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Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

Times Higher Educationの世界大学ランキング2014-2015が発表されました

high190です。
毎年恒例のTimes Higher Educationの世界大学ランキングが公表されました。今年は日本国内で「スーパーグローバル大学」が採択されるなど、*1今まで以上に大学ランキングを意識した形での政策誘導も行われていますが、日本の大学はどのような順位になっているでしょうか。過年度の結果はこちらからご覧いただけます。*2 *3 *4 *5


既に各所で報道がなされているとおり、100位以内に入った大学では東京大学以外はランクを下げる結果となりました。*6 *7 *8昨今、大学業界を賑わした「スーパーグローバル大学創成支援事業」では、「世界の大学ランキングでトップ100に入る大学を増やす」ことが目標として掲げられていましたので、今後の動向が気になります。このことに関する論文も出ていますので、あわせてご確認下さい。*9
先だって引用した論文には次のような記載があります。

我が国の大学の国際競争力の評価は、国際化の面で世界に後れを取っており、大学自らの取組、また、国としても支援策を講じているものの、世界トップレベルに肩を並べるには至っていないのが、現状と言えよう。また、「今後 10 年間で世界大学ランキングトップ100に10 校以上を入れる」との目標も、これまでの経緯を踏まえると容易ではない状況にある。

上記で指摘されているように、日本の大学が世界でもトップレベルと評価されていくためにはまだまだ多くのハードルを突破していかねばならないように思います。その反面、大学ランキングに対して大学評価・学位授与機構研究開発部教授の田中弥生氏は次のような警鐘を鳴らしています。


大学ランキングはシンプルで、評価結果を明快に順位づけしてゆくのでわかりやすい。その意味で、大学ランキングは、大学評価の痛いところをうまく突いているようにみえてならないのだ。

(中略)

大学ランキングとは、「大学を構成するいくつかの要素を選び、その要素を「指標値」というかたちで計量化して量を与え、さらに重みをつける。それを足し合わせた結果を大学に「点数」として与え、それらを序列化する行為」(田中:2014)のことである。
つまり、ランキングの地位を上げるためにはランキングを構成する指標値を上げる必要があるのだ。大学ランキングに用いられている指標は、ランキングの種類によって若干異なるが、前述のTHEやQSの指標は最もオーソドックスだ。THEの場合、「研究費収入(6%)、論文数(6%)、教員による評判調査(18%)、被引用数(30%)、学生対教員比率(6%)、博士授与数(2.25%)、学士授与数対博士授与数比率(4.5%)、大学の収入(2.25%)、教育に関する教員による評判調査(15%)、外国人教員比率(2.5%)、留学生比率(2.5%)、国際共著論文比率(2.5%)、外部資金(2.5%)」となっている。( )内のパーセンテージは、先の定義の重みであり、いわばその指標値の重要度を示したものだ。
そうなると、重みの高い指標値を上げることが、ランキング地位を上げることへの近道である。ちなみに、下村大臣は国際化を進めることでランキング地位を向上させると述べているが、外国人教員比率や留学生比率のウエイトは低い。ある研究者が感度分析を行っているが、これらの指標値を上げてもランキング地位の向上にはほとんど寄与しないという。

(中略)

今、世界大学ランキングに翻弄されている者は少なくない。政府関係者も大学もランキング地位の向上をめざし頑張っているが、その努力は必ずしも大学の研究や教育の質的な向上とは関係ないものもある。そうしたことばかりに集中していると、本末転倒になり、大学の本質を見失う可能性がある。昨今の世界大学ランキングブームにはそうした危うさや、それを逆手にとったビジネスの兆しが見え隠れする。
たかが大学ランキング。されど大学ランキング。もやは大学ランキングを無視することもできないだろう。大学や政府関係者は、大学ランキングに翻弄されることなく、賢く付き合うことが求められている。

世界と戦っていくために客観的指標で示された大学ランキングと対峙する日本の大学関係者と政府関係者の奮闘が、そこかしこで感じられるのですが、果たして競争の行き着く先に日本の大学の、日本という国の将来を見通すだけの成果が得られるのかどうか?そういった点でも大学ランキングを巡る諸外国の動向と日本国内の政策に今後も目が離せません。

*1:平成26年度スーパーグローバル大学創成支援の審査結果 http://www.jsps.go.jp/j-sgu/kekka.html

*2:Times Higher Educationが2010年の世界大学ランキングを発表 http://d.hatena.ne.jp/high190/20100917

*3:Times Higher Educationの世界大学ランキング2011-2012が発表。ハーバード大学が初めて首位から転落 http://d.hatena.ne.jp/high190/20111014

*4:Times Higher Educationの世界大学ランキング2012-2013が発表されました http://d.hatena.ne.jp/high190/20121005

*5:Times Higher Educationの世界大学ランキング2013-2014が発表されました http://d.hatena.ne.jp/high190/20131003

*6:世界の大学ランキング 東大アジアトップ http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141002/k10015049931000.html

*7:世界大学ランキング、東大は何位? 日本勢は苦戦 http://www.huffingtonpost.jp/2014/10/01/ranking-university_n_5917838.html

*8:世界大学ランキングの分析速報〜アジア勢の伸長と独自の価値基準の必要性〜 http://www.murc.jp/thinktank/rc/report/consulting_report/cr_141002.pdf

*9:国際的な競争力が求められている大学-大学の国際競争力をめぐる学校教育法等改正案の審議などから- http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2014pdf/20141001062.pdf