Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

GCIキャピタル、東京大学経済学部と投資教育・研究など支援・協力に合意

high190です。
東京大学経済学部が投資に関する提携を行います。

東京大学大学院経済学研究科(研究科長:植田和男)とグローバル投資とオルタナティブ投資に特化した投資サービスをグループを通じて提供する、株式会社GCIキャピタル(代表取締役社長:山内英貴、以下GCIキャピタル)は、東京大学大学院経済学研究科・経済学部において投資活動に関する教育・研究につき、様々な支援・協力を行うことで合意いたしました。

東京大学大学院経済学研究科・経済学部は2005年4月に設置した大学院の「金融システム専攻」、及び「金融教育研究センター」に加えて、高度な金融教育・研究を一層充実させていくため、2007年4月に「金融学科」を設置する予定です。

GCIキャピタルは、グローバル投資・オルタナティブ投資に特化したサービスを提供する独立系企業で、「投資立国日本に貢献する」ことを企業ビジョンに掲げております。今般、東京大学経済学部の金融学科創設に際し、金融教育・研究支援を目的として「金融学研究振興基金」に寄付を行うとともに、オルタナティブ投資を含めた多様な金融投資活動に関する教育・研究について協力を行ってまいります。その一環として、東京大学経済学部に新設される講義「オルタナティブ・インベストメント」にGCIキャピタルの役職員が非常勤講師として参加し、グローバルなオルタナティブ投資の実績・経験に基づいた実践的な知見を提供する予定です。

GCIグループは、今後も東京大学大学院経済学研究科・経済学部と連携協力し、我が国の金融・投資に関する教育・研究活動の増進、将来を担う人材の育成に貢献してまいります。

以上

東京大学は4月から金融学科を設置しますが、その一環で今回の提携に至ったのですね。

東大経済学部に来春、88年ぶりに新学科が誕生する。

1919年(大正8年)にできた経済学部は、経済学科と経営学科の2学科だけの状態がずっと続いてきた。その学部に来春、金融学科が新設される。金融派生商品デリバティブ)取引など、最新の金融工学を研究し、マクロな金融政策や金融システムも学ぶ。

「金融取引のプロだけでなく、『金融の光と影』を分析できる人材を育てたい」と植田和男学部長(55)。「欧米の経営学大学院(ビジネススクール)の内容を学部で教える」という言葉に意欲が表れる。

構想から4年、本格的に始動して2年の異例の速さでの実現は「独立法人化で大学の自由度が高まったたまもの」(小宮山宏学長)。国からは、学科新設に伴う定員増や教員増は認められなかったが、学部内で定員をやりくりした。

また、みずほフィナンシャルグループによる寄付講座もできる。人件費もみずほ持ちで、金融の第一線で働くみずほの30〜40歳代の社員が、金融実務の講義をすることになる。

「大学教育は現場ですぐ役立たない」

「実務家は経済学を体系的に学んでいない」

大学と金融の現場には相互不信があり、これまで人材交流は少なかった。自社内での人材育成に力を入れる銀行は、大学にあまり期待していなかった。

東大には2年までの成績で進路が決まる進学振り分け制度(進振り)があるが、文科2類の学生はほぼ全員が経済学部に進学できた。就職にも恵まれていたため、忙しい順番に「理1、文3、ネコ、文2」と、ネコよりも勉強しないとやゆされることもあった。

教授陣は、今でもマルクス経済学の流れをくむ人が多く、現実重視の一橋大と比較して、良く言えば「アカデミック」、悪く言えば「時代遅れ」と言われた。

金融学科新設は、こうした状況に風穴を開けるのが狙いの一つだ。

みずほグループは東大生の一番の就職先で、今春、大学院も含めて96人が就職した(東京大学新聞調べ)。

寄付講座は、同社が社会貢献で取り組む金融教育の一環でもある。経営企画部の江川透次長(46)は「高度な金融実務を学部レベルで教える東大の試みは画期的。金融の知識を持った大学生が増えることは、結果的に、銀行の人材のレベルアップにもつながる」と評価する。

新学科の定員は70人。「高度な数学を必要とするため、3分の1から2分の1は、理系からの進学を期待している」と植田学部長。

進学振り分け制度の改革で、これからは、科類に関係なく進路を選べる枠が拡大。経済学部には、340人の定員のうち、最大70人が文科2類以外から進学できるようにもなる。文2からでも、成績次第で経済学部に進めない学生が増えるわけで、経済を学ぶ学生気質にも変化が及びそうだ。(杉森純)

進学振り分け制度 3、4年で所属する学部・学科を、学生の希望と2年夏学期までの成績で決める東大独自の制度。理科1類は理、工学部、2類は理、農学部、文科3類は文、教育学部に主に進学。文科1類と2類、理科3類は、ほぼ全員が法、経済、医の各学部に進学できた。2008年度からは、科類に関係なく進める「全科類枠」が各学部にでき、進路選択の幅がより広がる。

この学科、学部レベルで欧米の経営大学院の内容を教えるとあります。
ここで育った人材が日本の金融機関に就職してくれればいいのですが・・・現実には給与のインセンティブが大きい分、外資系企業に就職する人が多そうです。「国益」という観点に立つと、優秀な人材の流出は極力避けたいものです。