Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

寄り添う学生支援と困難を抱える学生に対する避難所としての「保健室」

high190です。
現在は法人事務局に勤務していて、学生と直接関わる仕事には携わっていませんが、以下の記事を読んで色々考える点がありました。

news.yahoo.co.jp

成人年齢となる時期の学生に対し、手厚いサポートは「甘やかし」だと見る向きもあるだろう。はたして大学に保健室は必要なのか。この10年、帝京短大で学生と向き合ってきた養護教諭の富山先生に問いかけると、「実感として必要だと思います」と即答し、こう続けた。
「昔の子どもは地域や仲間に支えられていたし、何より最後は親が拠りどころになったけど、今は逆に、親が非常に緊張する相手という子も多いです。孤立感や自己否定感を持ったそうした若者に、昔と変わらない若者像を当てはめて同じレベルを要求するのは無理がある。そこに大人や社会が気づくべきです」

前職では学生課、教務課と学生に直接関わる仕事もしてきましたが、率直な感想からして困難を抱える学生は増えているように感じます。それが家庭的な問題、経済的な問題であったり様々ですが、大学に通う学生の一部が困難を抱えている状況にあるという実感です。社会を取り巻く環境、必然的に大学を取り巻く環境も変化していますので、学生支援もこれまでにない取り組みが必要だと感じます。

先に掲載した事例は、東京都の帝京短期大学における保健室に養護教諭を置き、学生支援に役立てた例です。

大学に「保健室」を設置する
授業の片手間では対応しきれないと感じた宍戸教授は、冲永寛子学長にこう相談した。「大学は学生を支援できる最後の砦で、放置すれば彼らは不登校となって、社会で自立していくのが難しくなります。養護教諭のいる保健室を作れないでしょうか」
帝京短大保健室の風景。約35平方メートルとコンパクトだが、小中学校の保健室と共通する気軽に入りやすい雰囲気が漂う(撮影: 長谷川美祈)
養護教諭とは、養護教諭免許を取得した教員のこと。明治時代の学校看護婦にルーツがあるが、1941年に教員となって看護婦免許に関係しない養成課程ができ、戦後の47年に養護教諭という現在の名称になった。応急処置レベルを超えた医療行為はできないが、医学や看護の知識・技能を持ち、子どもの健康問題に日常的に対処する。海外にもいるスクールカウンセラーやスクールナースがそれぞれ心と体に特化しているのに対し、養護教諭はあらゆる心身の健康問題を通してケアと教育を施し、子どもが自立できるよう支える日本独自の専門職だ。
ただ、養護教諭は、小中学校では学校教育法により原則として必置と定められているが(高校は努力義務)、大学では法的根拠がない。養護教諭のいる大学保健室の例は、宍戸教授自身も聞いたことがなかった。
それでも自ら医師でもある冲永学長は、実情を踏まえて快諾した。07年4月、小中学校の養護教諭を35年間務めた富山先生を招き、帝京短大に保健室が開設された。

学長の決定によって設置された保健室が学生の居場所となり、そこから無事に社会に巣立っていった事実を学校職員として心に刻みたいです。私自身も高校時代に悩んだ事がありまして、色々な人に支えられて社会に一歩踏み出す事ができました。社会の構成員となる学生が安心して社会に巣立つための支援策として、こういった取り組みに対する助成などを積極的に検討していただきたいと感じます。少子高齢化社会であることに鑑み、最も大切にしなければならない次の社会を担う人々を大切にすることは社会的使命とも言えましょう。