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Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

東京大学が秋学期入学(ギャップ・イヤー)の導入に向けた検討を開始

Diary Foreign

high190です。
東京大学が秋入学の導入に向けた検討を開始したとの報道がありました。秋学期入学は「ギャップ・イヤー」と呼ばれ、海外では一般的な制度になっています。
東京大学が導入に踏み切った場合、日本の大学全体に影響を及ぼす可能性が高いため、今後の動向に注目が集まります。


東京大学は、入学時期を春から秋に移行させる検討に入った。国際標準である秋入学の導入で、海外大学との留学生交換を円滑にし、大学の国際化を加速させるとともに、学生に入学までに社会経験を積ませることが狙い。年内にも結論を出す。東大が秋入学に踏み切れば、他大学の入学時期や官庁・企業の採用活動などに大きな影響を与えることは必至だ。
秋入学に移る場合も、小中高校は春入学・春卒業であるため、入試は現行日程を維持する。合格者には高校卒業から入学までの半年間を「ギャップイヤー」として、海外留学やボランティア活動などの体験を積ませる。
ただ、ギャップイヤーの過ごし方や卒業の時期など、実施までに解決すべき課題は多い。入学・卒業を全面的に秋に移行する案のほか、卒業は春にして修学期間を4年以上に延長する案、春入学と秋入学を組み合わせる案なども検討する。
浜田純一総長(学長)は日本経済新聞の取材に対し、「今の春入学制度は10年はもっても50年はもたない。可能な限り早くグローバルスタンダードに合わせるべきだ。秋へ移るなら完全に移った方がいい」と述べ、9月か10月ごろの入学に、早期に全面移行することに強い意欲を示した。
浜田総長は今年春、「入学時期の在り方の検討」を2011年度以降の「東大行動シナリオ」に盛り込んだ。さらに、学内の研究科長(学部長)や研究所長で構成する科所長会議や、学外の有識者らが入る経営協議会で相次いで検討着手を表明した。
既に清水孝雄理事(副学長)を長とするワーキンググループが発足、本格的な検討作業を進めている。ワーキンググループは入学時期の在り方について幅広く検討し、これを基に学内で議論を深める方針。
明治期以降、春入学・春卒業は日本人の生活様式として完全に定着しているが、国際的にみると、米英両国など欧米諸国の約8割は9月入学で、春入学はごく一部。海外との留学生交換をする際も学期のずれなど弊害が多く、日本人学生の留学離れや大学の国際化の遅れを招いた一因ともされる。日本でも秋入学を実施する大学は増えているが、海外からの留学生が中心で、日本人学生の入学を秋に一本化した大学はない。

この記事に関連して、日本経済新聞にもう一本記事が出ています。

(上記記事より一部抜粋)

ただ、「入学式は桜が満開の時期」という季節感は日本社会に深く定着しており、これまでも秋入学の必要性が指摘されながら、定着しなかった一因となっている。企業・官庁の採用や国家試験も春入学・春卒業を前提に日程が組まれており、東大だけでは対応しきれない課題も多い。
ギャップイヤーも、社会体験やボランティア活動、短期海外留学の受け皿が確保されなければ、“無為の時間”を生むだけで終わりかねない。
具体化までに検討すべき課題は山積してはいるが、この問題が日本の大学の国際化のために避けて通れない課題であることは間違いない。他大学とも連携しながら実のある議論を期待したい。

ギャップ・イヤーの導入にあたっては、日本の場合、学生の就職活動に大きく関係してきます。日本では4月の新卒一括採用が社会に組み込まれた一般的な慣習となっており、就職活動の早期化及び長期化を招いている元凶であるとも言われています。もし、東京大学が秋入学に正式移行した場合、日本における大学のあり方にも大きな影響を及ぼす可能性は高いのではないでしょうか。上記の記事で「"無為の時間"を生むだけで終わりかねない」と指摘されていますが、海外ではどのようにして対応しているのでしょうか?ちなみに海外では、ギャップ・イヤーに対応したこんなWebサイトもあるようです。

秋入学の導入は、大学だけではなく社会にも変化を求める重要な政策的判断になると思われ、グローバル化の対応のみならず、就職活動の早期化及び長期化にも対応していく必要があるでしょう。