Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

大学で「本当に公平な貿易」を実践する

high190です。
私は大学時代に経営学を専攻していたのですが、開発経済学の講義を履修していて「フェアトレード」という言葉を知りました。
先進国が発展途上国から貿易不公正による搾取を行っていることにショックを受けたのを覚えていますが、同時に発展途上国の自立を目指して公正な貿易「フェアトレード」というものがあることも知りました。

今日はそんなフェアトレードを大学の売店で実施しているという新聞記事です。

途上国の産品を現地の生産者から適正な価格で買い、自立を支援する「フェアトレード(公正貿易)」商品を、大学内の売店で販売する動きが広がっている。ボランティアなどでフェアトレードにかかわった学生が「身近な所から広めたい」と始めたケースが多く、全国約30大学に上っている。
東京・池袋の立教大学。正門前の売店に、フィリピン産ドライマンゴー、ボリビア産ココアのクッキーが並ぶ。
4年生の阿部隆さん(22)と永沼美佳さん(21)が昨春、フェアトレードに関するイベントに参加して知り合い「大学の売店で販売できないか」と相談しサークルを立ち上げた。
大学側と交渉し、商品の仕入れや管理はサークル側が責任を持つことで認められた。昨年11月から3カ月間、2種類を並べ、5月、5種類に増やして再開した。売れ行きは好調で、1カ月分と思って仕入れた商品が2週間でほぼ完売になった。
明治学院大の横浜キャンパスでは、授業でフェアトレードを学んだ学生の要望で、05年10月から生協売店の一角に商品が置かれている。売れ筋は300円程度のエクアドル産チョコレート。客側の学生の評判も上々だ。4年生の女子学生(22)は「買うことで途上国の支援になる」と言う。
東京農業大(東京)の生協売店に並んでいるフィリピン産のカラフルな定期入れやポーチは、学生の意見も取り入れて、商品開発をしているNGOが改良した。材料は路上に捨てられたジュースパックだ。販売を働きかけた同大生のグループ「7インチ」代表の勝俣あやさん(21)は「入学当時、フェアトレードを知っている同級生や先輩はほとんどいなかった。最近は『生協に商品があるね』と声をかけられる」と言う。
フェアトレードに関心がある学生たちのネットワーク「FTSN」事務局長の小川琢弘さん(23)によると、4年半ほど前に京都市龍谷大学生協が販売するようになったころが始まり。小川さんは、近畿大学(本部・大阪府)に在学中の05年秋、京都市と東京で勉強会を開き、大学の売店での販売にこぎつけたノウハウを講義した。それに参加した学生が、それぞれの大学で実現していった。
横浜市で取り組むネパリ・バザーロの丑久保完二さん(57)は「おいしい食品や、おしゃれな雑貨が若者に受け入れられた。大学は新しい市場になる」と話す。
課題もある。FTSNの小川さんは「大学生にとっては高めの商品。売店に任せきりではなく、学生が一生懸命宣伝しないと買う人は増えない」と話す。

フェアトレードの商品は一般的な商品の小売価格よりも値段設定が高めです。(販売者の利益を確保することで、公正な貿易を実施するため)
そのため、「消費者に購入してもらえるかどうか」ということがとても大きなファクターとなります。
しかし、大学でこれを実施する場合、フェアトレードというものを他の学生にも理解してもらえるような、「体験実習型の講義運営」が可能になるというメリットがあります。一般消費者を対象とした市場でこうしたことを実践するのは難しいですが、大学売店で実施することでフェアトレードへの理解を深めるということは、様々な面でメリットがあるように思います。