high190です。
11月9日(金)に東北大学 で開催された標記セミ ナーに参加しました。参加記録のメモを公開します。
RPA(Robotic Process Automation)の大学業務への活用は、労働力減少や業務効率向上に直接的効果があるものとして、現在の大学業界でホットトピックのひとつです。大学での具体的な活用どう行えるのかを知りたくセミ ナーに参加しました。以下は記録メモです。主観が入っていること、内容に誤りが含まれる可能性があることを予めご了承ください。
www.ihe.tohoku.ac.jp
開会挨拶:齋藤仁(東北大学 事務機 構長)
高等教育を取り巻く外部環境の変化に伴い、東北大学 でも事務改革の必要性が内外から指摘されている。そうした折、高度教養教育・学生支援機構の大森先生からセミ ナーの案内が来たので、事務機 構も協力する形での開催となった。大学の事務職員に求められる成果の達成に向けて、業務の効率化に向けて何ができるのかを考えていってもらいたい。
趣旨説明:大森不二雄(東北大学 高度教養教育・学生支援機構教授、大学教育支援センター長)
今日は理事、事務機 構長も含めて東北大学 から多数の参加者がいる。遠くは九州からも来ていただいている。本セミ ナーはSDPシリーズとして開催しているが、大学設置基準で義務化されたSD、教育・研究力強化のための大学運営力として教職員の資質向上を図るものである。今回のテーマはRPA・市場化テスト という先端テーマを選んだ。今日、日本の大学は人手も資金も足りない状況であり、政府に対して財政的な支援を求めていてこれは今後も継続すべきだが、外部環境の変化(少子化 ・人口減・低成長)に対応するために、業務効率の向上・改善は不可欠である。
これは日本の他組織では既に行われており、大学は必要に迫られているにも関わらず対応が遅れているのが現状である。本テーマの2つはまさに直面している問題を解決する切り札になり得る。
講演:高等教育機関 におけるRPAによる定型業務の自動化と創造的業務への集中 村山典久氏(スカイライトコンサルティング 株式会社事業開発特別顧問)
自己紹介
現状の「やりたくない仕事(定型業務)」を「やりたい仕事(創造的業務)」に振り分けていけるか、RPAを活用した事例として紹介したい。
コンサルタント としてキャリアをスタート。2004年に国立大学法人 滋賀医科大学 で経営担当理事として10年ほど勤務。その後にアクセンチュア に戻り、スピンアウトで設立されたスカイライトコンサルティング にて業務改善などのコンサルティング を行っている。
民間企業では2014年頃から金融機関を中心にRPA導入が始まり、製造業・サービス業にも波及している。しかし、高等教育機関 ではまだ導入が進んでいない。企業から3周ぐらい遅れている。中教審 のグランドデザイン、*1 他業種の動向も踏まえて大学の現在の状況を整理する必要がある。
日本が抱える本質的課題
先進7カ国の労働生産性 が最下位。直接的業務よりも間接的業務への比重が大きい。労働力人口 の減少が見込まれ、中長期で事業体の持続的成長の危機に直面。
課題解決に向けた方向性 RPA(Robotic Process Automation)の活用
主にバックオフィスのホワイトカラー業務の代行。ロボットによる業務自動化。人間が行う業務処理手順を操作画面上から登録。知的労働者の業務はより多様化・高度化。タスク・シフティング。
RPAツールのデモ
日常的にPC上で操作しているシステムへの入力等の業務を、RPAで解決している事例を紹介する。システム場の業務手順をフロー化。手順をロボットにシステム上で学習させ、自動化する。Web・内部システムからの情報の取得を自動化してExcel にリスト作成。システム上の情報入力について、Excel からデータを読みだして、Web上のシステムへの入力を自動化する。自動化にはHTML・画像認識などの技術を活用して行う。東京慈恵会医科大学 で学長アドバイザーをしており、実際に慈恵医科大でRPA導入したところ、70分かかっていた入力が12分程度で終わる。5倍の生産性向上。
RPAの特徴
代行:人間のルーチン作業を代行、人間の貴重なエネルギーをルーチン作業から解放
能力:人間と比べて、圧倒的な作業スピードと正確性、24時間365日は炊き続け、辞めることもない
変化:システムは、事業・業務の変化のスピードについてこられない。変化に柔軟かつスピーディな対応が可能。
ザ・トップリーダーズ での放送事例#11
