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Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

大阪府立大学、文系でも数学科目の履修を必修に

Diary Unique

high190です。
大阪府立大学では、2012年の春から文系の全学生に教養科目で数学の単位修得を必須にすることを決めたそうです。
大学入試でも数学が問われなくなってきている中、文系での必修化は多大なる意義があるのではないでしょうか。


数字を暮らしに生かす「数学的素養」が低下している現状を改善しようと、大阪府立大(堺市)は2012年春から、文系の全学生に教養科目で数学の単位取得を義務付け、卒業まで数学力が衰えないよう自己管理させる。
文部科学省は「文系全学生に数学を必修にする大学は聞いたことがない」という。大学全入時代を迎え大学教育が易しくなる傾向の中、入学を敬遠する受験生が出る恐れもあるが、あえて数学を身に着けさせて社会に送り出すための取り組みといえる。
12年春予定の学部再編で現在の経済、人間社会両学部(学生数約2100人)が統合される「現代システム科学域(仮称)」の学生が対象。受験生には一般入試で数学を課し、新入生は高校2年程度の数学を復習した後、文系学生の多くが高校時代に選択しない微分積分線形代数(行列)を学ぶ。これらの単位を取らないと卒業できない。
2年で基礎的な統計学の講義を行い、到達度試験を実施。3、4年では、数学の知識を維持できているか、自己評価させる。理系学生向けに05年に開設した「数学質問受付室」やネット上の「自習サイト」の機能を強化、きめ細かく指導する。
岡本真彦准教授(数学教育)は「多くの教官が、学生の論理的思考はどんどん低下していると実感したことが数学必修化につながった。数字を読み解く力があるかないかで、思考の質に大きな差が出る」と語る。
文系での数学教育は、九州大が経済学部のみで単位取得を義務付ける。京都大は、数学の知識を持つことが望ましい経済、教育両学部の学生に数学の受講を強く勧めているが、選択科目にとどまり、東京大も文系の数学は選択制だ。
15歳を対象に経済協力開発機構OECD)が行う国際学習到達度調査(PISA)の数学的素養で、日本は2000年調査では1位だったが、03年は6位、06年は10位と成績を下げ続けている。

学部再編にあわせて数学を必修化するようです。記事中にもありますが、PISAでも日本は順位を下げ続けていることもあり、数学教育の重要性を感じている大学関係者は多くいると思われますが、数学を敬遠する受験生が多いこともあって、学生募集上の問題で数学から遠ざかっている大学は多いはず。論理的思考力を養うためにも、文系で数学を必修化することの意義は大きいはずです。
ここで問題になってくるのが、他大学はどうするのか?ということ。大阪府立大学は受験生に敬遠される可能性を踏まえた上で、教育力の向上を目指して大学経営を行うことを決定しました。大学の評価は、教育研究力はもちろんですが、社会にとって有意な人材を輩出できるかどうかで決まります。つまり、しっかりとした教育を受け、社会に対して付加価値を与えられる人材こそ、大学が評価を獲得するための源泉なのです。大阪府立大学は、学生の能力を担保し社会に役立つ人材を輩出するために文系での数学必修化を決めました。私はこの決定を大いに評価したいと思います。
また、蛇足ですが入試でも数学を課していることも見逃せません。アドミッション・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、ディプロマ・ポリシーをしっかり連動させることで、学士課程教育の充実化が図ることができます。