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Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

京都で開催された高等教育研究会・2013年度大学職員フォーラムに今年も参加してきました。

high190です。
1月11日(土)に京都の池坊短期大学で開催された2013年度大学職員フォーラムに参加してきました。4年連続で参加しているイベントですが、今年のテーマは「大学職員個人の自発的活動・ネットワークはどのように大学を変えるのか?」ということで、個人でブログを書いている私にはとても興味深いテーマ設定でした。今回もhigh190が重要と思った内容をまとめておきます。既にTogetterとブログにまとめて下さった方がおられますので、こちらも是非ご覧いただければと思います。*1 *2


近年、若手職員を中心に、大学職員の自発的活動(学内の有志による勉強会、あるいは学外とのネットワーク)が盛んになりつつあります。多くの相互交流・知的刺激を伴うこれらの活動は、「参加者の成長や育成」あるいは「組織内の風通しの改善」といった機能を果たしています。これらの活動の多くはアンオフィシャルなものですが、中にはそれにとどまらず、「オフィシャルな組織・制度・業務への働きかけ」や「具体的な改善・改革」につながるものも現れてきています。
今回のフォーラムでは、こうした職員の自発的活動・ネットワークに注目し、これらはどういう活動であるのか、オフィシャルな組織・制度・業務との関わりはどのようなものか、その成果や課題・限界はどのようなものかを基調講演・事例報告を通じて、皆さまと考えたいと思います。

まずは基調講演として南山大学の安藤准教授から組織学習論を中心にした講演があり、その後に国公私立の職員3名から話題提供として事例紹介が行われました。

1.基調講演 「組織変革につながる自主的活動とは」南山大学ビジネス研究科准教授・安藤史江氏

  • 組織学習論の位置づけと意味合いの説明
    • 組織学習論は大学のみならず企業での組織変革も対象とする。組織学習の観点から見ると個人レベルの活動と組織レベルの活動には「関所」があり、個人の学習が組織の成果にリンクするには距離がある。組織の中で位置づけられるためには、グループ間の競争を勝ち抜いて組織化していくことが必要で、失敗は一過性のものとして役立てられないことが多く、組織学習プロセスを経ないと組織化は難しい。
    • 組織への影響度合いでは、フォーマル組織とインフォーマル組織では当然フォーマル組織の方が強い。フォーマルな手続きが機能不全に陥っていることをインフォーマル組織で補完するのは計画の失敗(長期的な問題解決にはならない、組織作りの開始時点での設計ミス)である。しかし、様々な条件が整うことで自主的な組織変革に成功した行政の事例があり、大学組織との関連性も踏まえて紹介する。
  • ある地方自治体での組織変革に関する事例紹介
    • 2000年頃の地方分権推進一括法の施行、三位一体改革により、職員数の削減や業務の質・量(国と地方自治体の関係変化→主従関係から対等協力の関係、公助→共助・市民自治(自己決定・責任))が激変した。
    • ある市で設立された「市民協働課」の活動での組織変革事例
      • 市民との協働を目的とした部署を新設し、異動希望者を募って立ち上げた。ある年に毎年実施していた秋祭りに対する予算が削減され、予算が付かない事業は「やらない」ことを意味する慣習だったが、市民協働課では「やめるかやるか」を議論。この中から20代の女性職員がやりたいと申し出て、実施の方向で進める事になった。予算課から予算は付けないが黙認するという対応を引き出す事に成功し、課内で予算をやりくりして200万円程度捻出したが、他の課は静観・呆れの目で見ていた。
      • 予算が無くても協力できる団体との協力関係を模索し、内容は例年よりも悪い(学校の学芸会レベル)かもしれないが、市民参加型のイベントを新たに作ることにした。市全体が関わる祭りにするために「使用済みペットボトルのツリー作り」を2ヶ月前から行った。何とか2ヶ月前からスタートすることに。イベントを実行するスタッフが足りないので、市の職員によるボランティア組織を課を超えて立ち上げた。公務員である事を忘れ、一市民として参加する。(ボランティアのため労働ではない)
      • やがて加速する巻き込みによって好循環が起こり始める。市役所内の賛同者が増え、マスコミ取材によって市長のサポートも得られることになり、今まで市役所が主体的に準備する「お仕着せの祭り」から、市民参加型の独自色溢れる祭りへと進化した。役所内で課を超えた協力関係ができ、職員同士の見方が変わる発見がなされ、動き出す事が大切であることを若手職員が認識することに繋がった。
  • 内容の整理
    • 立役者:元々市民協働課に自ら希望して異動してきた、やる気のある職員達。
    • 契機:組織決定への不満・反発
    • 原動力:熱意、これまで築いた市民とのつながり、それを大事にしたいという思い
    • 活動の立ち位置:最終的に組織の承認を得た
    • 以上の事例を所属大学の学生に紹介したところ、感想は「賛成・憧憬」と「反対・批判」に二分されたが、このうち「反対・批判」で指摘された内容が成功のヒントになる。
  • 変革実現に至るメカニズム
    • 公式組織への疑問→既存の組織価値、マジョリティからの逸脱(多くの反発・逆境:ここを乗り越えられないと組織変革は厳しい)→巻き込み・サポート層の拡大→トップ外部オーソリティからの承認(目に見える成果がないと承認は得られない)
    • 大いなる矛盾=「初期には大きく反発され、最後には組織から承認されたもののみ、成功する」
    • 反発は変革のバロメーターであり、全ての革新的取り組み・アイディアは、「既存価値」の否定・疑問から生まれてくる。既存の枠内延長線上からは生まれない。このことは既得権益に守られている人、慣性に従う人にとって不快の感情をもたらす。学習モデルから見た場合、価値観に立ち止まって深掘りして考えることが重要。
      • 結果→行動(シングルループ(低次)学習)=既存者
      • 行動→価値(ダブルループ(高次)学習)=変革者
    • オーソリティの承認は不可欠
      • 組織の資源配分はトップが決める。だからこそ、トップの納得を得られなければならない。組織による「合法化」が必要で「組織は十分育ったものにだけ力を貸す」ため、だからこそ、成果を小出しにしていかなければならない。だが、組織にはよっては逸脱を容認し逸脱する度量があればそれでも成功に結び付けることも可能である。ある社会福祉法人の事例では、中間層が既存の価値観から逸脱しようとした際、トップが意見を聞いて取り込んでいったため、逸脱しようとしたグループが率先して変革の先頭に立った。これにはトップマネジメントの度量もさることながら、ミドルマネジメント以下の層がトップを動かす事が大切である。
    • では、反発が無い活動は全く無意味かというとそうではなく、個人レベルの成果としても意味がある。しかし、個人として高次学習をしていても組織で活かせないと自己満足で終わってしまう可能性もある。