業務フローの定義・統一的見解がなければ自動化も危うい?まずは定義することが重要ではないか。
高等教育機関 における労働力上の課題とRPAの適用可能性
事務職員
労働力人口 の低下、2018年問題による志願者減、補助金 減による総事業費減少。しかし高等教育機関 のサービスが継続される限り事務量は減少しないので、事務職員へのしわ寄せ等複雑な課題が逼迫。優秀な人材に仕事が集中。特定分野の業務経験を積み重ね、専門能力を向上させ、マネジメントリーダーになるべき人材の開発ができなくなる。そのための時間的リソースを作る出す必要性。定型業務を自動化して企画・マネジメント業務にシフト。
教員
高等教育機関 のコンプライアンス 、ガバナンス、所轄省庁などからの圧力で管理運営業務に割く時間が増加。研究の質的向上の阻害要因。RPAを活用して教育・研究へのシフト。
高等教育機関 におけるRPAを活用した業務効率化の可能性
適用可能領域
インパク ト大:企画事務領域、総務・人事事務領域、財務・経理 ・契約事務領域、教員業務サポート機能、附属病院事務領域
インパク ト中:教務・学生事務領域、監査領域、施設事務領域
インパク ト小:研究事務領域
高等教育機関 におけるRPAを活用した業務拡張の可能性
学生の継続的な授業欠席者監視ロボット(エンロールマネジメントの支援)、教員に最適な競争的研究公募情報の案内ロボット(競争的資金の獲得支援、URAの業務を一部代替)-
デジタルレイバーとの共存時代へ
任せるべき仕事の選定
やりたくない仕事
やりたくてもやれない仕事(毎週、学生の授業出席状況をチェックし、学生のフォローをしていきたいが負担が大きすぎる)
人間が気づきにくい仕事(新たしい公募事業が出された、ソーシャルメディア 等での情報)
人間が忘れやすい仕事(申請書や書類を期日内に出し忘れた)
人間が間違えやすい仕事(ル—チンのチェック業務)
まずはフィージビリティ スタディ から始める。
定型業務をデジタルレイバーに代行させ、真に大学発展に寄与する付加価値の高い業務へとタスク・シフティング
高等教育においてRPAを活用した業務効率化の余地は極めて大きい
デジタルレイバーは業務効率化だけではなく業務の拡張(オペレーティング・オーグメーション)にも貢献
RPAを導入しても、決してやりがいのある仕事が無くなるわけではない。(現在は労働力不足の時代)
質疑応答
導入コスト・メンテナンスコストは?
様々なソフトウェアがあるので、何を選ぶか、またどの程度代替させるかによるが、概ねライセンス料・年間500〜1,000万円程度である。ライセンスの中であればコストの上積みはない。しかし、代替させる領域が増えればその分、当該業務のロボット開発がある。RPAも自ら開発するものと、業者に開発してもらうケースがある。業者に開発させる場合、そのコストがかかる。
講演中にYouTube 動画が放映されましたので、以下にURLを貼っておきます。
VIDEO www.youtube.com
また、大学業務へのRPA活用は先行事例等もいくつかあります。2018/07/25に早稲田大学 で開催された「大学における業務構造改革 の実践~RPA活用の可能性~」の資料が公表されているので、参考まで掲載します。加えて、リクルート カレッジマネジメントで吉武博通先生が書かれた論稿が非常に参考になるので、掲載します。
ACPA 2018年度大学向けセミ ナー
リクルート カレッジマネジメント
RPAの適用可能領域についての話がありましたが、いわゆるバックオフィスで効果が大きく、他業種で先行導入が進んでいるので事例として参考にすると良いと思います。しかしながら、講演を聞きながら感じた事のひとつに「まずは各大学が自学の業務を定義しないと前に進めないのではないか?」という点です。吉武先生のカレッジマネジメントでは日本生命保険 相互会社のRPA導入経緯、導入後の事例が紹介されており、大学にも当てはまるRPA導入の本質です。
www.nissay.co.jp
RPAを早い段階から経営に導入しているようだが、現在の業務のデジタル化の状況は。また、それが職員の働き方をどのように変えていくか。
