Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

受験生獲得、まず親から オープンキャンパス競争激化

受験生獲得にはまず親をつかめ――。保護者対象のオープンキャンパスや説明会、保護者用の大学案内などを作る大学が増えている。大学全入時代を迎え、大学間競争が激しくなる中、保護者にターゲットを定める動きが目立ち始めた。
南山大(名古屋市)は3月17日、高校生の保護者を対象に初の「保護者のためのオープンキャンパス」を開催、模擬授業やキャンパスツアー、個別相談会を実施した。
「隣の方とジェスチャーを加えて英語で会話してみましょう」
13人が参加した模擬授業「英語で世界を考える」。講師のショーン・オコネルさん(37)の指導に、最初は戸惑い気味だった父母も和気あいあいと英語を使った表現を楽しんだ。
長女が高校2年生になるという岐阜市の母親(47)は「楽しみながら学べるように工夫され、私が30年前に受けた授業とは大違い。娘にも魅力を伝えたい」と熱心にメモを取っていた。
オープンキャンパスや入試説明会では近年、親子参加や親だけの参加が増え、熱心に質問する姿が目立つという。同大入試課は「保護者に大学の取り組みを体感してもらうことで、安心して選んでもらうことにつながる」と話す。
受験生向けのオープンキャンパスの中で保護者対象の説明会を設定する大学も増えている。関西学院大兵庫県西宮市)の場合、受験生対象の説明会が入試内容や学部・学科の紹介が中心なのに対し、保護者対象は、大学の教育方針や学生の住環境、卒業後の進路、奨学金などを中心に説明しているという。
受験生向けとは別に、保護者用の大学案内をつくる大学も出ている。
中央大学(東京都八王子市)は昨秋、「保護者の皆様へ」というリーフレットを作成した。「司法試験などの資格に強い」「他の私大に比べて学費が安い」など他大学との比較データを盛り込んでアピールしている。
経済産業省の委託でベネッセコーポレーションが実施した調査では、「進路選択の際に意見を参考にした相談相手」として、「高校の先生」の70%に次いで「母」の68%が多い。女子では母が最も多いという。