Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

経営哲学の大切さ強調 京セラ寄付講座 京大でシンポ

high190です。
本blogでも以前お伝えしていますが、京セラ創業者の稲盛和夫氏が創立した稲盛財団京都大学との連携を行い、様々な形で産学連携を実行しています。

[過去記事]京セラと関西アーバン銀の寄付講座 京大経営管理大学院が開設

今度は経営哲学の重要性を説く寄附講座がスタートします。

京都大経営管理大学院は28日、京都市左京区の京大芝蘭会館で、京セラ寄付講座の開講記念シンポジウムを開いた。京セラの稲盛和夫名誉会長や大和証券グループ本社の原良也会長らが経営哲学を持つことの大切さを強調した。
同大学院はビジネススクールで、京セラの寄付を受けて4月から経営哲学をテーマとした講座を始めた。
シンポジウムのテーマは「株主市場主義を超える経営哲学」。稲盛名誉会長は、配当金など株主利益の最大化をすべてとする風潮に違和感を示し、「社員の物心両面の充実や社会貢献の追求も会社の目的で、その結果として株主利益も高まる」と強調。企業の内部統制強化の動きに対しては「チェック体制充実より、企業として哲学や倫理をしっかり持つことが大切になる」と説いた。
原会長は、日本の株式市場が財務諸表のみで企業価値を判断する傾向を指摘。環境問題や社会貢献への取り組みも投資基準にするSRI(社会責任投資)ファンドの取り扱いが国内で3、4000億円にとどまり、欧米より低水準である点に触れ、「健全な資本主義の発展には、株主や機関投資家が非財務面の企業活動に目を向けて評価することも必要だ」と述べた。

稲盛氏は株主利益の最大化を図る経営には違和感を感じるとありますが、ちょうど同じような指摘をしている人がいます。
著名な経営学者のヘンリー・ミンツバーグです。

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ミンツバーグは「MBA型リーダーは企業を破綻させる」という持論を、米国の企業倒産やCEOの高額な退職金を例にして、日本に対しては単に米国の真似をすることは企業を破綻させることに繋がると主張しています。
この主張は稲盛氏に通じるところがあります。
「日本には日本の経営スタイルがある」と仮定するならば、こうした寄附講座は学問と実務を繋げる有意義なものになるのではないでしょうか。