当社は、RPAの導入に、2014年から取り組んできたが、何度も失敗している。重要なことは2つあると考えており、1つ目は、人間が行う実務やノウハウの見える化 である。実務を熟知していなければ、ロボットに置きかえようとしても、イレギュラーケースに対応できず失敗してしまう。2つ目は、実務の変化に応じてAIやロボットを育てること、また、そのAIやロボットを育てる人のマインドを醸成することである。例えば、当社ではRPAに「ロボ美」と名前を付け職員名簿にも載せることで、職員がロボットを仲間として育てるようになってきている。現在では、53台のロボットが各業務において活躍している。
なお、単にデジタル技術だけを導入しても、業務全体への効果は薄いと考えている。新たなデジタル技術に加え、これまでのシステムや、人が介在するプロセス、この三つを業務プロセス全体にどのように組込み、どう変えていくかが重要である。プロセス全体の見直しによって、それに携わる一人ひとりの働き方が効率的になり、生産性が上がっていく。
また、それによって、資源を成長分野やお客様サービスにシフトすることができると考えており、そのような点も念頭に置いて、会社全体の効率性、生産性を上げていきたい。
失敗経験から成功に繋げるまでのストーリーはどの業種にも共通するものでしょう。
講演:「市場化テスト (民間競争入札 )」で経費の削減とサービスの質の向上を 仁木俊二(総務省 官民競争入札 等監理委員会事務局参事官補佐)
自己紹介
社会の流れの中の国立大学
第二次大戦後、教育制度の改革:複線型から単線型の制度に移行
高度経済成長で国立大学は施設の拡大と大学数の増加
経済の安定成長・財政再建
行政・行財政改革 を志向。3公社の民営化、官から民への移行。独立行政法人 制度(エージェンシー化)。
21世紀:巨大独立行政法人 2004年(国立病院機構 )、国立大学の統合(国立医科大と地元国立大の統合、機能別の統合:筑波大+図書館情報大、大阪大+大阪外大)
国立大学の法人化(2004年)
国立大学の法人化は「財政支出 の削減を目的とした「民営化」とは全く異なるものです。」(文科省 HP)、文科省 の直轄ではない。
国立大学法人法 のもと、自分たちで運営を決め、進めていく。主な収入は運営費交付金 と授業料・入学金、附属病院があれば診療報酬。
国立大学法人 のアンブレラ方式(名古屋大学 +岐阜大学 )、学校法人立命館 の例(1つの法人が立命館大学 と立命館アジア太平洋大学 を持つ、ちなみに東京農大 も同様事例だが取り上げられることは少ない。東京農大 +東京情報大)
渡しきりの交付金 (税金)、授業料等が収入の基本。大事に使う。可能な限り収入を増やし、可能な限り支出を減らす。しかし「(教育研究の)品質」は下げない。できれば上げていく。その一方策としての「入札改革」
入札とは
市場化テスト とは
1970年代から米国、英国、豪州等で公共サービスを官と民が競争入札 する「市場化テスト 」取り組みが開始。
我が国「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律」(2009年)、対象行政機関等には独立行政法人 、国立大学法人 も含まれる。
我が国の市場化テスト :官民競争入札 が2%、民間競争入札 が98%
「市場化テスト (民間競争入札 )」で大学の事業・業務の見直しを。
施設管理:設備の点検管理、警備、清掃、植栽などを1事業にまとめ、複数年度化する。専門家に諮って充実。経費節約・サービスの質向上。統合・複数年度化することで入札関係業務の効率化に。
有識者 による第三者 委員会(監理委員会)の助言・チェックを受ける
施設管理・運営の経費削減等の例
(公共サービス改革法による)市場化テスト (民間競争入札 )とは
普通の入札とどう違うのか。
対象事業・業務を学内関係者が改めて見直すことから始める
入札実施の「標準例」を総務省 で作成。(競争性や業者の創意工夫などサービス向上の視点)
有識者 による第三者 委員会(監理委員会)の助言・チェックを受ける(監理委員会の小委員会で入札実施要項を確認し、公認会計士 ・弁護士・大学教員がアドバイス 。要項案の審議は1度)
まとめ
入札事務・内部関係者だけでは、その事業の見直しや入札に関する情報収集、競争性を高める工夫が限定される。
サービス事業の「経費の削減とサービスの向上を図る」には、市場化テスト (民間競争入札 )の活用が有効
長年の入札充実のノウハウによる要項案づくり。専門家のチェックを受けることで要項案が充実。
事業、業務を改めて見直すきっかけに。
競争性を高める。
経費削減・サービスの質向上を。
契約事務の省力化
質疑応答
良い制度だと思うが、アンケートの満足度は90%となっている。残りの10%をどのようにするかが課題と思うが、どうか。