話題提供(1)「大学職員個人の自発的活動・ネットワークはどのように大学を変えるのか?〜九州地区の国立大学職員のある小さな経験から〜」佐賀大学総務部企画評価課係長・末次剛健志氏

  • 国立大学における勉強会的な活動の意義
    • 自分達の将来に対する危機感と物足りなさがあり、凄く忙しいが仕事のための仕事になっていて、別の見方をすると忙しくて職場がパンクしてしまう状況だった。だからこそ業務改善が必要で、そのためには他大学がどのようにやっているかなどの知恵が欲しいという。
  • 九州地区「きゅうつど」の誕生と継続
    • 国立大学の勉強会的な活動としてコクダイパン(注:国立大学一般職員会議のこと)*3の影響力は大きい。他の地域と比べると九州は地域間での職員連携が遅れているように感じられたため、九州地区だけで集まる機会を作るということで「九州地区の集い(きゅうつど)」を平成21年から開始した。*4やらされ感は無く、積極的に各大学の職員が参画している。
  • 佐賀大学の例「事務系職員クラブ制度」*5
    • 業務でのオフィシャルな取り組みで、事務系職員提案制度、佐賀大学プロジェクト研究所を軸にした活動である。ゴールは業務の改善に繋げることであり、徐々に若手職員の意見を汲んだり、SDとしての意味合いが出てきた。例えば英語のスキルアップを目指すクラブを作る場合、学内の英語担当教員に協力を求めている。内容は様々だがプロジェクト系(短期的)とスキルアップ系(長期的)の2種類から構成される。現場レベルの意見を出しやすくするため、原則、管理職は参加不可としている。日頃の疑問点の解決をテーマ設定ができ、かつ、通常のラインだと業務の広がりが無いため、部署横断的・職階横断的に議論が出来るよう組織設計をした。
    • クラブの創設は学長・事務局長に承認権限。設立当初にクラブ創設を募ったところ11件申請があり、10件が承認された。事務局長は若手職員が活動しやすくするように、管理職に出来るだけ配慮するように求めている。
  • IR塾の取り組み概要
    • 簡単に説明するとIRはデータを活用した大学の運営支援であり、事務職員の関与が大きく、むしろ主体的に取り組むべき課題と認識している。業務上の手元のデータを可視化する試みや根拠に基づく分かりやすい資料作成などを実際に体験してもらっている。
  • これからの課題
    • プロジェクト系とスキルアップ系では、運営方法や適用できる手法は異なる。達成感を感じられるかどうかが活動の成否にとって重要だが、スタートする力と継続する力は別物であることもよく理解しておく必要がある。
  • 勉強会の「これから」について想うこと
    • 自分が挑戦する部分が大事ではないかと思う。勉強会は業務に位置づけたからといって続かない。位置づけよりも継続するための工夫が大切。ネットワーク形成が業務のうちか否かは検討の余地があるが、勉強会はニーズ、熱意、何より「成長・学びの楽しさ」が支えていくものである。

