Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

紙の本が1冊もない大学図書館がアメリカで誕生 

high190です。
アメリカのテキサス大学サンアントニオ校に、紙の本が全くない図書館が誕生したそうです。
電子書籍や電子ジャーナルが今後、主流になっていくことは不可避だと考えられるので、先進的事例のひとつであるといえるでしょう。


2010年9月9日、米国テキサス大学サンアントニオ校(The University of Texas at San Antonio:UTSA)に、紙の本が全くない、応用工学・テクノロジー図書館(Applied Engineering and Technology Library)が開館しました。大学当局の発表によると、この図書館は紙の本を所蔵していない大学図書館としては、米国で初であるとのことです。メインキャンパスにあるジョン・ピース図書館の分館として位置づけられる同館には、80人が利用できるスペースがあり、今後は、所蔵する425,000冊の電子書籍と18,000タイトルの電子ジャーナルを、iPadKindleなどの電子書籍リーダー等を通じて、学生に提供する予定とのことです。

図書は紙ではなく、電子書籍リーダーで読むのが当たり前になる。カウンターは電子書籍リーダーを貸し出すことと、情報の検索やレファレンス業務を専門で行うことのみに専門特化して対応に当たる。こういったことが当たり前になるのもそう遠くないのかも知れません。つまり、図書館の役割は変容し、大学における図書館の位置づけも変わってくるのではないでしょうか。
今でもそうなのだと思いますが、これからの大学図書館員は、来訪者が求める情報にスピーディーにアクセスできるよう導く能力がより求められてくるのではないでしょうか。また、電子ジャーナル等の利用に伴い、著作権クリエイティブ・コモンズ、契約に関する知識なども必要になってくるでしょう。ハーバード大学図書館研究所を設立したことはこのブログでもお知らせしましたが、これから図書館及び図書館職員を取り巻く環境は大きく変わるでしょう。

図書館が変わることによって、大学も大きく変わることになるでしょうね。