Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

大学のグローバル化に伴い、職員に求められる国際化対応能力とは

high190です。
日本で学んでいて就職を希望している留学生の多くは、大学の就職支援態勢に不満を持っている・・・
日本で学ぶ留学生がアンケート調査を行った結果、そのような結果が出たそうです。大学もグローバル化していかなければなりませんが、職員が持つべき国際化対応能力は何でしょうか。


日本で勉強し、日本で就職希望の留学生の多くは大学の就職支援態勢に不満――。
東京で就業体験中の韓国の大学生2人が、大学への調査と留学生アンケートを行ったところ、そんな結果が出た。2人は「出口の支援が不十分」と訴えている。
2人は、リクルートの関連会社「リアセック」(港区)の就業体験生として来日した梨花女子大4年の林(イム)チョロクさん(23)と高麗大4年の韓徳求(ハントック)さん(24)。1〜2月、都内などの18大学を訪れて担当者に質問し、韓国や中国、米国などの留学生30人にアンケートした。
その結果、多くの大学が企業の留学生採用計画を把握しておらず、留学生から「企業説明会で外国人採用がないと知った」などの不満が出ていた。一橋大や桜美林大などは、留学生の採用実績・計画の情報を提供しており、林さんは「無駄足を防ぐのに有効」と話す。就職説明会は全大学が行っていたが、留学生の参加率は3割未満が多い。日本人向けと同じ授業後の夕方開催が多く、留学生から「生活のため日々バイトしており、参加しやすい日時に」との声があった。
「大学がOBの進路を把握しておらず、OB訪問ができない」との不満もあり、頼りは「仲間の口コミ」。韓さんは「留学生OBの進路のデータベース化を」と提案し、同社の近藤賢CEO(最高経営責任者)は「留学生の存在感は高まっているのに、大学の対応が追いついていない」と話す。今年の就職戦線は「将来の幹部候補として留学生を採用する企業が例年より多かった」(一橋大キャリア支援室)ものの、「全体では日本人と同様に厳しい」(日本学生支援機構)状況だ。

留学生30万人計画の実現に向けて、大学全体がグローバル化に対応する力を付けていく必要があります。しかしながら、現状では留学生への就学支援はあまり充実していないことがこの調査からも分かります。
文部科学省では「産学連携によるグローバル人材育成推進会議」を設け、「高等教育の国際化を効果的・効率的に進め、産学官(民間・大学・省庁間連携も含む)を通じて社会全体でグローバル人材の育成に取り組むという方針のもと、その対応方針を戦略ビジョンとしてまとめる」ことを目的としています。

当該会議で「グローバル人材の育成のための戦略」に係るたたき台の資料が公開されています。グローバル人材に関して、大学が行うべきことを考える上での参考になるものです。
たたき台の資料の中に大学、企業、政府がそれぞれどのような役割を担うかについて整理されていますが、この中に「教職員の国際化対応能力の向上」が挙げられています。


  • 大学組織のグローバル化
  • 教職員の国際化対応能力の向上
  • 9月入学の推進
  • 外国語コースの設定や外国語による授業の推進
  • 学位取得プログラムの確立
  • 優秀な外国人教員の確保
  • 帰国子女枠や留学経験者枠など特別枠の設定
  • 到達目標の設定(特定分野の教育において、TOEFLTOEIC等について何点以上等、語学力の習得を卒業要件とするなど社会的ニーズを踏まえた到達目標の設定)
  • 外国の大学づくりへの協力
  • 大学の取組成果の可視化

国際対応力の向上とは、語学力を意味するものだと私は理解しました。制度面で留学生を受け入れる体制にしたとしても、対応する人の側がグローバル化していなければ結果として留学生を受け入れても満足な教育は行えません。先日、楽天株式会社が社内公用語を英語にすることで話題を集めましたが、国際交流を担当する部署を拡充するなどの対応のみならず、大学でも国際化に対応できる教職員を有しているか否かが競争力の源泉になる日はそう遠くありません。