話題提供(2)首都大学東京管理部教務課基礎教育担当係長「ある公立大学職員の自発的活動事例報告」宮林 常崇 氏

  • 公立大学法人職員によるある悩み
    • 上司は数年で設置主体の東京都に戻るため、プロパー職員と東京都職員が互いに遠慮するような状況で、自ら改善改革をせず、行動する人かを後ろから批判するような空気があった。
  • 民間企業から転職したきっかけ
    • 元々、生命保険会社でCSRや人事などを担当しており、社会人採用の際にそのキャリアが評価された。これまで2名の課長に仕えたが、東京都から出向してきていた課長から大学院進学を勧められたために、大学院に進学して公共経済を学んだ。あわせて首都大学東京としては初めて文部科学省に職員として出向する機会を得て、名古屋SD研究会にて大学の教務Q&Aに関する取り組みに関わっている。
  • 首都大学東京での取り組み
    • 非常に風通りの悪い組織であり、特定者に業務が固定し不都合が生じていたため、現状を打破するために3つの勉強会を立ち上げた。同期入職者には、自身は勉強会関係のことを2年で辞めると公言し、法人内に自主研修要綱を制定することを要請した。長年務めている職員から知識・技術・志を伝承する座談会「匠の会」からを開催して、食事をともにして意見交換する機会を設けた。暗黙知化しているものを徐々にオープンにしてもらってきた。
    • その他の施策提案として、プロパー職員の力量を証明する機会として寄付金制度に関する提案書を事務局長に提出して制度化した。健康増進企画、留学生支援、バーベキューなど法人内で広く周知して実施する集まりが開催されるようになった。
  • 新たな課題
    • 新たな「頑張らない層」の急速な拡大。他大学へ刺激を求めなくなってきている。自学の制度を充実させたことの悪い影響が出てきている?
  • 人との出会いで成長できた自分
    • 職場を・仕事を面白くすることが目的。設置団体管理職の背中を見て、自ら育つ。大学職員であり、公立大学法人職員でもある。文書事務・会計事務にも精通すべし(プロパーの人間が弱いところ)