様々な事業を実施するので、全て満足というわけにはいかない部分ではあるが、概ね満足いただいているのではないか。
市場化テスト 自体は良い制度だと思うが、具体的な費用などはどの程度かかるのか。
基本的に小委員会は東京で開催される。各大学の担当者が小委員会での審議の折、旅費等の実費のみがかかる。コンサルティング 料などは要しない。
主に国立大学法人 が対象の内容だと思いますが、調達関係業務の効率化に「市場化テスト 」が有効活用できる可能性との講演でした。講演者の仁木さんが文科省 から内閣府 に出向している点もポイントです。
国立大学法人 の場合、大学の規模にもよりますが広大な敷地・施設を保有 しているケースが多いと思われ、維持管理コストだけでも相当の金額になルことは容易に想像できます。市場化テスト を通じて、民間競争入札 を活用した適切なコストでの業務委託実現は、運営費交付金 が削減され続けている国立大学法人 の経営に大きなインパク トがあると感じました。
-討議(大森不二雄教授、村山典久氏、仁木俊二氏)
大学で入札を行なっているが、市場化テスト を活用する場合、パッケージ化や複数年化することが大切だと書かれているのだが、それ以外に委員会などでは具体例をもう少し教えて欲しい。
業務の複数年化と包括化の話が出たが、それ以外に分割するという例もある。それぞれの業務が個別に大きく、包括化することで事業全体の規模が大きくなると体力のある事業者のみになってしまい、1社応札になるケースがある。その場合分割した方がメリットがでるので、そうした点を小委員会ではアドバイス する。基本としては今のようなケースもある。小委員会では柔軟に中身を見ていると思われる。
RPAの仕組みは業務の改善に繋がると思うが、各ユーザーがやってみよう・使ってみようと思うのが大事。ユーザー側が自動化にあたって推進しようとする仕掛けが必要だと思うが、どうか。
現在市場にあるRPAでも自分たちで作るものもあれば、業者に開発を委託するケースもある。各大学によって事情が異なるが、自分たちで開発していきたいという意見が多い。20〜30代の若手職員、女性職員が推進するケースが多い。ユーザビリティ はどのソフトウェアでも機能面比較は重要だが、厳密な比較などをやるのではなく、まずはデモを含めたテストなど、実際のシステムに触れてみることから始めるのが良いと思う。個別大学の職員のICTリテラシー によって異なる。東北大のような大規模大学の場合、部局によっても異なると思うので、全学的導入をいきなり考えなくても良いかもしれない。少なくともMicrosoft Office が使える程度の知識は必要。RPA作成にあたっても、業務フローが簡易に構築できるケースであれば問題ないが、附属病院業務などの場合は電子カルテ などの専門的知識が必要になるので、そういった内容であれば外部の専門業者の支援が必要である。
RPA化対象業務の選定事例について、RPAに向くものとそうでないものがあると思う。具体的な選定作業の手法を教えて欲しい。
個別の大学によって異なるが、この事例ではまずデモを見せた。また6つのコンポーネント を提示し、転機・情報収集・データのチェック・メール操作・大量印刷などがないか?と問いかけた。その問いに対して、RPA化できそうなものを出してもらい、その内容をコンサル側でできる・できないを判断していった。一番進まないのは、洗い出しが進まないケースである。その場合にはコンサル側が業務ヒアリ ングを行い、コンサル側が洗い出しを行ったケースもある。これは非常に時間がかかる。事業体によって洗い出しのレベルは異なるが、国立大学法人 ・大規模私立大学はスムーズ。小規模の私立大学の方が戸惑うケースが多かった。このケースでは課長級が会議に参集され、各課で情報を収集していた。
RPA導入にあたり、ルールというか業務フローの整備が先ではないかと思う。実は業務フロー整備ができているかいないかが重要なのではないかと思うが、どうか。
学内の業務標準化がなされていた方が早い。ある大規模大学で部局の会計業務を本部に集約したかったが、部局ごとにバラバラだった。まずは業務の標準化をする必要があったが、RPA化とあわせて実施したので、大きな削減効果があった。
国立大学や大規模私大で業務標準化を行うのは相当のパワーが必要なので、まずは部局別に初めてそこから広げていく手法が良いのでは。
市場化テスト を使うことでコスト削減に繋がった事例があると思う。これが国立大学に広がっていかない理由は何か。市場化テスト を大学側がさらに活用するためには何が必要なのか。
