分け隔てをある程度、柔軟なものにすることを成功したようです。

目指すところがひとつに定まらないと、大学経営はうまくいかないように思います。
そうした内部でのビジョン共有のためにも、CAのような制度が有効なのだと私は思います。