話題提供(3)「つながりを重視する職員の自発的活動」−京都産業大学「むすび塾」の取り組み−京都産業大学総務部(人事担当)・中原正樹氏

  • むすび塾の概要・設立のきっかけ*6
    • 2012年1月に発足した。飲み会よりは厳しく、勉強会よりはゆるく運営することを重視しており、勉強会という知識伝授の場でなく、コミュニケーション促進に主眼をおいている。
    • 2003年から専任職員比率が下がり、非専任職員数は増加している。あわせて、セクションの数は増加しており、1部署での専任職員数は減少傾向にある。設立の背景として大学コンソーシアム京都主催の第9回SDフォーラムで愛媛大学の秦敬治教授の基調講演を聞いて、自学のベクトルの矢印がどこに向いているかも分からない状況だったため、まずは若手職員同士で始めてみようということでスタートした。
    • 国民生活白書では職場での人の繋がりが減少の一途を辿っていることが指摘されており、大学職員の場合でも、残業は増加しハッピーマンデーによる月曜授業開講など休日出勤が増加して職員間の交流が減少している。しかしながら、職員での繋がりが希薄になっているとはいえ、協力関係を構築したいと思っている人は必ずいるはずという点に着目した。非専任職員が定型業務を担うようになり、専任職員は企画業務への移行することで業務の中心的な比重に部署間調整が非常に増えたこともあり、職場内での繋がり強化には業務の効率の向上化にも資するものである。
  • むすび塾の活動紹介
    • 京都産業大学においても、これまで何度も職員の自主的勉強会は立ち上がってきたが、継続性に難があった。それに対して、むすび塾は「場作り」に主眼を置き、誰でも参加できることが特長である。内容としては研修参加報告型、課題持込型が多く実施されている。初期は参加者を増やすためにワークショップを多く開催していたが、参加者数を多く募ることが目的ではないため、徐々に内容を変えて、一昨年からは佛教大学との共同ワークショップを開催している。
  • 外部との交流・提携
    • 佛教大学との共同ワークショップでは、他大学の職員と共同することで新規メンバー勧誘のきっかけ作り、大学間の相互刺激による参加者の意欲向上、大学ごとに持ち回りで開催するため運営負担が軽減などに繋がる。例えば、残業時間の削減方法を自学で議論しても、建設的にならないことが多かったが、異なる大学の職員と共に考えることで、仕事の進め方に関する振り返りの機会として捉えることができ、有益な意見交換ができる。その他、各種学会・研究会、セミナー情報の共有、共同参加することを行っており、情報共有により参加しやすい環境づくりを心掛けている。
  • むすび塾の特徴、現状と課題
    • 「場づくり」と「つながり」対話:相互理解→協働:相互支援→創造:相互協力・成長
    • 若手職員を中心に活動の認知が広がりつつあるが、管理職には十分に知られていない。「勉強会」からのイメージ脱却は道半ばであり、目的や効果の浸透にはさらなる余地がある。短期と長期の成果のバランスを模索しており、活動時間・場所についても、対話し創造ができる環境づくり(音響・照明)を工夫しながら進めている。

2.質疑応答・パネルディスカッション

  • 最近ではメディア等を活用してトップマネジメント層に評価してもらおうという動きがあり、公共図書館では市長を動かすことに取り組んでいる面がある。高次学習については個々人のレベルもあるが、集団への適用はどう考えればよいか。
    • 組織内のパワー関係は無視できない。直属の上司をどう巻き込むかが一番のネックである。そのため紹介した自治体は非常にラッキーな事例であるが、新たに市民協働課という組織を作ってその意図に共感できる人を集めているので、その特殊性は考慮しなければならない。ソーシャルメディアの隆盛で、外部の共感者を集めることが容易になっており、以前よりも上層部を動かしやすくなっていると思う。元々、組織学習論はアメリカで心理学から発展した学問であり、個人の意識改革に主眼を置いているが、アメリカの研究者は研究成果をベースにビジネスコンサルティングに移行する人が多く、この考え方は個人と組織の両方に用いることができるとした。グループで違った価値観を共有するという点で、集団への適用と読み替えていただければと思う。
  • 個人の頑張りが組織を変えることがゴールだと思うが、組織を変えるということが具体的にどういうことかを各発表者の意見を聞きたい。
    • 実務的には何か変わった出来事があった時をゴールにすることが多いが、価値の変化として定着したことが学術的なゴールである。例えば組織のトップが変わった後でも変化が定着していることが重要である。
    • 組織が変わることがゴールだと思うが、ゴールの目的が短期的か中長期的かによって、ゴールへのアプローチが異なると考える。
    • 自身の大学で成果が出たと感じたのは、残業代が減ったことである。文書のやり取りが非常に減少して、他のイベント等で下打ち合わせができる。今後の課題はプロパーの管理職登用である。
    • 上司の理解を得ることが重要との話があったが、仮に理解の無い上司の下にいても他部署の上司と話すことで得られる知見もあると考えられ、その点からも議論の場づくりは必要ではないかと考える。
  • 組織には、仕事を積極的に関わる2割の層、人並みの6割の層、仕事をしない2割の層があると仮定した場合、それぞれに具体的に働きかける時の特質はどうか。
    • 巻き込み方としては、人とお酒を飲むことと雑談をする時間を上手に取るようにし、人の好き嫌いはあるが、職員間でコミュニケーションを取れるようにしている。大学の良い点は短期的に金銭的利益を追求しなくても良い点であり、大学を構成するそれぞれの人のベクトルが多様なので、その人の好きなことを活かして巻き込むようにしている。
    • 常勤職員が300人いるが、各職員の得意分野はそれぞれの人が把握している。例えば職員間の新規プロジェクトを立ち上げる際は、2・6・2の上位2割の争奪戦になる。よって、1人が所属できるプロジェクトは2つを上限とすることで承認された。まずは動く人を先頭集団として迎え入れた方がうまくいくように感じている。
    • 気をつける点としては「人を早めに増やさないこと」である。共感ベースで「この人と組みたい」「この人と成し遂げたい」という人物を見つけることが重要である。ダイバーシティがうまくいかない時は感情的なコンフリクトが発生する。2・6・2の概念は元々、昆虫学の分野で群れやコロニーを作る役割である。例えば、アリは役割毎に2・6・2で役割分担しているが、人間社会に当てはめても得られる示唆があり、組織でのバッファーは非常に重要である。このうち、中間層の6の部分にアプローチしていくことが一番重要ではないかと思う。上位の2割層は「勝手に伸びていく」ので、そもそもアプローチよりも障害を除外することが重要。6の人々はアプローチの有無で伸びるか否かが変わるので、この層に注力していくべきと考える。下位の2割は費用対効果を考えると、多大なコストの割に伸びが弱いという点がある。中間の6割の人々のことを経営学で「無関心層」と呼んでいるが、中間層にいかに広げていくかが今後の鍵になると思う。

