Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

平成30年度第22回大学行政管理学会定期総会・研究集会に参加しました

high190です。
桜美林大学で開催された研究集会に参加したので記録メモを公開します。今年のテーマは「未来予想図を描こう」です。なお、2日間のプログラムの流れについてTogetterでまとめられていますので併せてご確認ください。私の記録メモは2日目の分科会からの記述となります。

2018年度第22回定期総会

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togetter.com

分科会1 テーマ:「大学職員とJUAMの国際化~これまでの20年、そしてこれからの20年~」

「国際化の沿革と学会創設から10年ぐらいまでを振り返る〜アメリカの大学行政管理職員(アドミニストレーター)を目指して〜」澤谷敏行氏(元・関西学院大学国際連携機構事務部長、中国蘇州大学外国語学院訪問教員)

  • JAFSAでの取り組み
    • 中国留学から戻った段階でJAFSA*1に参画した。そこからJUAMが発足したため入会。JUAM第1回大会でも中国の大学行政管理について発表。学会の先輩にはJAFSAで活躍した人が多く、学会自体が国際化と切り離せない状況だった。
    • 現在でもJAFSAは大学の国際交流団体の窓口を務めている。JAFSAとJUAMは競合関係ではなく役割分担する存在。米国での1ヶ月間の研修で国際交流を学んだ。
  • 米国の国際交流の基本姿勢
    • 楽観主義
    • 柔軟性(規定に縛られない柔軟性)
    • 地方分権主義(州単位)
  • 日米の比較
    • 日本の職員と比較すると職員の裁量が多く、かつ専門性が高い。ディレクターはPh.D保持者。
  • 国際交流組織の運営方式。
    • 日本は出島方式で国際交流部門が担当。海外交流にはモジュール型組織(アメリカ型)が適合的だが、日本型組織との摩擦がある。若いうちからスペシャリティを求められる部局で育成された人材を、その後の異動等でどのようにして管理職まで育てるのかという問題がある。
    • 田英夫教授は関西学院大学経営戦略研究科の恩師。
  • 高等教育のビジネス化、学会国際委員会の方針
    • 世界の大学の変化。MBAは基本的にどの国も英語で開講されており、他国での分校設置等も目立つ。JUAMとしては2005年にAUA*2と協定を締結。韓国の大学団体とも共同体制を打ち出した。
    • 学会の当初目標を見失わないための組織(海外大学を見て日本の大学を見つめ直す)
  • 国際委員会の目的
    • NAFSA*3の職員を見ると官僚主導型の高等教育は終わりを告げている。

JUAM創設時からの経緯等も含めた国際交流に関わるお話でした。澤谷さんは現在、中国の蘇州大学にて日本語を教えているそうで、長く国際畑で培ってきた力を教育に投ずる姿勢に職員として尊敬の念を覚えます。個人的にJUAMとJAFSAの関係について詳しく聞きたかったので、興味深くお話を伺いました。
澤谷さんはその他に大学職員に関する書籍も出されているので、ここで紹介します。

続 大学職員のための人材育成のヒント: 失敗事例から学ぶ若手・中堅職員の視点28

続 大学職員のための人材育成のヒント: 失敗事例から学ぶ若手・中堅職員の視点28

大学職員のための人材育成のヒント: 失敗事例から学ぶケースワーク28の視点

大学職員のための人材育成のヒント: 失敗事例から学ぶケースワーク28の視点

大学教職員と学生のための中国留学・教育用語の手引き

大学教職員と学生のための中国留学・教育用語の手引き

「大学職員とJUAMの国際化〜これまでの20年、これからの20年〜」高橋史郎氏(早稲田大学国際教養学部事務長)

