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Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

京都で開催された「高等教育研究会」の大学職員フォーラムに参加してきました。

high190です。

1月7日(土)に京都私学会館で開催された、高等教育研究会の大学職員フォーラムに参加してきました。
この研究会は、1989年4月25日に京都私大連協・私大教連第1回高等教育研究会が開催されたところからスタートしているようですので、20年以上の歴史を持つ勉強会です。私は昨年初めて参加させてもらったのですが、小規模でありながら非常に密度の濃い報告を聞くことができたため、今年も参加してきました。今年のテーマは「この20年、変わったモノ・変わらないモノ・変えねばならないモノ」ということで、1990年代から20年の間に大学を取り巻く環境はいかに変わり、その中で大学職員に求められるものはどのように変遷してきたかについての講演がありました。

報告者として、立命館大学教学部事務部長で前大学行政管理学会会長の大島英穂氏、京都精華大学学長室長で中小大学実践知研究会*1モデレーターの福岡正蔵氏、熊本大学経営企画本部マネージャーの坂田親信氏が登壇し、それぞれの報告者によるパネルディスカッションと出席者による質疑応答が行われました。個人的には、中小大学実践知研究会の福岡さんが登壇することもあって、中小大学が取るべき戦略などについて色々お話を聞ける良い機会だと思って楽しみしていたのですが、期待通りで満足度が高かったです。各報告のテーマは次の通りです。だいぶ端折っていますが、high190が報告を聞いていてポイントだと思った部分を抜粋して掲載しておきます。ご参考までに。

基調報告「職員力向上の課題」(立命館大学 大島氏)

  • 大学では教員、職員を問わず有期雇用が一般社会よりも進んでいるため、有期・非専任とのパートナーシップが重要になる。このことを踏まえて専任職員が担うべき領域は広範化しており、この能力をどのように獲得するかが大きな課題である。
  • 大学組織の特性を知る必要がある。マクネイの大学組織モデルが参考になる。*2

報告1「この20年、変わったモノ・変わらないモノ・変えねばならないモノ」(京都精華大学 福岡氏)

  • 大学コンソーシアム京都でワークショップ型のSD研修*3をやっているが、従来型の講演会形式の研修では、現場で本当に役立つ知識は得られない。ワークショップ型のSD研修は参加者にとって負荷が大きいかもしれないが、「大学プロ職員育成モデルの構築」に繋げられる可能性がある。
  • 今後の課題としては、ワークショップに慣れていない人が多くいるように見受けられたため、対話文化の醸成を図る必要がある。今後のSD展望として、啓発のステージから自立のステージに移りつつあり、個々の職員に内省を促すためにもワークショップ型の研修が有効であると思われる。その他、大学院での研究や自己でキャリアデザインの理論を学ぶことも有用である。
  • SDの提供側は職員個々の成長を支援する構えにシフトする。

報告2「熊本大学における事務改革」(熊本大学 坂田氏)

  • 国立大学法人化で運営交付金と定員の削減を求められるようになり、外部資金を積極的に取得する必要が生じた。業務の高度化に対応するために事務改革を行う必要性が生じ、組織、業務、人事制度の3つを変える改革を行った。
  • 業務量を維持したままの削減には限界がある。思い切って業務自体を減らす、止めるといった考え方も必要。
  • 改革はある特定部門だけでやるのではなく、できるだけ多くの人を巻き込んでいくことが大切。

この他にもとても面白く興味深いお話がたくさんあったのですが、今回のフォーラムで、どの報告者の方々も共通で指摘していたことがあります。それは、「職場内外で学習力を高められる場を作ることの重要性」です。この20年の間に職員には自律性が求められるようになり、量的な業務改善から質的な業務改善を行うことこそが重要であるとの指摘もありました。そういった能力を職員が獲得するためには、インフォーマルな勉強会で意見交換をしながら自分を高めていくことが大切なのではないでしょうか。大学職員として、自らのキャリアプランを見据えた主体的な能力開発への転換が求められているのだと改めて感じました。
ちなみにインフォーマルな勉強会の具体例としては、私も参加している「Greenhorn Network 若手大学職員勉強会/ネットワーク」があります。この団体は、首都圏の大学等に勤務する若手職員を対象に、大学間の交流・情報交換、それによるモチベーションの向上を目的とした、勉強会、講演会、交流会等を行っています。

職場内外に限らず、優れた事例などを吸収できる勉強会は数多くあります。また、自らのニーズに沿う勉強会がなければ仲間を募って自分で開催してもいいはずです。是非職場でも研修で得られた知見を有効に使っていけたらと思います。

*1:中小規模の大学について職員が研究を行う「中小大学実践知研究会」が興味深い http://d.hatena.ne.jp/high190/20111108

*2:大場淳「大学のガバナンス改革−組織文化とリーダーシップを巡って−」名古屋高等教育研究 第11号(2011) http://www.cshe.nagoya-u.ac.jp/publications/journal/no11/16.pdf

*3:ワークショップ型SD−http://chusho-u-cop.sakura.ne.jp/?p=499