Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

中小規模の大学について職員が研究を行う「中小大学実践知研究会」が興味深い

high190です。
私の勤務する大学は収容定員が2,000名以下の小規模大学です。大学経営において収容定員の規模は非常に大きなポイントで、収益構造も大きく異なりますし、取るべき戦略も大規模大学とは異なります。
だからこそ、中小規模の大学ならではの実践的な知識が重要になってくるのですが、中小大学に限定した有意な勉強会が京都で開催されているようです。


中小規模大学での実践的な知の創出・共有を目的とした、大学横断型の実践コミュニティです。たまに京都の出町柳に集い、中小大学の諸問題とその解決法について語り合います。
その日のテーマに興味がある人が集まる、緩やかなネットワークのインフォーマルな研究会です。

規模に応じた大学ごとの悩みを共有し、解決策を議論するという素晴らしい取り組みです。先に述べたように、大学は規模によって抱える問題も大きく異なるため、ここで議論される中身は中小大学の経営にとって、まさしく「実践知」であると思います。大学横断型のプロジェクトについては最近色々な取り組みが行われていると思いますが、規模を中心的課題に置くことはとても重要なことだと思います。緩やかなネットワークであることも、研究会の継続に大きく寄与しているのだと思います。
個人的に中小大学実践知研究会の記事でおすすめしたいのは以下のリンクです。まさしく実践的内容。

研究会のモデレータ(進行役)を務めるのは、京都精華大学学長室長の福岡正藏さんです。大学在学中に起業され、リクルートの転職を経て大学職員になられたというキャリアをお持ちのようで、今年度からは大学コンソーシアム京都SD研修委員会委員長も務められています。福岡さんについては、徳島新聞社のインタビュー記事が2007年に公開されていますので、こちらもあわせてご覧下さい。


膨大な情報を掲載する大学のウェブサイトの管理も重要性が増した。「『象牙の塔』といわれた大学は閉ざされた空間で、広報が必要と考えられてなかった。でも、受験生が減少し、受験生や保護者らと良好な関係が築けなければ生き残れない時代になったんです」

(中略)

その後、職員募集を知って京都精華大学に転職。「広告は捨てられてしまう運命にあるが、大学固有の広報、広告は少なくとも一年は残る。貢献している実感があると思ったんです」。入試広報課を皮切りに事務局長、総務部長などを歴任した。

これは広報室長をされていた時のインタビュー記事ですが、貢献していることの実感が得られるということは中小大学の職員にとって大きな魅力のひとつです。逆に小規模であるからこそ、職場への貢献が見えるか否かが大学経営に大きく関わってくる訳です。これは大規模大学には見られない特徴だと思います。
自学の立ち位置を踏まえた上で実践知を追求している中小大学実践知研究会、今後の研究成果も楽しみにしています。