  • 大学訪問歴
  • 杉原千畝
  • 留学生に対する現場の感受性
    • それぞれのストーリーを持って日本にくるので寄り添う姿勢が大切。
  • 早稲田の事例
    • グローバル化の到達点は
    • 809大学と協定、8箇所の海外拠点
    • クォーター制
  • 留学生のグローバルな移動
    • 学生の異動はボーダーレスに。異動過程において越境しながら言語と専門知識を習得するで自らの付加価値を着実に高めていく。
    • グローバルな学生のモビリティを柔軟にキャッチするアドミッション制度が非常に重要。留学生受け入れ先進国に遅れを取らない高い開放性と融通性。
    • 専門の海外リクルートチームの編成
    • web出願
    • 常時出願受付、早期出願受付
    • 海外拠点利用入試
  • 現代的課題
    • 病気、メンタルヘルス、人間関係、学習障害LGBT
    • 特別な配慮が重要
    • 特記事項、特別配慮以来はアメリカ、イギリスなどで先行
    • 早稲田として何がどこまでできるかを明示して協定校と協議
  • ミッションの共有
    • 一人一人がミッションについて自問自答→その集積が大学の答えになる→構成員がシンプルな言葉で共有→理想の留学生→Marketing→Recruiting→Enroll Management→Branding
  • 送り出す学生へ
    • 「痛い目」にあってもらいたい。チャレンジする姿勢を大学としてサポート。
    • 「知識を与うるよりも感銘を与えよ。感銘せしむるよりも実践せしめよ。」(坪内逍遥

これまでの大学職員生活の全てを国際関係部門で過ごしてきたプロフェッショナル。海外大学訪問歴からも分かりますが、普通なら行けない大学も訪問されています。*5自著で「世界七五か国で百五十以上の大学を訪れる」と書かれているように、留学の受け入れ・送り出しを通じ、日本の大学の国際化を牽引されてきた方ですね。
お話の中で優秀な留学生の獲得競争について触れられていました。他国と比較したリクルーティングに資する制度改善は重要な指摘だと思います。現在、高大接続改革が議論されていますが、こうした視点も中教審にはフォローしてもらいたいところです。また、開放性と融通性を挙げていらっしゃいましたが、4学期制(クォーター制)の全学標準化やサマースクール、サマーセッションを導入など、教育の質保証に繋がる教学マネジメント面のお話も伺いたかったです。
ミッション共有について非常に分かりすく構造化した図を示されていました。私の方でも作成してみたので参考まで提示します。
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世界の大学―知をめぐる巡礼の旅 (丸善ブックス)

世界の大学―知をめぐる巡礼の旅 (丸善ブックス)

若手海外派遣事業-海外大学調査研修-橋下規孝氏(立命館大学グローバル教養学部設置準備室課長補佐)

  • テーマ
    • 欧州の大学職員におけるモビリティとモチベーションの関係性
    • 対象者:人事部及び教学部門の管理職、教学部門に属するモビリティ経験のある実務者、図書館員など
  • 訪問先
    • ウプサラ大学、SUHF*6スウェーデン王立工科大学、AUA、マンチェスター大学
    • 派遣者5名のうち、4名は米国を希望。ただ欧州への派遣が決定したので、欧州の特徴を理解できるように複数国への訪問を決定。
    • 渡航にあたってメンバー間での意見交換等を積極的に実施。大学職員のグローバル化を考えることの意義があった。

JUAM20周年記念事業で海外大学調査に行かれる橋本さんからのお話でした。私も今度カナダに訪問調査しに行くので、事前準備でのご苦労などについて分科会終了後に質問させていただきました。訪問大学の選定やアポ取りまで全て自分たちで行なったそうです。大きな労力だったと思いますが、それ自体も大きな経験になることは間違いありません。個人的には国際委員会やJUAM事務局側での支援体制がもう少しあると、受講者負担が軽減されてリサーチベースの活動ができるので、次回以降の課題なのかと思います。(それこそJAFSAの協力を得るなどのサポート体制はあってもよいのでは)是非、後日訪問の記録を伺いたいなと思いました。
また、分科会を通じて共通の問題意識であった「国際交流部門の出島化」を打破するために、海外大学訪問時の留意点やポイントなどをまとめ、JUAMを通じて公に提示することも大切かと思います。

