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Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

官民人事交流制度が学校法人に拡大されたことをどのように活かすか

high190です。
大学職員は人材流動性が低いと言われていますが、*1設置形態に応じて様々な出向先などがあります。*2例えば、国立大学法人の場合は「文部科学省実務研修生」という制度があります。こちらは「大学職員の書き散らかしBLOG」に制度などの詳細な解説が掲載されていますので、是非ご一読をおすすめします。*3 *4 *5その他、私立大学の場合でも日本私立学校振興・共済事業団を始めとして、大学基準協会日本高等教育評価機構などが出向を受け入れていたかと思います。*6プロパーで勤めた職員にとっては、出向等を通して外部団体などで経験を積むことで大学職員としての能力開発に活かせるのではないかと思います。
さて、ここでご紹介したいのが「官民交流人事制度」です。今年の5月に官民交流人事法が改正され、*7 *8従来は含まれていなかった学校法人も官民交流人事の対象になりました。このことによって、行政から出向人材の受け入れと送り出しが学校法人においても可能になりました。そこで早速、学校法人との官民交流人事制度を活用している例が新聞記事で紹介されましたので、ご紹介したいと思います。


私立聖光学院横浜市中区)で、経済産業省から出向した五十棲(い・そ・ずみ)浩二さん(36)が9月から教壇に立っている。「社会人経験を生かして、生徒の関心を広げてあげたい」と、母校での指導に意気込んでいる。
「The world has changed」――。教室に世界的なプレゼンテーション大会「TED(テッド)」の動画が流れる。五十棲さんが担当する高1英語の授業の風景だ。字幕もなく、早口の英語が流れるなか、生徒たちは身を乗り出して聴いていた。五十棲さんが「いま『世界は変わった』という意味で現在完了形が使われてたのはわかった?」と問う。動画のテーマは「高校数学では微積分よりも、データやリスクを理解できる統計学を学ぶべきだ」という提案。英文法を教える授業だが、生徒に身近に思ってもらえるテーマを選んだ。繰り返し聞いて内容を理解した生徒たちも「そうだったのか、グサっときた」「先生、数学の先生に言ってよ」と活発に答えていた。
「英語はツール。どんなことができるようになるかを知れば、自分で学びたくなる。現在完了なら『I have finished my homework(宿題を終えた)』とだけ習うより面白いじゃないですか」
同校出身で、大学卒業後の2001年に経産省へ。エネルギーやIT、医療分野などに携わってきた。学生の社会人体験をサポートするNPO活動で母校を訪れた昨年夏、工藤誠一校長から、「社会の一線で活躍する体験を生徒に伝えて欲しい」と誘われた。五十棲さんは「聖光は中高一貫で特に外の人との関わりが少ない。10年間外で働いた自分のような人間が学校にいたら面白いんじゃないか。それもいいか、と考えました」。
今年5月に改正官民人事交流法が施行され、NPO法人や学校法人への出向が可能となった。英語と公民分野で、社会人経験者を教員として迎え入れる「特別免許状」を県教委から取得。9月から5クラスに英語を教えている。いつまで続けるかは未定だが、数年間の予定だ。
授業はまったくの手作りで、洋楽の歌詞を使って文法を教えることもある。「事前に準備していましたが、生徒の反応は全然違った。もっと興味を持ってもらえるよう発展途上です」
人脈を生かし、社会人を学校に招いての講演や討論も企画している。官僚時代の2年間、米国の大学院に留学した際、投資会社や政府に勤める社会人が講義や放課後に出入りして一緒に討論する環境に、刺激を受けた。来年は米国に生徒を派遣して社会体験を積む引率も任される予定だという。「僕らの頃より、海外で働きたいという志向も強いので、挑戦を応援してあげたい。0から1を作り出せるような人を育てたい」
工藤校長は「生徒も本人も新鮮で刺激を与え合っている。自分で考え、コミュニケーションもとれる生徒を育てる教育の一里塚になる」と意義を話す。

上記は経済産業省の官僚として活躍されている方を、教員として出向を受け入れた事例ですが、同様に職員として受け入れる事例も今後増えてくるのは無いかと思っています。これは一例としてご紹介したいのですが、以前は私立大学職員が文部科学省に出向する事は法的に出来ず、一度退職してから文部科学省に勤めて、その後所属大学に復職するという手続きを取る必要がありました。(具体的に私立大学職員でそういったキャリアパスを歩んだ方を知っています)今後、官民交流人事制度を活用すればそういった人事上の手続きも不要になる事から、もっと活用していくべき制度ではないか?と個人的には思います。
特に私立大学職員が政策立案過程に関わる機会を作るという点で、この制度は非常に有用だと思いますから、職員の資質の維持向上に向けて制度への理解とともに、行政に関わる機会を作れるという点で面白い制度だと思っています。

*1:倉部さんが言うと重みがある。「どんなに不満があっても、基本的には職場を移ることはないのが、大学職員」 大学が、スタッフを失うとき(大学プロデューサーズ・ノート) http://www.unipro-note.net/archives/50235203.html

*2:活動報告リポート-2013年度第3回勉強会-「大学職員の『出向』を考える」 http://www.greenhorn-network.jp/article/379673049.html

*3:文部科学省行政実務研修生に思う 〜制度編〜 http://kakichirashi.hatenadiary.jp/entry/2014/10/20/213210

*4:文部科学省行政実務研修生に思う 〜業務編〜 http://kakichirashi.hatenadiary.jp/entry/2014/10/22/183907

*5:文部科学省行政実務研修生に思う 〜私感編〜 http://kakichirashi.hatenadiary.jp/entry/2014/10/23/215854

*6:活動報告リポート -2013年度第3回勉強会-大学職員の『出向』を考える」 http://www.greenhorn-network.jp/article/379673049.html

*7:内閣府】官民人事交流制度について(お知らせ) http://www.shidairen.or.jp/blog/info_c/others_c/2014/09/08/16103

*8:具体的には人事院規則のようですね。http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H26/H26F22021000.html