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Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

就職活動に家庭教師を付けることへの違和感

high190です。
大学生の就職活動を支援する取り組みは色々ありますが、就職活動支援ビジネスが花盛りなようです。


今春卒業予定の大学生の就職内定率(昨年12月1日現在)が68・8%と過去最悪となる中、就職活動支援ビジネスが活況で、お金を払って面接指導や履歴書の添削などを受ける学生が増えている。10万円を超えるような高額コースでも人気は高く、自らの力や大学の支援に限界を感じる学生、親が増えていることが背景にあるようだ。
「自分の就活力を把握することが重要。2月までに自己PRを固めていないと手遅れになりますよ」
就職情報会社「ジョブウェブ」が先月、都内で開いた就職セミナーの無料体験会には、就活中の大学生約30人が集まり、真剣な様子で講義を聴いた。
その名も「究極の内定力養成講座」。職業の適性診断や面接の訓練など、就活に必要な知識や技能を全12回の講義で伝授する。受講料は12万6000円で、無料体験会を受講すれば割引される。
卒業までに内定できなかった場合、受講料を全額返金する「内定保証」があるといい、無料体験会に参加した法政大大学院1年の女子学生(23)は、「内定を獲得できるなら、決して高いとは思えない」。
同社では、この有料講座を2009年から始めた。20人限定にもかかわらず約300人が応募することもある人気ぶりで、同社キャリア支援事業部の上田卓部長は「就職難が続けば、有料講座を受けることが当たり前の世の中になる」と話す。

当該企画については、下記URLで詳細を知ることができます。

私はこういったビジネスを否定するつもりはありません。ニーズがあるからこそ、ビジネスとして成り立つ。しかしながら、大学教育に関わる者として学生の皆さんに言いたいことがあります。
就職して自分自身が働くということは、「自分自身が新たに築く家庭の家計の支えになることにも繋がっている」ということです。この考えは東海大学教授で過去に専門学校の校長をしていた芦田宏直先生の考えに依拠するものです。

学生の皆さんには是非、芦田先生による就職活動への檄20箇条を読んでもらいたいと思います。
就職することは自分だけの問題ではありません。将来のことも踏まえてじっくり考えなくてはいけないし、自分自身がどのような人間であるのかを認識して表現していくことが求められます。有料セミナーに参加することで就職への自覚や自己を見つめなおす機会とすることに反対はしませんが、それでは既に支払っている大学の学費についてはどういった形でリターンを得るのでしょう?
これは私自身の経験ですが、困難な状況に置かれた時、自分の頭でいかに考え、解決への道筋を付けられるのか。そういった経験を数多く持つ人は社会でも必然的に必要とされる人材になっているような気がします。その意味では学生時代により多くの困難に直面し、悩みながらも問題に対して真摯に向き合うことが自らを成長させることに繋がると思います。芦田先生の記事にもあるように採用する側はその人の「根性」を見ています。自分自身を鍛える上にあたって有料セミナーに参加することが内定への近道ではないような気がするのです。周りの友人などの動きに惑わされない人こそ、内定への道が近いのかもしれませんね。
また、大学関係者にとってはこういったセミナーが人気を博していること自体、大きな問題であると捉えなくてはいけないように思います。これは明らかな大学教育への不信が招いたもので、大学に期待できないからこそ成り立つビジネスであるとも言えます。本来的には大学がやるべきことを企業が有料でやっているのですから。大学の就職支援に対する学生からの回答であると受け止めなくてはいけないのではないでしょうか。先日、博報堂の調査で大学の評価ポイントが教育研究よりも進路・就職の面倒見にシフトしつつあることを紹介しました。

このような調査結果を踏まえ、教育研究に力を注ぐのか、就職支援に時間を割くのか、大学として何に重点を置いて学生と向き合うのかを各大学が真剣に考えなくてはいけないのではないかと思います。