Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

暴論?それとも競争的資金獲得?宇都宮大、科研費を申請しない教員は研究費を1割減に

high190です。
大学教員は、大学から「研究費」という名目で使えるお金をもらっています。
それぞれ、先生方の研究分野に従って学会に参加したり、参考文献を購入したりと研究活動には欠かせない資金です。

しかし、大学経営は厳しさを増すばかり・・・

そんな中、宇都宮大学では教員を対象にしたある制度をスタートさせました。

文部科学省に科学研究費補助金科研費)を申請しない教員は、大学が教員に配分する研究費を1割減らします――。財政難に悩む宇都宮大学は今年度、外部資金の獲得をねらって、こんな「お触れ」を全教員約350人に出し、実行に移している。同大は「大学として生き残っていくため、教員に対する引き締めが必要」と必死だ。国立大学協会によると、科研費申請をめぐるペナルティーは珍しいという。
04年の法人化以降、教育研究の基盤となる運営費交付金が年率1%で削減され続けており、同大では年間の削減額は5000万円に上るという。目減りした分の穴埋めが緊急課題となっている。
科研費は、文科省が公募の中から研究内容などを審査して配分するもので、各大学が奪い合うことから「競争的資金」と呼ばれている。科研費を担当する同大研究国際課は「教授も営業活動が必要な時代。自分の研究費は自分で稼いでもらいたい」と力を込める。
同大は06年度に原則、全教員が科研費を申請することとし、今年度からは申請しない教員に「ペナルティー」として教員の命綱である研究費の削減に踏み切った。さらに、2年連続で申請しない教員は研究費を3割削減することも決めた。
その結果、同大の申請率は06年度の73%から、昨秋公募された今年度分では90%に急伸。今年度は過去最多の116件が採択され、総額2億8400万円が交付される。ただ、大学別の配分額では、東京大学の196億3500万円を筆頭に同大は98位にとどまっている。同課は、次は採択率の向上に知恵を絞るという。
一方、教員には大学側の「脅し」ともとれる方針に対する不満がくすぶる。ある文系教授は「教員に対する信頼が感じられず、教員いじめのようだ」。大学側は「地道で基礎的な研究が大切なことは分かる。でも、競争的資金に力を入れる文科省の姿勢に追随するしかない」と漏らす。

教員の研究へのモチベーションを高めることは、大学の研究・教育力を高めることにも繋がります。
これから補助金が漸減していくことは確定していますので、大学として教員に対して何を求めていくのかを明確にしていく必要があると思います。