Clear Consideration(大学職員の教育分析)

大学職員が大学教育、高等教育政策について自身の視点で分析します

国連大学が創設38年目にして学部学生の一期生を迎える

high190です。
東京の青山に国連大学の本部があります。これまでは、国際連合シンクタンクとして研究・研修を実施していたそうなのですが、今年に創設38年目にして初めての学部学生を受け入れることになったそうです。9月からは修士課程を設置、将来的には博士課程も設置される予定です。


東京・青山に本部を置く国連大学が、1973年の創設以来初めて、名前の通り大学として学生を受け入れることになった。これまでは国際連合シンクタンクとして研究や研修活動を主としていたが、9月に修士課程を設置し、世界から5人の学生を受け入れる。将来的には博士課程も置き、大学院大学として国際的な政策課題を解決できる人材を自前で育てる考えだ。
門戸は途上国を中心に各国に開かれるが、武内和彦副学長は「日本人もここで学び、ゆくゆくは国連機関で働いてくれるようになればうれしい」と期待を込める。
国連大学は国際社会で存在感を示したい日本が誘致に動き、東京に本部を設置。他に世界13カ所に拠点を置き、環境問題や平和、国際協力などの分野で研究や研修を手がけてきた。かつて、国連事務総長だったウ・タント氏が学生を受け入れる教育機関の設置を提唱したことがあったが、当時留学生を多く受け入れていた先進各国が「競合する」と難色を示し、断念した経緯がある。
文字通りの「大学化」は昨年12月の国連総会で認められ、今年9月に修士課程「サステイナビリティと平和研究科」が設置される。日本、英国、ブラジル、インド……と教員の出身国は様々で、授業はすべて英語で行われる。
定員は20人とされ、一期生を目指して84人が応募したが、英語の語学力がどれぐらいあるか、どんな研究を志しているかをみる書類選考の結果、最終的に合格したのは、米国、韓国、カンボジア、ネパール、ギニアビサウ出身の5人だった。キャンパスは青山の本部ビルで、ビル内の他の国際機関の協力も得ながら実践的な教育を実施したいという。


20名の定員に対し、合格したのは5名ですから研究志望をしっかり見て入学許可を出しているのだと思います。
ちなみに国連大学の創設には日本政府が深く関わっているということについては、よく知られていないのではないかと思います。文部科学省のWebサイトに国連大学文部科学省の関係を説明するページがありましたので、こちらもあわせて紹介します。


国連大学は我が国に本部を置く唯一の国連機関で、国連とその加盟国にとって重要かつ緊急な地球規模の諸問題の解決に、調査研究と研修等の能力育成事業を通じて貢献してきました。今後は、こうした成果を踏まえ、日本を含む世界のトップクラスの大学との連携を通じて、人材育成にも取り組んでいく予定です。
文部科学省は、国連大学本部施設の提供や、毎年、国連大学に対して事業費等の拠出を行っています。

日本に国連大学があること自体、知られていませんでしたが、現在の日本の国際的立場やこれからの国際貢献などを考えるとその意義は大きいと思います