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Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

日本国際大学に改称予定の聖トマス大学、認可申請時の書類不備で認可取り下げ。向こう2年間の認可申請が不可能に

high190です。
兵庫県尼崎市に所在する聖トマス大学では、来年度から日本国際大学への名称変更及び新しい学部を設置する予定で今年度に認可申請を行っていましたが、提出書類の内容に事実と異なる記載があったため、認可を取り下げるとともに2014(平成26)年度開設分まで、大学・学部等の認可申請を認めない処分が下されました。
聖トマス大学は、今年にアメリカの大学ネットワークであるローリエイト・エデュケーションに加盟し、日本国際大学と名称を変更することで注目を集めていましたが、思わぬ結果になりました。


学長の経歴など誤って新学部設置を申請したなどとして、文部科学省は29日、聖トマス大学兵庫県尼崎市)を経営する学校法人「英知学院」に対し、2014年度開設分まで大学、学部などの認可申請を認めない処分を決めた。
同大は5月、国際教養学部(定員195人)と健康科学部(同80人)の12年度の開設認可を申請。その後、提出書類に事実と異なる記載があったと申し出た。
文科省が調べた結果、学長の経歴が以前在籍した大学で部長職だったのに書類には副学長と記載。外国人教員5人についても、英国の認証機関が正規の大学として認めていない大学の学位を経歴に記載するなどしていたという。
学長は外国人で、大学側は書類を作成した翻訳会社が職歴を日本語に訳す際に誤記したと説明したが、文科省はチェックが甘かったと判断。学長が辞任し、申請も取り下げられたことを考慮した上で、処分期間を2年間とした。
聖トマス大学ドーソン・スティーブン・リン理事長の話 衷心よりおわび申し上げる。大学運営が継続できるよう最大限の努力をしていく。

新聞報道を見る限り、一部書類の作成を外部業者に委託していたようですが、事実と異なる表記のまま書類を作成した上、外国人教員の保有学位についても、正規の大学として認められていない大学の学位を掲載したとして、平成26年度開設分の設置等の認可申請までの期間、認可申請を認めないとの通知が文部科学省から出されたようです。聖トマス大学では平成22年4月より学生募集を停止しているため、今回の申請取り下げとペナルティが大学経営に与える影響は計り知れないものがあります。文部科学省から聖トマス大学を設置する学校法人英知学院宛の通知は以下の通りです。

上記の通知に記載のあった、大学等の設置等に係る認可の基準の第2条には以下のように規定されています。

第2条 文部科学大臣は、大学、大学院、短期大学及び高等専門学校(以下この条において「大学等」という。)に関する法第4条第1項の認可の申請を審査する場合において、認可申請者が次の各号のいずれかに該当するときは、当該認可をしないものとする。
(1)大学等に関する法第4条第1項の認可の申請又は同条第2項の届出において、偽りその他不正の行為があった者であって、当該行為が判明した日から起算して5年以内で相当と認める期間を経過していない者

学生募集を停止し、生き残りの活路を大学名称の変更と改組に見出した訳ですが、申請書類のチェックが甘かったことは否めない事実だと思います。
文部科学省が作成している設置認可申請の手引には、履歴書の作成についても細かい指示がありますし、専任教員のうち外国の大学で学位を取得した者については、当該国の正規の大学であることを証明する資料を添付せよとの指示があります。
設置認可の関係資料は正確性が求められるため、書類作成を依頼した会社が仮に翻訳を誤ったとしても、責任は大学に求められることになりますので、専任職員が細かくチェックしていれば防げたと思われる問題だけに、何か打つ手があったのではないかと思わずにはいられません。
国際的なネットワークを持つローリエイト・エデュケーションとの協力体制を構築するなど、新しい大学再生のモデルとして注目されていただけに、こうした結果になってしまったことはとても残念に思います。