全体的にはいい仕組みだと思うが、個別のケースに応じて状況が変化することはある。例えば東北大学 の場合、規模が大きいゆえに包括化が難しい面がある。
しかし、中小の大学は地方所在のことが多いので、そもそも応じられる事業者が少ないということもある。これは個々の職員が「やる気がない」訳では決してないが、様々な部局で働く職員がアイデア を出していくと良いのではないか。色々やってみて、1社応札が回避できず、市場化テスト を取りやめたケースもある。また、各大学の担当者が「新しいことに取り組むと仕事が増える」という認識を持っていることも広がらない一因もあると思う。
導入時の洗い出し作業と同時に、実際に使用者がトレーニン グを受けていたという話だが、こうしたトレーニン グコースの期間・所要経費などはどの程度か。
職員が作っていく場合、トレーニン グは必要。職員のスキルセット、大学の懐事情によるが、一番お金がかからないのはeラーニングでの学習だが、スキルセットの高い人が受講するケースが多い。これは無償である。その次は3日の研修+eラーニングの組み合わせ。これは数十万から100万円程度。その次はPOC・実証実験。3日間の研修を受けたのち、簡単なRPAロボット作成を行う。その後に実際の運用をしてみて、ということ。RPAのシステムに関しても、大学の規模などに応じて最適なソリューションを設定することが重要だと思う。役員・現場の両方が必要性を認識している場合、導入がうまく進むと思われる。
例外的な業務書類の場合、RPAはどう動くのか。
実際にそうしたケースは結構ある。RPA導入しても、1割程度はデータ投入できないケースもある。RPA作成を改善して解決するケースもあるが、例外の場合の作業手順を把握しておくことが重要。
Web上からデータ取得する場合などは例外処理が起きにくいが、属人での作業が介在する場合には入力ミス等の可能性を排除できないので、その点は難しい。
RPA化の業務洗い出しで、業務平準化の話が出た。東北大学 でも業務平準化の必要性は認識しつつ、部局によって文化が異なることは苦慮している。RPA導入を進めるにあたり、標準化を浸透していくやり方などもあると思う。事例などあれば教えて欲しい。
業務標準化とRPAは並行して進むケースもある。ある企業での事例だが、RPA導入にあたってRPA導入・業務改善・業務標準化を三位一体で進めていたケースもある。加えて業務必要性を洗い出し、事業継続性についてのコンサルティング などを行なっているケースもある。
以上、業務改善についての興味深い話を聞くことができました。特にRPAについては以前から興味を持って情報を収集していたので、概要だけでも分かったことは収穫です。RPA活用によって業務効率化は図れると思いますが、以前当ブログでも取り上げた「大学マネジメント・業務スキル基準表」の活用など業務プロセス可視化とセットで考えないと、導入しても失敗する可能性が高いことが想定されます。業務構造の質的転換のためにもRPAをきっかけにしたアプローチは今後増えていくでしょうが、業務プロセス可視化とセットであることは重要なポイントです。また電子決裁システムの導入なども可視化に必要なプロセスだろうと考えられます。
high190.hatenablog.com
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まず業務の可視化に手を付けないとRPAのようなテクノロ ジー の恩恵を受けることすらできないこと、大学マネジメント層がここに目を向け、RPA活用も含めた業務改善のビジョン・アクションプラン策定を行えるか否か。少子高齢化 時代を生き残れる大学かどうか、大きな分かれ目だと考えます。先だってご紹介した吉武先生の記事に核心を突いたコメントがあるので、以下に引用して終わりにします。
「業務の可視化」は業務改革における最大の課題であり、ITベンダーやコンサルティング を活用したとしても、業務担当者が当事者意識を持って能動的に関わらない限り、期待通りの成果を得ることは難しい。業務改革の経験に乏しい大学にとっては、RPA導入に当たっての最大の関門になると思われる。そのためにも、業務改革がなぜ必要か、RPAとは何か、組織と個人に如何なるメリットをもたらすか等について、担当者の理解を得るまで根気強く説明する必要がある。加えて、基礎的な業務分析手法の習得を含めた研修を行う必要がある。