Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

山形大学が学長選挙の規則を改正し、教職員投票を廃止する方向に

high190です。
山形大学が次期学長選挙から学内規程を改定し、教職員の投票による学内意向聴取の制度を廃止する方向で検討しているようです。


山形大の学長選考会議(議長、有馬朗人元東大学長、元文相)は、来年の次期学長選から全学の教職員による投票「学内意向聴取」を廃止する方針を決めた。来月の学長選考会議で規則を変え、正式決定する見通し。この方針に山形大職員組合は反発。「大学構成員の意見を聞く貴重な場が失われる」と白紙撤回を求める声明を発表した。投票をせずに学長を決める国立大学法人は全国で4大学だけという。現在の学内投票は、助教以上の教員と課長補佐級以上の職員約900人が対象。投票結果を踏まえて、選考会議が協議し学長を選ぶ。前々回05年までは、学内投票1位の候補者がそのまま学長に選ばれた。しかし、前回07年は学内投票で2位だった前文部科学事務次官の結城章夫現学長が、選考会議で逆転して学長に選ばれた。学内投票の結果が覆ったのは初めてで、「天下り人事だ」と当時、学内から批判が噴出した。
選考会議のメンバーは、大学の各学部長と付属病院長の学内委員7人と、学外の有識者7人の計14人。廃止の方針を決めた11月22日の選考会議には13人が出席。有馬議長を除く12人のうち、出席した学外委員全5人を含む7人が廃止に賛成、5人が反対したという。
山形大総務部によると、選考会議では廃止の理由として「票集めに奔走し、選挙後に遺恨を残すなど弊害が大きい」「大規模な学部が有利」などが挙がった。また投票の代わりに学部ごとに新たに意向聴取をする方針が決まった。
この決定について、教職員組合の松本邦彦書記長は「寝耳に水で驚いている。民間会社と異なり、大学は教育研究機関。『大学の自治』が認められており、学長を選ぶ時に構成員の意見を聞く場が無いのは問題だ」と憤っている。
一方、投票廃止に賛成した山下英俊医学部長は「投票結果に引きずられず、組織のトップを選ぶ(選考会議の)責任を明確にする必要があると思った」と説明する。
背景に04年の国立大学法人化で、学長の権限が強化された一方、学長に一層の経営能力が求められるようになった点がある。山下医学部長は「法人化が大きな転機になった。民間会社で投票をして経営者を選ぶ会社はない」と説明。これに対し松本書記長は「大学に十分な理解の無い学外の委員に学長を選ぶという重大な判断を委ねるのは危険だ」と危惧する。
山形大によると、全国の86国立大学法人で教職員らによる投票を実施しない大学は、東北大▽鳴門教育大▽政策研究大学院大▽総合研究大学院大−−の4大学だけ。東北大は06年の学長選から廃止した。

学内意向聴取に関しては、山形大学学長選考等規程に投票資格者が下記の通り規定されています。

第10条 学内意向聴取の投票資格者は,学長選考会議が別に定める投票資格者の確定の日(以下「投票資格者確定日」という。)における常時勤務することを要する役員及び職員のうち次に掲げる者とする。
(1) 学長,理事及び監事
(2) 専任の教授,准教授,講師及び助教
(3) 事務職員及び専門職員のうち部長,課長,事務長,室長,企画調整役,専門役及び技術専門員
(4) 医療職員のうち副薬剤部長,診療放射線技師長,副診療放射線技師長,副栄養管理部長,臨床検査技師長,副臨床検査技師長,看護部長及び副看護部長

自治か?それともガバナンスか?これは難しい問題だと思いますが、これからの大学経営を考えるとガバナンスを強化する方向に舵を切る大学は、国公私立問わず増えてくるのではないでしょうか。
私立大学の場合、名古屋音楽大学のように准教授が学長に就任するという事例もあります。

ただ、全国に86ある国立大学法人のうち、教職員らによる投票を実施しない大学は現時点で4大学のみ!
今回の山形大学の取り組み、是非、国立大学職員の皆さんのご意見を伺ってみたいです。