「JUAM国際委員会の活動状況」立命館アジア太平洋大学リサーチオフィス課長 篠崎裕二氏

  • バックグラウンド
  • 問題は何か
    • 大学の国際化に関して国際交流部門が出島化している。この点に関して大学自体が自分ごととして捉えていかなければならない。また、日本の高等教育全体でも捉えなければならない。

国際委員会の活動概要についての報告。篠崎さん自身、大阪外国語大学インドネシア語を学び、インドネシアに赴任してこともあるとのこと。大枠の話だったので特筆することは特段ありませんが、国際交流部門が出島化している件は分科会を通じて課題として挙げられていたのが気になったところです。

議論のまとめと質疑応答 宮澤文玄氏 学習院大学学長室経営企画課長

  • JUAMの現状
    • 国内研究に特化していないか?
    • 職員が実際に海外体験をする意味
    • JUAMにおけるグローバル人材育成を担うSD研修の意義
  • 質疑応答
    • 日本の大学の国際化には通用性、開放性、交流性が重要。
    • 「今目の前にいる留学生を見よ」
    • 国内大学間でも共有化できていない部分もあるので、そうしたことを議論できる場の設定も大切。
    • 大学の国際化に関して、対応できる大学と対応できない大学の差異は何か?例えば当該大学の拠点に所在する企業で海外拠点などを持っている企業との連携方策などを通じて、国際化が進展するのではないか。

学習院の宮澤さんによるまとめと質疑応答。フロアからの意見があまり出ませんでしたので、もう少し工夫があってもよかったかもしれません。例えばコメントシートを配付してフロアからのコメントを集約し、コーディネーターが各パネリストに振るなどの方法があると、インタラクティブな議論になったかと思います。しかしながら、分科会全体を通した満足度は高く、参加してよかったと感じました。また、JUAM国際交流委員会・関東地区研究会の活動成果の一つとして、日本学生支援機構の機関誌『留学交流』の掲載論文が紹介されていました。*7

研究・事例研究発表

愛媛大学のSD事業はなぜ継承できているのか?」愛媛大学教育・学生支援機構教育企画室 上畠洋佑氏、愛媛大学教育学生支援部、愛媛大学SD統括コーディネーター 吉田一恵氏

  • 研究の背景
    • SD義務化:SDに関する業務の責任や管轄を巡るセクショナリズムの弊害や組織間の軋轢
    • 愛媛大学で継承できている理由、不定期かつ断続的に起こる字組織の現状や社会的背景を踏まえた課題を組織として克服し結実
    • 吉田氏が人事課でSD担当していたところ、教育支援部に異動した際に業務を移管した経緯。
    • マニュアルの整備
      • 組織における業務の効率化や人材育成、マニュアルを引き継ぎ時に活用、業務に関する情報や知識が継承。10年間にわたって継承できた事例は。
  • 先行研究
    • マニュアルと引き継ぎ
    • オーラル・ヒストリー(口述記録)
  • 研究方法
    • イントラビュー
    • インタビュー
    • 研究者2名での分析結果のディスカッション
  • 結果と考察
    • SDの所管を人事課から教育学生支援部に移すとき、SD業務の経験者を異動させるなど、戦略的人事の視点と働きかけを行った。その背景としては、事業移管変更後すぐにでも平常運転行わなければならない事情があった。協力して取り組む組織文化が愛媛大学には存在している。
  • 事業継承における3層構造
    • 大学組織全体の視点(部長クラス)
    • 課・部レベルの視点(課長クラス)
    • 係・個人レベルの視点(実務担当者)
    • 職務の履歴を後任にも分かりやすく残している職員の習慣「足跡型のマニュアル」が自然に引き継がれている。SPODの立ち上げによって教職員間が立場を超えて自由に発言できる関係性
  • 他大学への示唆
    • 足跡型マニュアルの試行
    • TEAによる各大学・組織の分析
    • 口承マニュアルの導入の試行

