読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

大学院設置基準の改正に伴う税理士試験の科目免除取扱について

high190です。
この4月から異動により教務を担当することになりました。これまでは4年間、設置関係の仕事を主に担当してきたので、これまで自分が関わってきた設置の仕事を具現化するために頑張っていきたいと思います。
さて、平成24年3月14日から新たに大学院設置基準が施行されたことに伴い、博士論文研究基礎力審査が位置付けられることになりました。*1
この制度変更によって、文部科学省所管ではない他省庁においても影響があり得るため、通知などが出ていないかをチェックする必要があります。例えば、税理士試験を管轄する国税庁では、大学院設置基準の改正に伴う修士の学位取得による税理士試験科目免除の取扱いについて、公表しています。


平成24年3月14日に大学院設置基準が改正され、各大学の判断により、大学院設置基準第16条に定められた修士論文等の審査及び試験の合格に代えて、新たに大学院設置基準第16条の2に定められた試験及び審査の合格により、修士課程として取り扱う博士課程の前期の課程を修了し、修士の学位を授与できることになりました。
しかし、修士の学位による税理士試験科目免除を受けようとする方は、税理士法第7条第2項又は第3項等に基づき、修士の学位を授与された上で、研究指導に基づく修士論文等の写しを提出し、自己の研究が税法に属する科目等又は会計学に属する科目等に関するものであることについて国税審議会から認定を受ける必要があります。
したがって、修士論文等の審査及び試験に代えて行われる大学院設置基準第16条の2に定められた試験及び審査により修士の学位を授与された方は、国税審議会が行う認定の対象とはなりませんので、税理士試験科目の免除を受けることはできません。

大学院への進学を予定している方で、修士の学位取得による税理士試験科目免除を検討している方等は、大学院の学則を確認する等十分ご留意下さい。

税理士試験の税法若しくは会計学で科目免除を受けるにあたっては、博士前期課程又は修士課程において修士論文を提出の上で学位を取得し、国税審議会の認定を受けて初めて科目の免除が認められることになります。この制度は税理士法が根拠となっており、税理士法の規定の上では、博士論文研究基礎力審査をもって修士の学位を取得しても、税理士試験の科目免除は受けられないという訳です。税理士法の第7条に科目免除についての規定がありますので紹介します。


(試験科目の一部の免除等)
第七条  税理士試験において試験科目のうちの一部の科目について政令で定める基準以上の成績を得た者に対しては、その申請により、その後に行われる税理士試験において当該科目の試験を免除する。
2  税法に属する科目その他財務省令で定めるもの(以下この項及び次条第一項第一号において「税法に属する科目等」という。)に関する研究により修士の学位(学校教育法第百四条 に規定する学位をいう。次項及び次条第一項において同じ。)又は同法第百四条第一項 に規定する文部科学大臣の定める学位で財務省令で定めるものを授与された者で税理士試験において税法に属する科目のいずれか一科目について政令で定める基準以上の成績を得た者が、当該研究が税法に属する科目等に関するものであるとの国税審議会の認定を受けた場合には、試験科目のうちの当該一科目以外の税法に属する科目について、前項に規定する政令で定める基準以上の成績を得たものとみなす。
3  会計学に属する科目その他財務省令で定めるもの(以下この項及び次条第一項第二号において「会計学に属する科目等」という。)に関する研究により修士の学位又は学校教育法第百四条第一項 に規定する文部科学大臣の定める学位で財務省令で定めるものを授与された者で税理士試験において会計学に属する科目のいずれか一科目について政令で定める基準以上の成績を得た者が、当該研究が会計学に属する科目等に関するものであるとの国税審議会の認定を受けた場合には、試験科目のうちの当該一科目以外の会計学に属する科目について、第一項に規定する政令で定める基準以上の成績を得たものとみなす。
4  略
5  略

このように、税法並びに会計学において「財務省令で定めるものに関する研究*2により」修士の学位を得たものが認定の基礎資格を得られるということになります。直接は当該大学院のカリキュラムに寄らず、免除申請ができる制度ですが、大学職員、特に教務に関わる事項を取り扱う者にとっては、こうした情報は見逃せないと思います。ちなみに上記の税理士試験の科目免除に関する情報は、文部科学省メールマガジン等で配信されるものではないため、大学院設置基準の改正に合わせて個々の大学において導入している制度を再点検する必要があります。
先日、大阪市立大学において、カリキュラムの不備で一級建築士の受験資格が得られないという事態が発生したことが大きく報道されましたが、*3大本となる法律、政令、省令の変更があった際には必ず自学の制度において変更が無いかどうか、チェックする視点を持ちたいものです。

*1:「博士論文研究基礎力審査」に係る大学院設置基準の改正をどう読むか?−http://d.hatena.ne.jp/high190/20111225

*2:税理士法施行規則第2条の2第1項及び第2項−http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S26/S26F03401000055.html

*3:大阪市立大学工学部都市基盤工学科がカリキュラム不備で一級建築士の受験資格を得られない事態に−http://d.hatena.ne.jp/high190/20120317