Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

文部科学省が情報公表の義務化に伴い、全国大学情報のデータベース構築へ

high190です。
学校教育法施行規則の改正により、今年の4月から大学の教育情報の公表が義務づけられました。
しかしながら公表方法は各大学に委ねられているため、必ずしも情報が見やすく整備されているとは言い難い状況になっています。
このことを踏まえ、文部科学省が大学の教育内容、入学定員、在籍者数などの情報を集めたデータベースを構築する方針を決めたそうです。

大学の情報公開を議論している文部科学省の専門家会議は21日、全国の大学の教育内容や入学定員、在籍者数などの情報を集めたデータベースを構築する方針を決めた。数年をかけて段階的に整備し、大学側が管理・運用する。文科省は来年度予算案の概算要求などにデータベース構築を後押しするための費用計上を検討する。
入学者数などの基本情報は今年4月から全大学がホームページなどで公表することが義務付けられた。しかし情報公開の程度や公表方法は統一されず、比較しづらいといった問題があった。
会議では、各大学の教育や研究活動の状況を分かりやすく一元化することで受験生や企業の利便性が増し、教育の質の向上にもつながるとの意見でほぼ一致。今後は公表項目などを検討する。

学校教育法施行規則の改正に伴う追加条文は以下の通りです。

第百七十二条の二  大学は、次に掲げる教育研究活動等の状況についての情報を公表するものとする。
一  大学の教育研究上の目的に関すること
二  教育研究上の基本組織に関すること
三  教員組織、教員の数並びに各教員が有する学位及び業績に関すること
四  入学者に関する受入方針及び入学者の数、収容定員及び在学する学生の数、卒業又は修了した者の数並びに進学者数及び就職者数その他進学及び就職等の状況に関すること
五  授業科目、授業の方法及び内容並びに年間の授業の計画に関すること
六  学修の成果に係る評価及び卒業又は修了の認定に当たつての基準に関すること
七  校地、校舎等の施設及び設備その他の学生の教育研究環境に関すること
八  授業料、入学料その他の大学が徴収する費用に関すること
九  大学が行う学生の修学、進路選択及び心身の健康等に係る支援に関すること
2  大学は、前項各号に掲げる事項のほか、教育上の目的に応じ学生が修得すべき知識及び能力に関する情報を積極的に公表するよう努めるものとする。
3  第一項の規定による情報の公表は、適切な体制を整えた上で、刊行物への掲載、インターネットの利用その他広く周知を図ることができる方法によつて行うものとする。

情報公表の方向性はいいのですが、公表した情報を見る側のことを考えると様式の統一化は必要になってくることです。
データベース構築についての文部科学省の専門家会議についても、会議資料等が公開されています。

会議名称にもあるように「教育情報の活用支援」という観点から、統一化された分かりやすいデータベースを整備することは必要です。
また、昨今ではメディアからの大学に対する情報公開に関する調査が多くあるため、大学の本来業務に支障をきたしているとの声も、知人の大学職員らは聞きます。
ただ入れ物だけを作るのではなく、大学が公表する情報をより活用する上でも、利用者が見やすいデータベースを整備することが重要と言えるのではないでしょうか。