TEA(Trajectory Equifinality Approach)=複線径路・等至性アプローチという質的研究の手法を使った分析です。分析手法と先行研究はまとめがあるので、そちらをご確認ください。*8愛媛大学はSPOD事務局として日本のSD活動の先導的モデル大学です。その大学がどうSD活動を継承しているのか分析した発表でした。個人的に興味深いと思ったのは、「SPODの立ち上げによって教職員感が立場を越えて自由に発言できる関係性」が土台にあり、その上に足跡型マニュアルや口承マニュアルが形成されていった点です。
SPOD立ち上げは愛媛大学にとって大きな事業だったことが窺え、内部でも様々な葛藤があったのだと推察します。複数回に渡って組織として葛藤を乗り越える経験してきたことが、現在の強みに繋がっているのだと思います。この点は開学後に定員割れの危機を迎えて乗り越えた共愛学園前橋国際大学と共通性があるように感じました。組織の危機とそれを乗り越えた後の組織的成長に関する先行研究などあれば参照したいところです。

「地方大学におけるアメーバ経営の適応の意義–経営理念の浸透による組織改革」荒木経雄

  • 明らかにしたいこと
    • 厳しい経営環境に置かれている大学経営について、大学特有の組織構造を踏まえ、2010年に経営破綻したJALを再生に導いた京セラ稲盛会長を参考に。
    • 京セラフィロソフィによるアメーバ経営の大学経営への適用について考察。
  • 経営理念の構成要素
    • 上位概念(理念):不変
    • 下位概念(方針):柔軟に変化
  • 経営理念浸透の浸透方策と効果
    • 一時的メカニズム(行為的シンボル)
      • 社長自ら末端の現場で指導することがある
      • 重要な意思決定が、理念や社是のもとに行われる
      • 課長研修のように、ミドルに理念や社是を刻み込む制度がある
      • 経営理念や社是に忠実な人が高く評価される
    • 二次的メカニズム
      • 社長の年頭挨拶や経営方針の発表会
      • 理念や社是にまつわるエピソードが、社内のあちこちで語り継がれている
      • 理念や社是を伝えるパンフレットがある
      • CIが導入された
    • トップが姿勢を見せる、その姿勢を見た管理職の姿勢を末端の教職員は見る。アメーバ経営には、経営者意識を持ったリーダーが不可欠。アメーバ経営の独自性の一つである「時間当たり採算表」。小さなユニットでも一人一人が経営意識を持たなければならない。
    • JAL再生でのアメーバ経営導入の効果とは
    • 組織改革:意識改革・ヒトづくり推進部を設置した。役員全員と部長クラスの経営幹部を対象にしたリーダー教育から意識改革を開始。
    • 単なる労働者ではなく、経営者意識を持つことができるようにしたこと。意識改革。
  • アメーバ経営による再生要因
    • 6つの原則
      1. 自社の文化は自社で作る
      2. リーダーから変わる(リーダーの意識が変われば部下の意識も変わる)
      3. 全社員の一体感を持たせる(本社と現場にいる社員の接点を増やし、ベクトルを揃える)
      4. 現場社員のモチベーションを少しでも高める(現場社員の努力を認め感謝する)
      5. 変化を起こし続けることで本気度を示す
      6. スピード感を重視する(必要なことは一気呵成に実行する)
  • JAL再生におけるフィロソフィ作成およびその浸透過程を参考に、建学の精神見直しのプロセスの提示
    1. リーダー教育の実施
    2. 管理職教育の実施
    3. 「建学の精神見直し検討委員会」の設置
    4. 具体的な見直し作業
    5. 外部環境変化、内部環境変化
    6. 伝わりやすさと分かりやすさ
  • 質疑応答
    • 龍谷大学アメーバ経営を実践している訳ではないが、研究テーマとして大学経営に活かせるのではないかと考えている。

