Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

秋田大学が国際資源学部の設置を検討。秋入学も視野に

high190です。
秋田大学が工学資源学部と教育学部を改組し、国際資源学部の設置を検討しているとのニュースがありました。


秋田大学が新学部「国際資源学部」(仮称)の設置を検討していることが2日、わかった。資源開発や環境対策など、資源学全般を幅広く学び、国際的に活躍できる人材を育成するのが狙い。分野が重複する既存の学部を再編し、現在の全3学部から同4学部に改組して、2014年4月の開設を目指す。
同大によると、新学部は、現在の工学資源学部の資源学系分野と、教育文化学部の国際系分野を合わせた文理融合型。資源開発やリサイクル、環境政策などを総合的に学び、国際レベルで活躍できるよう、英語のみの授業や学生の海外留学の義務化を検討している。また、秋入学を実施する可能性もあるという。
工学資源学部と教育文化学部は新学部の設置に伴って改組し、工学資源学部は「理工学部」(仮称)とする方針。実現すれば、新学部の設置は1970年の医学部以来となる。

同大は今後、新学部設置と既存学部の改組について検討する学内組織をつくり、県内の高校や企業にヒアリング調査を行う。新学部の学科や学生の規模などは、その調査結果などを参考に決めるという。
同大は「秋田大が鉱山学部時代から蓄積した知識や人脈は、現在重要性が高まっている資源開発に大きく貢献できる。その強みを世界水準に高め、大学の競争力を強めたい」としている。

秋田大学といえば、鉱物資源についての研究で知られており、このブログでも何度か取りあげてきました。ボツワナへの国立大学設置に協力するなど、伝統と特色を活かした教育研究を行っています。*1
秋田県には尾去沢鉱山があり、そういった地政学的な影響も踏まえて、秋田鉱山専門学校が設置されたのが1910年(明治43年)3月ということです。*2その後、秋田鉱山専門学校は秋田大学に包括され、現在の工学資源学部となっています。
今回の改組検討については秋入学を実施する可能性もあるとのことですが、これまでにも海外から教育研究についての協力を求められるなど、国際的にも注目される学部であることから、スムーズに導入できるのではないかと思います。また、工学資源学部では他の学部と比べて外国人留学生数が多いことからも、国際化に向けた下地は整っていると見ていいでしょう。(学部留学生のうち、工学資源学部学生の割合は90%です)

このように、過去の実績や海外からの注目度も踏まえて秋入学を考えていくことは大事だと思います。秋田県には、既に国際教養大学のように講義を全て英語で行い、留学を義務化している大学もあることから、大学間連携という点でも色々な展開が考えられそうですね。