Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

大学選びの冊子を大学が作る

high190です。
東京多摩地域の大学・短大で構成する「東京多摩私立大学広報連絡会」が大学選びのための冊子を作成したそうです。
日本はOECDの中でも大学生活に意義を見いだせないで退学するケースが多く、大学に行く意味を考えてもらうことがこれから重要になってきます。これは各大学において考えていかなければならない重要なポイントです。


10人に1人が大学や短大などを中退するなか、東京都多摩地域を中心に14の大学・短大でつくる「東京多摩私立大学広報連絡会」は、中退予防をテーマとした冊子を作った。
中退して大学に入り直した人ら15人の体験談を紹介しているのが特徴だ。同会は「安易な大学選びは避けて」と呼びかけている。
冊子のタイトルは「なぜ、大学に行くの? 自分の将来を考える高校生のための本」(A4判、14ページ)。
冊子では例えば、高校卒業後、希望の薬学部に進んだが、資格取得のための勉強ばかり強いられ、違和感を感じて中退、別の大学の理工学部に入り直した女子学生の例を紹介している。この学生は「国家試験の合格率や偏差値でしか大学を選んでいなかった」と振り返っている。
このほか、会計関係の仕事をしていた父親の影響で大学の商学部で学び始めたものの、不向きなことを自覚し、大学は卒業したものの、今度は教員を目指して学び始めた男子学生や、大学卒業後、企業で働きながら、「食」への関心を強め、管理栄養士になろうと、女子大に入学した人も取り上げている。
OECD経済協力開発機構)の2008年データによると、日本の大学や短大などの中退率(推計)は11%。イギリスの35%、アメリカの54%からみれば低い。ただ、大学関係者によると、日本の場合、授業の厳しさで中退を余儀なくされる欧米と異なり、「もともと不本意入学だった」「期待と現実のギャップが大きかった」「仲間や教員との人間関係に苦しんだ」などを理由とした中退が目立つという。
同連絡会代表世話人立教女学院短大入試・広報担当課長の高橋功さんは、文部科学省の10年度調査で、57%が大学や短大に進んでいる現状を踏まえ、「入学のハードルが低くなった分、以前と比べ、大学に行く理由を考える機会が乏しくなっている」と今の学生の状況を説明する。
日本中退予防研究所(豊島区)の山本繁所長は、「大学が中退予防をテーマに冊子を作ったケースは聞いたことがない。それだけ中退が深刻になっているということ」と強調する。ただ、「不安定な就労を強いられるなど、中退をすることのリスクも強調すべきだ。教員研修の充実など、大学側も予防策を示してほしい」と話している。
冊子に関する問い合わせ先は、実践女子大入試センター((電)042・585・8820)。

サイトの上部に「高等学校・進学予備校教員の皆様へ」とあります。受験生へのアクセスには教員を通すことが必要ですので教員向けの記載になっているんでしょうね。
数ある大学の中からどこを選ぶか決めるのは受験生にとって大きな選択です。と同時に希望する大学に入学できなかった時どう考えるのか?希望する大学に入学するために浪人するか、別の大学でやりたいことを見つけるように努力するのか。受験生への動機付けとして、こういった冊子が役に立つでしょう。東京多摩地区にある14の大学・短大で作成したとありますが、各大学ではどう活用するんでしょうかね?入試スタッフは「自分の大学に来て欲しい!」という思いもあるでしょうが、より幅広く大学を考えてもらうためにも、オープンキャンパスで配布するのもいいかも知れません。
その他に東京経済大学の入試・広報スタッフが作成した「ガクブック」という冊子もあります。こちらも大学選びの参考にできると思いますよ。