京セラが行っている「アメーバ経営」の優れた点を整理し、大学経営に適用した場合を仮説ベースで研究的にアプローチした発表です。勉強不足でアメーバ経営の概念自体知らないことばかりでしたので入門的部分から説明があり、理解しやすかったです。企業の経営理念に対して私立大学には建学の精神がありますが、特に経営理念浸透は参考にできる内容だと思います。戦略経営のポイントは、各施策が相互調整(アライメント)されていることで、東北大学の大森不二雄教授は「今後の大学経営及び経営人材の在り方を4つのキーワードで表せば,「システム的統合(systemic alignment)」「可視性(visibility)」「流動性(mobility)」「戦略経営(strategic management)」となる。」と述べており、この点も重要です。*9
また、学校法人のアメーバ経営実践例は少ないですが、専門学校での導入例があるので実際の効果と課題を知りたいところです。*10

「大人数を対象とした参加型オリエンテーションの試み」京都産業大学 中原正樹氏

  • 概要
    • 大学視点のオリエンテーションに対し、学生目線での改善を実施。具体的にはオリエンテーションの実態を構造化して、説明事項を分解して事前に提示するとともに、疑似的な反転授業を実施して効果を測定。
  • 背景
    • 大学視点のオリエンテーション
      • 説明が表層的で「なぜ」が伝わっていない
      • 情報や説明時間の増長で集中力が持続していない
      • 学生の理解度にバラつきが発生している
      • 環境の変化(学年歴の狭量化、カリキュラムの複雑化、学生像の多様化)
  • 取組み
    • 環境の変化に対応する改善策の検討
    • 入学前の導入オリエンテーション
      • プレイスメントテスト実施日に「履修要項確認テスト」を配付。学生に学修を指示。
      • オリエンテーション当日スマホを活用した疑似反転授業を実施
    • 学生履修アドバイザーの活用
      • 学生履修アドバイザーを7名配置。事前説明会で趣旨・対応スタンスを共有。
      • 当日に登壇して自己紹介、名札着用。
      • アドバイザーは教員からの氏名・推薦、法学部として15名ほど。
      • 履修アドバイザーは法学部の独自制度。
  • 振り返り
    • 学生の反応
      • 質問内容に質的変化
      • 相談先の主体が変化
      • 相談学生のグループ化が進行
  • 質疑応答
    • (質問)実際の運用上でスマホを持たない学生へのフォローなどはどうしているか
    • (回答)アクセスできない学生には紙媒体でフォローしている
    • (質問)初めての試みとのことだが、来年度以降も継続するのか?他学部ではどのように受け止められたのか。
    • (回答)筆者が法学部事務室所属時に試行的に運用した制度。今後の方向性については現時点では未定。
    • (質問)履修要項確認テストの効果検証として、学生の履修制度への理解度がどの程度深まったかの測定などは行ったか。また、具体的な改善効果はあったか。
    • (回答)測定までは行えていないが制度への理解に関しては一定の効果。

各大学で毎年行われている新入生オリエンテーションに関し、全体構造を分析した上でアクティブラーニング要素を取り入れた改善事例の報告です。私も前職で入学前教育を担当していたため、興味深い実践事例でした。スマートフォンを活用した疑似的な反転授業形式、学生スタッフの活用についての実践事例です。今後の継続性は未定とのことでしたが、全学的な導入に繋げていけることを期待したい取組みです。なお、本研究は機関リポジトリから論文を閲覧可能です。*11

「「未」見える化分野の見える化–新任理事ハンドブック作成の試み–」大学経営評価指標研究会

  • 新任理事ハンドブック研究背景と問題意識
    • 「大学ガバナンスの制度・仕組み・運用に関する実態調査」の考察
    • 理事が最低限知っておくべき知識の体系化
  • 研究目的・手法
    • 民間企業における新任取締役研修の視点の調査
    • 視点別にチェックリスト化
  • 新任理事ハンドブックの内容案
    • 大項目8分類、中項目29分類、小項目90分類に整理
    • 大分類
      1. 理事として配慮すべき価値観・倫理観
      2. 学校法人及び大学の仕組み
      3. 本学について
      4. 理事の業務と報酬
      5. 本学の理事会の運営方法について
      6. 学校法人会計と財務
      7. 教育・研究を見る視点
      8. 大学の組織文化・教職員状況
  • 活用方法
    • ハンドブックを作成して、かつ内容の理解を深める実質化が重要
  • 考察・課題
    • 大学別のカスタマイズは必要。ハンドブックはコンパクトにまとめる必要がある。既存のファクトブック等の資料も連携活用。