個人の活動を組織に活かしていく場合、組織学習論をベースにしたプロセスを経る必要があるということが理論的にも実践的にも理解できた貴重な機会でした。いずれも理論・実務に根ざした素晴らしい発表だったのですが、個人的には南山大学の安藤先生による「反発は変革のバロメーターであり、全ての革新的取り組み・アイディアは、「既存価値」の否定・疑問から生まれてくる。既存の枠内延長線上からは生まれない。」という指摘がとても印象に残りました。SDを考える際には組織学習論はしっかり少し学ばなければいけないと、改めて考えるきっかけになると感じます。また、話題提供者の3名の方々による事例紹介も非常に刺激に満ちた発表ばかりで、なかなか咀嚼するのが大変ですが、どの取り組みもコンセプトが明確なのが特徴で、設置形態を問わず自主的活動で大学を動かしている事例は本当に参考になりました。
また、個人的に事例を聞いていて感じたことは、組織変革の契機は「組織の決定への反発・不満」を起点としていることから、ある種、組織制度が未整備な組織の方が変革の担い手が生まれやすいのではないか?という仮説です。安藤先生の事例紹介で登場する市役所の20代女性は、その後も特別に処遇が変わるなどせず今でも仕事をされているそうですが、既存の組織の枠を飛び越える人間をその後にどう処遇していくか?ということも極めて重要な課題です。何故そう感じたかと言いますと、組織制度を整えれば整えるほど、組織が設定する既存の枠を飛び越えていける人材は出てきにくくなる、つまり組織変革は一度やって終わりでは無く、変化し続けることが大切であるということです。口で言うのは簡単なのですが、変化し続けることは個人にとっても簡単なことではありません。大学を変えたい!という熱い想いだけではダメで、そのためにも組織学習論のプロセスを踏まえて勉強会などを開催し、職員間の結びつきを強固にしていくことが大切であることがよく分かりました。
終了後の懇談会にも参加したのですが、先日記事にしたUMAP*7をグローバル30の採択大学が活用するとグローバル化の進展に役立つなど、フォーラムでは取り扱わなかったテーマに関しての意見交換もすることができ、懇談会でも非常に有意義な学びの時間を得ることができました。これまでの4年間は1人での参加でしたが、来年からは職場の後輩にも声掛けして参加してみたいです。

*1:20140111高等教育研究会 大学職員フォーラム「大学職員個人の自発的活動・ネットワークはどのように大学を変えるのか?」 http://togetter.com/li/614634

*2:大学職員フォーラムへ参加してみました。(高等教育研究会 2013年度大学職員フォーラム) http://karatekalibrarian.blogspot.jp/2014/01/2013.html

*3:国立大学一般職員会議(Kokudaipan) http://kokudaipan.info/index.html

*4:きゅうつどTwitter https://twitter.com/kyutsudo_5

*5:佐賀大学の事務系職員クラブ制度については、昨年の9月に開催された大学行政管理学会の研究集会にて佛淵学長から説明があって気になっていた職員の取り組みです。 平成25年度第17回大学行政管理学会定期総会・研究集会に参加しました http://d.hatena.ne.jp/high190/20130909/p1

*6:中原正樹・北川将己・仲村啓吾・山内尚子「(実践事例)つながりを重視する職員の自主的勉強会「むすび塾」の活動」高等教育フォーラム Vol. 3, 2013 http://ksurep.kyoto-su.ac.jp/dspace/bitstream/10965/997/1/FHER_3_45.pdf

*7:UMAP(University Mobility in Asia and the Pacific)は何故、日本で広がらないのか? http://d.hatena.ne.jp/high190/20140111