Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

財政面での折り合いつかず?埼玉熊谷市女高跡地の再開発

high190です。
最近、公立学校の建物を私立大学が有効活用したりする自治体と大学の連携が増えてきています。
しかし、財政面での折り合いを付けるにはやはり自治体・大学両者において、財政面での綱引きが行われているようです。

熊谷市は二十八日、来年三月で廃校となる熊谷市原島の熊谷市立女子高校の跡地利用で、立正大学(東京都品川区大崎)と進めていた同校の付属校誘致の協議を打ち切っていたことを明らかにした。同日行われた市議会全員協議会で富岡清市長が報告した。同校の跡地利用については、県内の私立高校などからの打診もあり、今後情報交換を進めながら有効な跡地利用の具体策を模索していくことになる。
市立女子高は定員割れが続いていたことなどから、二〇〇四年の市議会九月定例会で、〇八年三月限りで廃校とすることを決定。跡地活用について〇五年五月、熊谷市にもキャンパスがある立正大から「中高一貫の付属校を設置したい」との申し入れがあり、市と立正大で協議を進めていた。
しかし、現在の校舎は耐震性に問題があるとされ、建て直す方向で検討。立正大側は市が施設を建設して大学が運営する「公設民営」、市側はすべて大学側が行う「民設民営」を主張し、協議は平行線となっていた。
市立高校を廃校にした跡地に再び公設の学校を建てることは、「市立女子高の卒業生の心情を考えると、とても受け入れられない」(市政策調査課)として、市は協議続行を断念。二十六日に立正大に打ち切りを伝える文書を手渡した。
これまで市は、明治大学とも中高一貫の付属校誘致の協議を進めていたが、財政支援の面で調整がつかずに断念している。立正大などと協議を進めている間に、県内の私立高校や専門学校などから打診があったといい、今後はそれらの学校と話し合いを進めていくという。
協議打ち切りについて、富岡市長は「地元の大学からの申し出だっただけに残念。立正大とは基本的なスタンスが違った。(他の学校からも)引き合いがあるので、情報交換を進めていきたい」と話していた。

この協議打ち切りに関し、市長は「基本的スタンスの違い」であると述べています。
しかし、基本的スタンスにおいて意識共有が図れていないのであれば合意に至らないことは当然であり、記事中には明治大学と協議した際にも財政支援面で調整が付かず、付属校誘致が頓挫したとあります。

財政面での基本的スタンスを確立した上で誘致するならば話は分かりますが、市としてのスタンスが揺らいでいるのであれば誘致を成功させるのは難しいのではないでしょうか。

今後も地方自治体と大学の協定は増加していくものと思われますが、交渉時の認識共有が極めて重要になるでしょう。