Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

関東学院大学が附属幼稚園に保育園機能を追加して、2012年4月から認定こども園に

high190です。
関東学院大学が設置する野庭幼稚園に、保育園機能を持たせた認定こども園として新たにスタートさせるそうです。
野庭幼稚園は横浜市に所在しており、待機児童が多い地域性も踏まえた対応であると言えるでしょう。


関東学院大学は2012年4月に幼稚園と保育園の機能を持つ「認定こども園」を開設する。既存の幼稚園を衣替えし、校庭など園舎の一部を地域住民に開放する。大学教員による子育て相談や講習会も催すほか、栄養学の専門教員と連携し給食作り体験など通じた食育も充実させる。少子高齢化で今後、学生の減少が見込まれる。大学の機能をフル活用、地域の子育てに携わる支援拠点として存在感を高める。
同大が運営する「関東学院野庭幼稚園」(横浜市港南区)に保育機能を追加し、認定こども園関東学院のびのびのば園」を新規開設する。建築面積を300平方メートル増やし、1043平方メートルとする。定員は140人程度。地域住民が利用できる一時保育の枠も準備する。すべての教員に幼稚園教員免許と保育士免許の両方を取得させ、幼保一体教育を推進する。
認定こども園開設に伴い、大学との連携も強める。給食室や子ども用の調理室を新たに設け、食育を充実する。同大の健康栄養学科と組み、子どもたちが米とぎやみそ汁作りなどの給食作りに取り組む。アレルギーのある子どもや、豚が食べられないイスラム教の信仰者向けの食事も工夫する。
食育以外では同大の人間発達学科と連携し、幼児教育の専門教員による子育て相談会や講演会を開く。同園に通う子どもの保護者以外も参加できるようにする。校庭など園舎の一部を近隣住民に開放して、子育てに悩む保護者のネットワークづくりに役立てる。
幼稚園の教員免許や保育士免許の取得を目指す学生の実習の場にもする予定。年間80人の実習生を受け入れるほか、学生アルバイトも募集する。実際に保育の現場体験を通じて学生らに子育てへの理解を深めてもらう狙いだ。
認定こども園制度は06年に始まった。県内の認定こども園は現在28カ所。県内の大学が運営している認定こども園田園調布学園大学みらいこども園に次ぎ2例目となる。

子育てには地域コミュニティの力が大きなサポートになりますので、地域住民に施設を開放することで開かれた大学を実現することができます。子どもを支えるという意思がよく見えてくるように思います。
個人的に感心したのは、イスラム教信仰者向けにちゃんとハラールを行った食事を提供すること。これは大きな配慮ですね。こういった文化的な側面からの支援は大きいと思います。
教育面では所属教員全員が幼稚園の教員免許と保育士免許を保有することを前提とし、学生の教育実習にも活用されるそうです。

認定子ども園の制度概要については、文部科学省厚生労働省幼保連携推進室に詳細な解説が掲載されており、認定件数は平成23年5月1日現在で762件となっています。
関東学院大学の場合、既設の幼稚園に保育所機能を追加するため、「幼稚園型」の認定こども園になります。

附属の学校等で認定こども園の機能を持っている大学は日本にどれくらいあるのでしょうか?単純に名前に「大学」と入っているところを抜粋すると5件該当します。
大学の場合、教育実習などと絡めた形で教育面での効果も期待できるだけに、もう少し多くの大学が認定こども園化を進めているかと思いました。

関東学院大学の場合、健康栄養学科の協力も受けるなどして大学の力をフル活用しているように見えます。子育てについてもそうですが、大学が持つ機能を組み合わせて地域連携などに活用することは地域貢献や地域共生の観点からとても重要だと言えます。大学だからこそできる取り組みですから、こういった事例がより広がりを見せてほしいと思います。*1

*1:ちなみに横浜国立大学は2012年4月から認可保育所をキャンパス内に設置予定です。医学部や保育士養成課程を持たない大学でもこういうことができます。 「横浜国立大学がキャンパス内に保育所を開設。地域住民にも開放」 http://d.hatena.ne.jp/high190/20110812