新任理事向けのハンドブック作成の試みに関し、報告がありました。興味深い反面、私立大学対象のハンドブック作成の話題ですが、国立大学財務・経営センターが発行している「国立大学法人経営ハンドブック」は参考にしないのかな?と素朴な疑問を感じました。
もっと突っ込んだ意見を述べると、国立大学法人はハンドブックを作成して理事者等への普及を図っているにも関わらず、国立大学経営力戦略*12を踏まえた経営力の強化を国・産業界から強く求められています。ハンドブックはあくまでもツールであり、理事の経営力を高めるトップマネジメント研修の実質化が本質的な課題だと思います。最近では文部科学省イノベーション経営人材育成システム構築事業」により大学トップマネジメント研修*13が、日本私立学校振興・共済事業団によって私学リーダーズセミナー*14が開催されています。諸外国の大学でのリーダーシップ開発の先行研究をまとめた論文*15もありますし、ハーバード大学の学長向けリーダーシップ開発研修*16への新任者派遣なども考えられます。

「国立大学法人経営ハンドブック」第1集 | 独立行政法人 国立大学財務・経営センター
「国立大学法人経営ハンドブック」第2集 | 独立行政法人 国立大学財務・経営センター
「国立大学法人経営ハンドブック」第3集 | 独立行政法人 国立大学財務・経営センター

以上、簡単に振り返ってきましたが今回の研究集会でも実り多い時間を過ごすことができました。来年度の定期総会・研究集会は東京都渋谷区の実践女子大学渋谷キャンパスにて開催されます。また来年度にお会いしましょう。

*1:特定非営利活動法人JAFSA(国際教育交流協議会) http://www.jafsa.org/

*2:Association of University Administrators https://aua.ac.uk/

*3:NAFSA: Association of International Educators https://www.nafsa.org/

*4:明言されませんでしたが、恐らく金日成総合大学 https://goo.gl/dbGJRS

*5:国際交流のプロ人材組織として幅広いネットワークを駆使し留学生30万人計画のハブとなる (特定非営利活動法人 国際教育交流協議会(JAFSA)常務理事早稲田大学 留学センター 調査役 高橋史郎) http://www.tokyu-nasic.jp/nasic_release/nasic_release_theme/data.php?number=20&eid=00150

*6:Association of Swedish Higher Education Institutions http://www.suhf.se/

*7:大学行政管理学会におけるグローバル人材育成を担うSD研修-関東地区研究会の活動を中心に- https://www.jasso.go.jp/ryugaku/related/kouryu/2018/__icsFiles/afieldfile/2018/08/08/201808miyazawabungen.pdf

*8:複線径路・等至性アプローチ https://sites.google.com/site/kokorotem/

*9:これからの大学経営―誰がどのような役割を担うのか― https://ci.nii.ac.jp/els/contentscinii_20180330133914.pdf?id=ART0009884214

*10:アメーバ経営推進室」を設置している 学校法人京都中央学院組織図(平成30年度) http://www.yic-kyoto-pet.ac.jp/wp-content/uploads/2016/10/98af027f091b246bc2dba4ee8866d7f8.pdf

*11:大人数を対象とした参加型オリエンテーションの試み https://ksu.repo.nii.ac.jp/index.php?active_action=repository_view_main_item_detail&page_id=13&block_id=21&item_id=10088&item_no=1

*12:国立大学経営力戦略 http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2015/06/24/1359095_02.pdf

*13:http://ttm.grips.ac.jp/

*14:http://www.shigaku.go.jp/s_center_d_lsym.htm

*15:教学管理職を対象としたリーダーシップ能力向上のための研修教材開発 http://emspd.meijo-u.ac.jp/publication/journal05/5_03.pdf

*16:Harvard Seminar for Presidential Leadership https://www.gse.harvard.edu/ppe/program/harvard-seminar-presidential-leadership