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Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

ウェブの進化について、大学職員の視点から振り返ってみる

Diary Web2.0

high190です。
最近では他の大学職員ブロガーの皆さんから刺激を受けて、記事の内容を色々考えたり出来るので楽しいです。松宮慎治さんが「ネットによる知の変化と教養―大学教育学会 課題研究集会に参加して(2)―」という興味深い記事を書かれていましたので、*1記事を引用しながらウェブの進化を大学職員目線で振り返ってみようと思います。

1."The Machine is Us/ing Us"に衝撃を受ける

こちらの動画は2007年に公開されたもので、当時はWEBの進化を"Web2.0"などと表現していました。(最近はあまり聞かなくなりましたね)
梅田望夫さんが「ウェブ進化論」を書かれたのが2006年ですから、ブログやソーシャルメディアが興隆し始めてきた頃だと思います。私は当時ブログを始めたばかりでしたが、Twitterは2007年5月に、*2Facebookもその頃に始めました。今までとは違う新しい世界がWEBを通じて広がっていると思い、未知の可能性を強く感じたことを憶えています。

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

現在ではWEBはさらなる進化を遂げていますが、進化の過程がよく分かることから上記の動画は何度も見返してきました。この動画を見てWIREDの"We are the Web"などの記事にも触れることができました。*3動画の作成者はカンザス州立大学のマイケル・ウェスチ准教授です。文化人類学を専攻されているようですが、"Digital Ethnography"というプロジェクトも進めておられます。*4(プロジェクト名を訳すと「デジタル民族誌」という表現になるでしょうか)


2.大学教育とWEBを巡る進化の過程
この頃から徐々に大学の授業にもオンラインの波が来ていたように思います。ちょうど"iTunes U"が始まったのも2007年でした。*5そしてこの頃からオンライン教育の効果に関する調査や、*6アメリカの大学が先行して講義をYouTubeなどで配信する試みなどが始まります。*7日本国内でもWEBによる大学のオープン化・講義の公開等に高い期待が寄せられていました。*8 その流れを受けて、2008年には京都大学が日本で初めてYouTubeで講義動画の配信をスタートさせています。*9こういった情報のオープン化に関わる一連の流れは、後のMOOCsにも繋がるものです。
その他にも大学が広報のためにソーシャルメディアを使用するようになり、*10大学の内部では、特に図書館が先んじてWEB2.0に対応してきたように感じます。蔵書を電子ジャーナルに移行させる取り組みや、*11 *12所蔵品をWEB上に公開する取り組みなどがありました。*13WEBの進化は止まることなく、むしろそのスピードが上がってきたように感じます。2010年には、先述した「ウェブ進化論」の著者である梅田望夫さんが、マサチューセッツ工科大学教育イノベーション・テクノロジー局シニア・ストラテジストの飯吉透さん(現在は京都大学高等教育研究開発推進センター長)と共著で出版した「ウェブで学ぶ」を出版しています。

ウェブで学ぶ ――オープンエデュケーションと知の革命 (ちくま新書)

ウェブで学ぶ ――オープンエデュケーションと知の革命 (ちくま新書)

最初に紹介した松宮さんの記事に「ネットによる知の変化」について以下の記述がありますが、目的に合わせて体系化すること自体がWEBの力でしょうね。組み合わせ方をどのように考えるかですが、私の場合は自分で過去に書いた記事のことを覚えているので、断片的な知識をたどりながら積み木を積むように過去の記事を引用するような形式を取ることが多いです。これもブログを書き続ける中で、他の人のまとめ方を参考にしつつ試行錯誤しながら自分なりに積み上げてきたひとつの知識なのかなと思っています。

自分なりに情報を峻別する能力がないと、溢れる情報に埋もれてしまって、騙されたり、被害を被ったりする可能性があります。加えて、峻別した情報を組み合わせる能力が求められます。多くの場合、得られる情報はバラバラに存在しているからです。体系化された情報もあるかもしれませんが、その体系性が自分の目的と合っていないと、自分にとってはバラバラにしか見えません。バラバラに存在するものを組み合わせて、目的に合わせて自分なりに体系化する能力が必要になるでしょう。


3.MOOCsに代表される大学教育のオープン化とこれから
さて、WEBの進化についての話に戻ります。2012年に入ると、Cousera、edX、UdacityなどのMOOCsプラットフォームが次々に生まれてきます。東京大学も2013年にはCourseraに参加するなど、*14日本においても講義のオープン化に関する土壌が整ってきていますし、現在ではJMOOCが発足して現実に大学の講義が無償で提供されるようになっています。このように、ちょうど私がブログを始めた頃からWEBは目まぐるしい進化を遂げてきた訳ですが、その流れに乗るように大学教育も大きくその姿を変えてきています。この流れに乗るためには止まっていては取り残されるだけなので、常に先端の情報に触れながら流れを追う必要があります。この10〜20年でWEBによって社会は劇的に変化してきましたが、今後はどのような変化が待っているでしょうか。その流れを見つめていけるよう、引き続きWEBを通じて大学のことを考えていきたいです。

*1:ネットによる知の変化と教養―大学教育学会 課題研究集会に参加して(2)― http://shinnji28.hatenablog.com/entry/2014/12/05/231607

*2:https://twitter.com/high190

*3:We Are the Web http://archive.wired.com/wired/archive/13.08/tech.html

*4:DR. MICHAEL WESCH http://mediatedcultures.net/michael-wesch/

*5:iTunes Uのサービスは2007年に開始され、iTunes StoreにもiTunes U専用の配信チャネルが開設された。スタンフォード大学、カリフォルニア大学バークレー校、マサチューセッツ工科大学などが当初から参加し、iTunes Uを通じて講義の映像を一般向けに配信している。日本でも2010年前後から、東京大学慶応義塾大学、早稲田大学明治大学などが講義映像の配信を開始している。 http://www.weblio.jp/content/iTunes+U

*6:「大学教員の多くが,ポッドキャストやブログの教育的な利用価値を認めている」,米調査 http://d.hatena.ne.jp/high190/20070510

*7:米大学が全世界で初めて講義をYoutubeで公開 http://d.hatena.ne.jp/high190/20070916

*8:Webを使った大学のオープン化、講義の公開に強い期待〜gooリサーチ結果 http://d.hatena.ne.jp/high190/20070210

*9:京都大学が国立大学では初めてYouTubeに講義を公開 http://d.hatena.ne.jp/high190/20080408 

*10:大学のソーシャルメディアポリシーを定めよう! http://d.hatena.ne.jp/high190/20111121

*11:これからの大学図書館はメディアセンターへ http://d.hatena.ne.jp/high190/20100713

*12:紙の本が1冊もない大学図書館がアメリカで誕生 http://d.hatena.ne.jp/high190/20100914

*13:イェール大学が博物館、図書館の所蔵品画像をライセンスフリーで提供 http://d.hatena.ne.jp/high190/20110519

*14:東京大学が大規模オンライン講座サイトのCourseraに参加 http://d.hatena.ne.jp/high190/20130227