Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

大学院修了後、社会に出てからも研究に戻れる制度を創設@広島大学

high190です。
広島大学社会科学研究科マネジメント専攻では、大学院修了後に発見した課題について研究に戻ることができる制度を創設したそうです。


広島大大学院社会科学研究科マネジメント専攻(広島市中区)は本年度、同窓生が研究に戻れるよう新制度を設けた。社会人が多く学ぶ特徴を生かし、大学院修了後に現場で見つけた新たな課題について研究してもらう。既に2テーマを採択し、社会人が再び課題解決に向けた研究に取り組んでいる。
同専攻創立10周年を記念してスタート。研究テーマが選ばれると、無料で大学の施設などを利用でき、教授の指導も受けられる。
中小企業基盤整備機構中国支部(中区)で働く真志田和江さん(33)=中区=は、地域資源を活用した観光の可能性について研究している。2009年春に修士課程を修了。当時と同じ後藤昇客員教授(地域経済論)の指導を受ける。
職場は地域資源を活用する企業に補助金を出しており「成果を企業相談の業務に生かしたい」と意気込む。
同専攻によると、これまで現場に戻った修了生が課題にぶつかっても、研究を断念するケースが多かった。大学院側には、より現場に近い新鮮な課題に取り組める利点がある。同専攻の村松潤一専攻長は「将来的には、組織として確立することを目指す。市中心部にある東千田キャンパスに、地域課題などを解決するシンクタンク的役割を持たせたい」と話している。

研究科修了後、社会に出た学生は様々な点で問題にぶつかることがあると思います。そうした問題点をより深く研究するために、大学院に戻って研究することができる素地を作ることは大切なことではないでしょうか。この研究科の特徴として社会人学生が多いということもあるのでしょうが、社会と大学がもっと深く関わっていくためにも、広島大学がこうした制度を創設したことの意義は大きいと思います。実務と研究が乖離するのではなく、もっと相互に連携できる体制を整備する上でも見習いたい事例です。